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ChatGPTに小説家並の語彙力を発揮させて小説を書く方法【AI小説】

イントロダクション

ChatGPTに小説を書かせた経験がある方の多くは、ChatGPTが書く文章が全く文学的・芸術的でないことに失望したことがあると思います。
ChatGPTは、通常の文書生成において大きな問題はなく、一般の方よりも優れた文章を生成しますが、芸術性の高い文章を書かせる上ではいくつかの大きな問題を抱えています。
本書では、その中から特に語彙の貧弱さに焦点を当て、その欠陥を大幅に改善しつつ、小説を生成する方法を解説します。
ChatGPTの語彙を増やすことは、簡単なようで簡単ではありません。「豊かな語彙で書いて」と注文をつけてもほとんど効果はありません。しかし、私が考案した方法を用いれば、プロの小説家や国語学者にも負けない語彙の豊富な文章を生成できるようになります。
しっかりと筋書きに沿って小説を書かせるためにはいくつかのステップを踏む必要がありますが、その方法も具体的に実例を交えて解説しています。
もし、ChatGPTに豊富な語彙による芸術性の高い小説を書かせたいとお考えなら、ぜひ本書を手に取り、その方法を学んでください。本書があなたの一助となれば幸いです。

1. ChatGPTの文章が文学的とならない原因


ChatGPTの小説が文学的でない原因として以下のような点が挙げられます。
 
1.     トーンとスタイルの一貫性の欠如
ChatGPTの文章は多様なデータから学習したため、作品全体で統一されたトーンやスタイルを持つのが困難です。異なる文書のスタイルや表現が混在するため、読者に統一感が欠けると感じられる場合があります。
 
2.     感情や経験の欠如
ChatGPTは、感情や経験を持たないため、深い感情描写が困難です。感情の表現に欠けることが、作品の魅力や情緒を薄める要因となります。
 
3.     クリエイティビティとオリジナリティの制約
ChatGPTは学習データに基づいて文章を生成するため、予測可能な平易な文章が生成されがちです。これにより、独創的な表現が不足し、作品の創造性が制限されます。
 
4.     文脈理解の限界と物語性の欠如
ChatGPTにはメモリの制約があり、広範な文脈を理解するのが困難です。そのため、複雑なプロットやキャラクターの心情を適切に描写することが困難です。
 
5.     語彙や表現の制約
ChatGPTの語彙や表現には制約があります。よく使われるフレーズや表現が頻繁に繰り返され、多様性が不足しがちです。これにより、文章の表現力が大幅に制限されます。
 
このようにChatGPTに小説を書かせる上では多数の問題がありますが、これらを1つのプロンプトで解決するのは、非常に困難です。従いまして、本書ではこれらを一度に解決することは諦め、「語彙や表現の制約」を克服することだけに注力します。

2. 通常のプロンプトでの生成結果

具体的にChatGPTの語彙力を高める方法を解説する前に通常のプロンプトで文学的な表現をさせようとした場合に、どうなるのか改めて確認しておきましょう。
 
おそらく多くの方は以下のようなプロンプトで試みたのではないでしょうか?

以下は実際にこのプロンプトで生成された文章です。

「夏の日差し、輝く砂浜、そして蒼い海。少年少女たちはその活気に包まれて、自由に翔ける風と共に、煌めく瞬間を」という書き出しは悪くないですが、その後が酷いです。
 
私が求めたのは「文才の溢れる瑞々しい感性の詩的で芸術的な小説」であって、「文学」や「才能」や「瑞々しい感性」や「詩的」や「芸術的」という言葉を使った小説ではないのですが、ChatGPTは、それらを多用しただけでそれが書けたつもりでいます。
 
また、他の言葉も、特に幼稚な言葉遣いはないですが、小説家にしか書けないような文学的表現があるわけでもありません。
 
小説としての構造やスタイルについては、本書のテーマではないため、深くは追求しませんが、台詞や具体的な情景描写もないため、ショートショートにすらなっていません。
 
このように、文学的な文章を書かせようとプロンプトに多くの単語を詰め込むと、ChatGPTは、それらの単語を生成文書に混ぜることでユーザーの要望を達成したと勘違いする傾向があり、文学的な表現をさせようとすればするほどかえっておかしな文章となります。

では、プロンプトを短くしたらどうなるでしょうか?

この結果は、以下のようになりました。

前回のプロンプトのようにプロンプト内で使われた単語を生成文章に混ぜるようなことはなくなり、文章としての不自然さはなくなりましたが、今回も中高生でも知っているような言葉ばかりで、単なる日記のような印象になってしまいます。
 
このように、プロンプトを短くすれば、プロンプト内で使った単語が生成文章内で多用されることを回避できますが、これでは一向に語彙を増やすことが出来ません。
 
以下のように語彙の豊富な小説家になりきってもらっても結果に大差はありません。

この結果はこうです。

これのどこが語彙の豊富な小説家の文章なのでしょうか? むしろ悪化しています。
 
その他、結果の提示は割愛しますが、「出来るだけ難解な言葉を使って」という文言を入れても「憂鬱」「薔薇」などの (小中学生には) 難読な言葉を多用するだけで、全く語彙が豊富な文章になりません。


3. 語彙を増やす唯一無二の方法(基本編)

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