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【詩】光の行方

初春の陽光が頬を掠める
うすら寒くて暖かい
この時が永遠であれと祈りながら
公園通りを散策する

公園内の野原で
レンギョウが
天に向かって眩しく燃えている
道端に開き始めた
ユキヤナギが
微風に吹かれて
虚空を漂っている

そこで辺りを伴走している
微風に僕は聞いた
「君は悠久の時を旅してきて
 ここに来たのかい?」

空から絶え間なく注いでくる
光の破片に僕は聞いた
「僕の頭に君は降ってきたけど
 その次の君の行く先を教えてくれないか?」

石のような沈黙が続く……

或いはあそこの木のように
皆沈黙してはいるが
一心に己の務めを果たしている
ただそこに在るだけで
重要な役割を果たしている

風はただ宙を舞い
光はただ燦燦と天から降り注いでくる
ただそこに在る

僕は「沈黙」に関してでさえ
言葉であれこれ形容し修飾し
あらゆることが語れるが…

創世は神の言葉─ロゴス─から始まったという
人間はこの世の一斉のものに
言葉とその意味を当てはめ 語り尽くせる
ある時は言葉にがんじがらめになって
いつも言葉と共に在る
それが人間
それが僕のやって来たこと

僕は「人間って結構愚かかもな」
と一言言い放ち
一切の言葉を放棄して
風と光と共に虚空を流れていく
ただそこに在る存在として
言葉の向こう側にある何かとして

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