見出し画像

道端の石ころ

ある晴れた真夏日
気が付くと道端にいた
誰かに蹴飛ばされて
とこり とこり とこ
転がって
ここに来たのだ
仕方ない
何もない田舎道
ここでじっといるとしよう

はるか頭上を
アゲハチョウが羽ばたいていく
綺麗だな 夏の蝶は
道端に落ちている
僕のことなんか
眼に入らないだろうな

あっ 何人か人が来た
「危ないっ」と
僕は声に出して叫んだと思う
今度は靴で弾かれた
ぴしゃっ
僕みたいな道端にいるものも
楽じゃないな

嫌なことがあっても
じっと我慢して
道にとどまっている
自分の信念は曲げない
ひたすら耐えるしかない僕は
道端の石ころだ

明日はどの子が蹴飛ばすだろう
明日はどの子が拾うだろう
そして僕を安全な家へと
持ち帰っておくれ
仏壇に供えておくれ

いつか誰かが優しく
手に取ってくれるかもしれない
頬ずりして
愛でてくれるかもしれない
そう願う僕は
やっぱりまだ道端の石ころなんだ

よろしければサポートお願いします。詩集を出す資金として使用します。