山下英治

ネット詩誌My Dear所属、同人。これまで詩集8冊、Amazonで発売中。第九詩集『…

山下英治

ネット詩誌My Dear所属、同人。これまで詩集8冊、Amazonで発売中。第九詩集『それは風が知っている』5月30日発売開始。

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    第九詩集「それは風が知っている」からの詩。2024年の詩。

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詩の書き方 その2 抽象と具体

 1年前に書いた「どうしてもアイデアが出ない時、詩を書く方法」に続く第2弾目の詩の書き方についてのエッセイです。今回はもっと核心に迫って、実際に僕が頻繁に使う詩…

100〜
割引あり
山下英治
3週間前
17

【詩】モダン・ネオ・ロマンティシズム

秋晴れの午後三時 近くの喫茶店へ詩を書こうと 雑然とした自分の部屋を後にした 習慣となっていることだが まず空から降る光の色を確かめた あえて言うとパステル・イエロ…

山下英治
3週間前
30

【詩】音楽の言葉

もし音楽が幾千もの言葉を語るなら 多分僕は君を語れるんじゃないかな もし音楽があらゆる絵画を描くなら 多分僕は君を上手く描けるだろう もし音楽であらゆる感情を表せ…

山下英治
1か月前
35

【詩】愛ってどんな色?

それって僕の内にあるものなの? それとも貴女の心の内にあるもの? それって正しいの? それとも間違いなの? 愛ってどんな色? どれくらい近くて どれくらい離れている…

山下英治
1か月前
35

【詩】僕が風になったら

詩に何を求めてるか だと思うんだよね 僕は風を求めている 穏やかに吹く春色の 橙色の夕暮れを吹く秋色の 背の高い木々にそよぎ セキレイたちがあわいを飛び交う 風が吹い…

山下英治
2か月前
19

【詩】言葉

漠然とした思いに思いを馳せ 無意識を通り過ぎてゆく 言葉は波より多い 無数の言葉の中を 彷徨い 紡ぐ一行 しかしどれをとってもしっくり来ない 淀む詩行 不完全なままの…

山下英治
2か月前
31

【詩】詩情

僕たちを溶かす太陽が 大空でぼんやり漂い始めた十月 僕は待っている 金木犀の香りと ペパーミントの芳香を ブレンドしたような匂いのする あの愛おしいものが来るのを 僕…

山下英治
4か月前
31

言葉の贈り物

人生の危機に立たされた時 探すのは言葉かもしれない 人生にこれ以上希望が望めない時 探すのは言葉かもしれない 人の心の奥底には 言葉が流れる川があって 川の上流を辿…

山下英治
10か月前
34

【詩】彼方(あそこ) と北摂 詩の会合評会 2回目参加について

 北摂 詩の会にはひとり、詩を批評するというより、人の詩の粗を探すのが上手い人がいる。その方はなんだかんだ言って難癖をつけてくる。  その方はもちろん僕の詩を非…

山下英治
1年前
17

【詩】四時間の永遠

僕が一日おきに透析に行くのは 血を洗うためだけではない 溜まった水を抜き取るためだけではない その他に何をしに行くのか ときを感じに行くのだ 四時間という長いときを…

山下英治
1年前
21

【詩】Return to Forever

僕は今待っている 永遠へとまた帰っていく日を 僕らは永遠の時の流れから ある日生まれてきて また永遠の流れへと帰っていく それがいつの事になるだろうか 分からないが …

山下英治
1年前
23

【詩】永遠の一部

朝6時起床 昨晩はよく眠った 起き抜けの紅茶一杯 無農薬の茶葉のアッサムティー 眼球は虚空を彷徨う サンドイッチを平らげたら さて日課の散歩に行くか 今日は公園の並木…

山下英治
1年前
25

【AI】詩とは何か?

 詩は言葉の美学であり、人間の感情を表現する芸術の一形態です。言葉の音韻、リズム、イメージを使って、詩人は読者に深い感情体験を与えることができます。  詩の起源…

山下英治
1年前
18

円山珈琲俱楽部で江口節先生の詩の朗読会

 4月16日、大阪は南森町にある円山珈琲俱楽部という喫茶店で、江口節先生の詩の朗読会があった。そこでは毎月詩人を招いて朗読会を行っている。今回で530回を超えていると…

山下英治
1年前
17

【詩】光の行方

初春の陽光が頬を掠める うすら寒くて暖かい この時が永遠であれと祈りながら 公園通りを散策する 公園内の野原で レンギョウが 天に向かって眩しく燃えている 道端に開き…

山下英治
1年前
19

【詩】かくれんぼ

もういいかい もういいよ 朝7時起床するなり こんな声を聞いた 一体誰の声だろう? そそくさとサンドイッチを平らげて 外に日課の散歩に行くことにした まず出会ったの…

