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【主婦】家族専門の栄養士&看護師&心理士&事務員他として働いてるけど時に「無職」と言われたり


 今日は、ちょっとした疑問というか葛藤について。

 じつはNHK朝ドラ『虎に翼』を観る前からずっと思ってきたことなのだけど、『虎に翼』で、いっそう強まった考えがあります。

 
 それは――はて、主婦とはなんぞや? ということ。

 
 ドラマの序盤では、弁護士を目指す寅子達との対比として、寅子の母はるや、兄嫁で親友でもある花江の、主婦(嫁)としての葛藤が描かれていました。

 
 ドラマの舞台である昭和初期は、「男は外で稼ぎ、女は家を守る」のが常識的な考えだし、そもそも第二次世界大戦すら起こっていない時代で、いまと比べても仕方ない部分も多々あるけれど、とはいえ令和の世にも「専業主婦」はいるし、主婦の葛藤は存在すると思うのです。

 ――かく言う私も、10年以上専業主婦として暮らしていて。

 そこで、あえて書いてみたいと思います。

 吾輩は専業主婦である。葛藤は・・・もちろんある。
 
 あれ、イマイチだな(笑)

 いまから書くことは、世の中に対して声高に叫びたいことでも、強く訴えたいことでも、まったくありません

 
 ただ、私みたいに思ってる人も、どこかにいるんじゃないかな、というお話です。




男女、夫婦というよりコミュニティーの
ベストな構造として主婦でいます

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 まず大前提として、私はいまの生活に満足というか、納得はしています。

 家事育児に10年以上専念し、家族に寄り添って暮らしてきた時間は宝物だし、後悔はありません。

 はじめ、第一子を妊娠した時にフリーランスの仕事をゼロにして、その後は様子を見ながらいずれ復帰しようと考えていました。

 が、想定外の事態が次々と起こり、今日にいたるまで日々生き抜くだけで精一杯。「そろそろ仕事に・・・」と思えたタイミングがなかったのです。
 そもそも心身のキャパが広くない私にとっては、課題が多すぎて、倒れそうな数年間でした。

 もちろん夫の収入だけで生活してきたこと、夫にはとても感謝しています。
 けれど、夫は夫でたぶん私に感謝していることでしょう(予想)。
 なぜって、彼の生活や性格や性質に合うようカスタマイズした居住環境を私が用意しているから。持病もある夫は、たぶんそうしなければ、長年の激務に耐えられずどこかで心身を壊していたでしょう・・・ということを、お互いにわかっているのが私達夫婦。

 夫が元気に働き、適正な収入を得る――私達にとってのこの重要課題を守るために私がフルサポートすることが、我が家のシステムとしていちばん健康的で、うまくいく。というのが我が家の構図です。
 これは愛情というより、まずは構造の問題で(笑)。

 金銭的には、これから山のようにかかる子ども達の学費のために私もそろそろ稼がねば・・・という状況ではあるけれど、ようやくそう思えるまでに心身の状況がたどり着いたのが、いま現在。

 思えばワンオペ育児、引っ越しに次ぐ引っ越し、姉の闘病と調停と死、コロナ禍、夫の心身のサポート、一人になった娘として父母のサポート、姉と父親の死後の手続き丸抱え問題・・・など、いろんなことがありました(終わってないけど)。



クリエイティブ性を発揮できる
専門職(家事育児従事者)だと思っています

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 とまぁ、そんななか、「主婦」ってなに? というテーマでした。

 ここでは、「家事と育児を中心に家で活動する主婦」の話になりますが、まず私のなかでは、「家事育児従事者」という言い方のほうがしっくりきます。

 そもそも「主婦」って言い方すごいですよね。
 あらためて考えると、「主に婦人でいる」って意味?
 あ、「家事に主に取り組んでいる婦人」という意味かな。
 手元の辞書で調べると、「妻であり、家事を切り盛りする人」とありました(すみません)。
  
 まぁ、ずいぶん昔に発生したであろう言葉そのものについて深く考えても仕方ない。
 個人的には家事育児に専念してきた経験から、主婦ってものすごく専門性の高い、あえて言うならクリエイティブ性の発揮できるお仕事だと感じています。もう、専門職です。

 だって、まず家族それぞれの食べ物の好みとか、食べ方のクセを知っています。
 特定の誰かが「最近これをよく残すな」とか、もしくは「最近体調を崩しがちだな」と思えば、体に良いものを食べやすいように工夫して料理したりしますよね。
 もちろん買ってきてもいいし、適度に手抜きもするけれど、基本的には日々、家族の好みや健康を考えて料理します。いろいろ調べるし、頭もつかう

 毎日買い物には行けないから、数日分のメニューを考えて、無駄のないよう買い物をしたり、日用品が欠けないように揃えておくのだって、けっこう大変。

 そしてもし誰かが体調を崩したら、病院に連れて行ったり、看病もする(手に負える範囲内だけど)。いちど誰かが病気やケガをすれば、その後の生活のなかで最大限配慮して、回復するまで気にかけますよね。

