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012 〈八重山之嘉例 喜宝院蒐集館のクガニ〉の開催について

1月20日から沖縄県大宜味村を中心とした地域で開催されている〈やんばるアートフェスティバル〉に展示参加しています。

タイトルは〈八重山之嘉例 喜宝院蒐集館のクガニ〉。もちろん私が単独で参加しているわけではなく、総合ディレクターの仲程長治さん、エキジビションディレクターの金島隆弘さん、沖縄を中心にさまざまなプロジェクトを仕掛ける松島由布子さんとともに〈五風十雨〉というユニットを組み、豊かな自然と文化をもつ八重山地域における創作や美術工芸を紐解くことを目的としています。

今回の〈やんばるアートフェスティバル〉のテーマは〈嘉例ヌ源〉。嘉例とは縁起が良いことを意味し、その源になりますようにという思いが込められています。本展は沖縄本島よりも台湾の方が近いという八重山地域の文化を掘り下げ、現代の芸術表現に接続していくということを目的としているので、まさしく八重山の文化の精華を見てもらうという意味合いとメインテーマをオマージュしてタイトルを〈八重山之嘉例〉としました。また、サブタイトルには竹富島の民俗資料を収集している喜宝院蒐集館の貴重な資料をお借りしていることから〈喜宝院蒐集館のクガニ=黄金〉としました。


物語を秘めた工芸品たち

今回の展示にあたっては、二つのことを目的としています。
一つは、八重山という沖縄本島周辺とは異なる文化的要素を持つ地域の文物をアーティストや美術を愛する方々にご覧いただき、表現のリソースにしていただくこと。つまり、博物館と芸術との接続を作ることによって、博物館資料の可能性を広げようという目論見です。この点については、展示設営の時点で幾人かのアーティストの方からお声がけをいただき、新たな作品制作に向かっていくことになりました。私は今からワクワクしています。
もう一つは、喜宝院蒐集館に光をあてたいということです。喜宝院蒐集館は個人で運営されており、収蔵品の多くは国の選定民俗文化財となっているものの、現在は休館されています。個人が運営されている博物館は、自治体や経営基盤が安定したところとは異なり、さまざまな事情で開館できなくなることがあります。御多分に洩れずここでもそういうことが起こっています。素晴らしい収蔵品の一部をやんばるに持ち出して、この現状を知っていただき、サポートしていただきたいのです。

思いが多すぎて、すぐに叶うものではないとわかっているのですが、なんとかして多くの方々に知っていただけるよう願っています。
展示は2月25日までです。

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