山下英治
1年前
24
詩の書き方 その2 抽象と具体

詩の書き方 その2 抽象と具体

 1年前に書いた「どうしてもアイデアが出ない時、詩を書く方法」に続く第2弾目の詩の書き方についてのエッセイです。今回はもっと核心に迫って、実際に僕が頻繁に使う詩を書く技法について述べてみたいと思います。

 題名に「抽象と具体」という少し難しいタイトルが出てきましたが、小難しいことは書いてないつもりです。

 これをお読みになる方は理解できていると思うのですが、まず抽象と具体についての定義を記して

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【詩】モダン・ネオ・ロマンティシズム

【詩】モダン・ネオ・ロマンティシズム

秋晴れの午後三時
近くの喫茶店へ詩を書こうと
雑然とした自分の部屋を後にした

習慣となっていることだが
まず空から降る光の色を確かめた
あえて言うとパステル・イエロー
乳白色したマンションが
うっすらと黄味がかっているようだった

喫茶店まではバスで5分くらい
ショッピングモールの中の
小さな部屋の戸をそっと開ける

選んだのは段差のある喫煙席
壁に掛けられたセザンヌの名画
「トランプをする人々

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【詩】音楽の言葉

【詩】音楽の言葉

もし音楽が幾千もの言葉を語るなら
多分僕は君を語れるんじゃないかな
もし音楽があらゆる絵画を描くなら
多分僕は君を上手く描けるだろう

もし音楽であらゆる感情を表せるなら
今の君への想いを音に乗せるだろう
音楽が人の気分に作用するものなら
今の君の気分を高めることだってできる

ピアノを弾き始めた僕に君は言う
なぜご自分の音楽で語らないのですか?
ごめんちょっとジョン・ルイスに酔ってただけさ
とて

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【詩】愛ってどんな色?

【詩】愛ってどんな色?

それって僕の内にあるものなの?
それとも貴女の心の内にあるもの?
それって正しいの?
それとも間違いなの?
愛ってどんな色?

どれくらい近くて
どれくらい離れているの?
天の星ほど離れている?
ドウダンツツジのように
森の中で輝いてるの?
愛ってどんな色なの?

宙を吹きすさぶ
秋風のように自由で
滝壺に降る清水の流れのように
清らかでそして力強いもの

君は自由なの?不自由なの?
僕は嬉しいの

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【詩】僕が風になったら

【詩】僕が風になったら

詩に何を求めてるか
だと思うんだよね
僕は風を求めている
穏やかに吹く春色の
橙色の夕暮れを吹く秋色の
背の高い木々にそよぎ
セキレイたちがあわいを飛び交う

風が吹いてさえいればもう
詩など書く必要はないのさ
ガイアの息吹きよ
海と天の循環の詩よ
空間を満たす
心地良いカーテンよ

僕が風になったら
海岸に沿って吹く
暑い夏の日に吹く
涼しい海風になろう
潮の匂いを街に運び
穏やかな小波の音を鳴

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【詩】言葉

【詩】言葉

漠然とした思いに思いを馳せ
無意識を通り過ぎてゆく
言葉は波より多い
無数の言葉の中を
彷徨い 紡ぐ一行
しかしどれをとってもしっくり来ない
淀む詩行

不完全なままの午後
昼食後の分まで飲んだ薬の袋
止まったままのレコードプレーヤー
飲みかけの紅茶が入ったカップ
少しシワがある部屋干しのシャツ
部屋は雑然としている

言葉の中を漂っていたが
ふと方角を変えて
遠い過去の記憶を
辿ってみることにし

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【詩】詩情

【詩】詩情

僕たちを溶かす太陽が
大空でぼんやり漂い始めた十月
僕は待っている
金木犀の香りと
ペパーミントの芳香を
ブレンドしたような匂いのする
あの愛おしいものが来るのを

僕は待っている
ランプの灯りのように
仄かな輝きを放つ
あの慈しむべきものを
まるで魔法のようで
手を振るとと消えてしまいそうな
ささやかな明かりのように
ぼんやりとしていて
ほの明るくて

とある詩人は書き残した
それはこの世のもの

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言葉の贈り物

言葉の贈り物

人生の危機に立たされた時
探すのは言葉かもしれない
人生にこれ以上希望が望めない時
探すのは言葉かもしれない

人の心の奥底には
言葉が流れる川があって
川の上流を辿っていけば
言葉がとめどなく湧き出る
泉を見つけ出すことができるだろう

言葉は白い清廉な
梅花藻となって結実し
川底に根を張り
一つ また一つと
その白く可憐な花は
咲き誇っていくだろう

人の心の奥底には
明るい灯火が
灯される瞬

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【詩】彼方(あそこ) と北摂 詩の会合評会 2回目参加について

【詩】彼方(あそこ) と北摂 詩の会合評会 2回目参加について

 北摂 詩の会にはひとり、詩を批評するというより、人の詩の粗を探すのが上手い人がいる。その方はなんだかんだ言って難癖をつけてくる。

 その方はもちろん僕の詩を非難したのだが、家に帰って初めて気が付いたけど、その方僕が詩の中で述べてる内容をまるで分かってないなあと思った。

 僕は「彼方(あそこ)」という題の詩を提出し、最初にこう書いた。

彼女はこれが究極の結論(だったかな?)を最初にこう述べる

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【詩】四時間の永遠

【詩】四時間の永遠

僕が一日おきに透析に行くのは
血を洗うためだけではない
溜まった水を抜き取るためだけではない

その他に何をしに行くのか
ときを感じに行くのだ
四時間という長いときを
身体全身で感じに行くのだ

四時間も横になっていたら疲れるよ
四時間後が待ち遠しいよ

けれどその時過ぎ行く四時間は
まるで永遠であるかのように感じられる
自分は永遠への扉を
開いたかのように思えるのだ
そうやって感慨に浸っている

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【詩】Return to Forever

【詩】Return to Forever

僕は今待っている
永遠へとまた帰っていく日を
僕らは永遠の時の流れから
ある日生まれてきて
また永遠の流れへと帰っていく

それがいつの事になるだろうか
分からないが
その日僕の肉体は滅びるだろう
僕らは肉体に縛られながら
日々生きているが
その日が来たら僕らは
肉体からも自由になる

僕は待っている
彼方へ旅立つのを
彼方とは遠く遠くにあり
煙突の煙のように
捕らえどころのないもの
その彼方へと

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【詩】永遠の一部

【詩】永遠の一部

朝6時起床
昨晩はよく眠った
起き抜けの紅茶一杯
無農薬の茶葉のアッサムティー
眼球は虚空を彷徨う

サンドイッチを平らげたら
さて日課の散歩に行くか
今日は公園の並木道を抜けて
隣町のコンビニまで
ホットコーヒー飲みに行こう

日曜日のゆるやかな歩行
風は凪いでいる
この千里という町は
本当に自然溢れる町だ
並木道の両側に立ち並ぶ
ソメイヨシノを見ながら
しみじみとそう思う

その昔この町一帯は

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【AI】詩とは何か?

 詩は言葉の美学であり、人間の感情を表現する芸術の一形態です。言葉の音韻、リズム、イメージを使って、詩人は読者に深い感情体験を与えることができます。

 詩の起源は古代から遡ることができ、人類の歴史と深く結びついています。詩は祭典や儀式、物語の伝承などの重要な役割を果たし、時代とともに変化してきました。

 現代の詩は、言葉遊びや社会批評など、多様なテーマに取り組んでいます。また、詩は多くの人によ

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円山珈琲俱楽部で江口節先生の詩の朗読会

円山珈琲俱楽部で江口節先生の詩の朗読会

 4月16日、大阪は南森町にある円山珈琲俱楽部という喫茶店で、江口節先生の詩の朗読会があった。そこでは毎月詩人を招いて朗読会を行っている。今回で530回を超えているという、長期間続いているイベントである。
 先生は編集工房ノアから出版された詩集「水差しの水」から詩を朗読し、一つ一つの詩のついて、詩の背景となった阪神大震災であったり、最近のウクライナ戦争であったりするコンセプトを話された。
 どの詩

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【詩】光の行方

【詩】光の行方

初春の陽光が頬を掠める
うすら寒くて暖かい
この時が永遠であれと祈りながら
公園通りを散策する

公園内の野原で
レンギョウが
天に向かって眩しく燃えている
道端に開き始めた
ユキヤナギが
微風に吹かれて
虚空を漂っている

そこで辺りを伴走している
微風に僕は聞いた
「君は悠久の時を旅してきて
 ここに来たのかい?」

空から絶え間なく注いでくる
光の破片に僕は聞いた
「僕の頭に君は降ってきたけ

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【詩】かくれんぼ

【詩】かくれんぼ

もういいかい
もういいよ

朝7時起床するなり
こんな声を聞いた
一体誰の声だろう?

そそくさとサンドイッチを平らげて
外に日課の散歩に行くことにした

まず出会ったのは
バス停近くの寒緋ザクラ
辺りを照らすほどに明るい
濃い桃色の花が
ホクホクと咲いている
僕は夢中になって
カメラのシャッターを押す

もういいかい
もういいよ

次に出会ったのは
道端のユキヤナギ
真っ白で可愛らしく
控え目に

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