 並行して、学校など関係各所の書類を見たり、行事や習い事のスケジュールを調べたり、必要な物を用意したり、家族全員のある程度先までの予定を把握、スムーズに動けるように調整もします。これもけっこうな労力・・・事務員や秘書のような仕事です。


 それにこれは、子どもがある程度大きくなってからのイメージであって、誰か1人でも赤ちゃんやイヤイヤ期の子がいたら、その対応だけでもう一日精一杯。

 
 これらはもちろん日々の掃除や洗濯なんかを当たり前にこなしながらやっているし、何より大変なのは、一つ一つのことは小さくとも、これらをほぼすべて1人が担い、平穏に一日を終えるように仕上げている、ということ。

 もし、今日できなかったことがあっても、数日中にできるように微調整します。ほとんどの主婦は、微調整を頭に入れながら生きていると思います。

 家族みんなが笑顔で「おやすみなさい」にたどり着けるまで、少なくとも1人の人間がこれだけ奮闘しているということ・・・。

 もちろん、さらにお仕事を入れている人の努力には頭がもう、それはもう下がります・・・が、主婦の仕事だけでも、これだけあります。

 
 そんななか、どこがクリエイティブかといえば、それはもう、すべてが創造性にあふれています


 今日、何をつくるか、お金を使うか頭を使うか、お互いにどんな声かけをするか、先にどちらをやるか、誰がどこまでやるか・・・などなど、家庭のあれこれは、すべてに相互関係があって、取り組み方ひとつで家の雰囲気はがらりと変わる。

 たとえばパパの不在時に、「パパはいま家族のために頑張ってお仕事しているからね」と子どもに伝えるか、
ほんとうにいつもいなくて、役立たずのパパだね」と伝えるかで、
子どもの心模様はまったく違うものになるでしょう。

 そういうことの積み重ねが、家族、家庭というものを、文字通り「つくりあげている」と私は思っています。

 


家族にとっては栄養士で看護師で
心理士で事務官で秘書で・・・

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 ――あ、これは家事育児が重労働なのを知ってほしい、という話ではないです。


 それはもうけっこう知られていますよね。
 私の感覚だと平成の終わりごろから、家事労働がいかに大変か、主婦の労力を自給に換算するといくらになるか、見えない家事がどれほどあるか・・・という話題はメディアに多く登場するようになりました。


 子育てに関しても、いまや夫が家事育児を「手伝う」という発想自体、よくないと言われたり(手伝うのではなく我が事として取り組む)、当たり前過ぎてイクメンという言葉自体、逆に死語になりつつあるのかな・・・とも思います(もちろん夫婦間が良好で、互いに納得していればどんな言葉を使ってもいいでしょうね)。

 だから、大変なのを知ってほしいというのではなく、主婦――家事育児従事者――は、それだけでもう立派な職業じゃないのかな、ということなんです。

 また、家事育児に従事しながら私は実感していました。


 いままで書いてきた「食事の支度」「家族の体調管理」「買い物/事務仕事/スケジュール管理」などのほかに、とても大切な仕事として家族のメンタルケアがあるな・・・と。


 もちろん私が落ち込んでいる時は家族に話を聞いてもらうので、これはお互い様なのですが、それでも特に子どもの元気がない時、やはり誰よりも先に気付いてしまいます。――なにかあったのかな、と。

 私の場合、夫の悩みもよく聞きます。あとで大きな問題になるより、話してくれたほうがいいからです。


 家族で一緒に考えたり、励まし合ったり。
 プロのカウンセラーではないから、「あれで良かったのかな・・・」と悩むことも多いけれど、積み重ねが親としての成長につながったり、家族の絆を強めたり・・・と信じながら、これは仕事というより勉強に近いかもしれませんね。


 ――というわけで、主婦だけど、家族にとっては栄養士で、看護師で、心理士で、事務員でもある・・・というのが、私の10年の実感です。



一つ一つのスキルは高くなくても
「コンシェルジュ」みたいな役割で


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 まぁ、そうはいっても。

 家族専門の栄養士、看護師、心理士、事務員・・・の、ひとつひとつの専門性、スキルはぜんぜん高くありません


 当たり前ですが資格もないし、家族だけに通用するようなことばかり。
 はっきり言って「なにいってんの?」レベルなのも、わかっています。

 でも、たとえばホテルのコンシェルジュみたいに、「このホテルのことはなんでも知っている」とか、「全体を見渡して的確な部門・スタッフに繋げることができる」という役割の人って、いますよね。そういうプロ、専門職って世の中にあると思うんです。


 主婦――家事育児従事者――は、それに近いジャンルの専門職じゃないかと、私は感じています。もちろん家族のことを見渡すのは、仕事だからというより、大切だからですけどね。


 ――私は、家事育児従事者として、この10年以上、けっこう懸命に「働いて」きました。

 そうしたくてもできない人がいるのもわかっています。
 恵まれた環境であることもわかっています。

 
 ただいつも思うのは、頑張る人は、家にいても、職場にいても、結局ちゃんと頑張るんだっていうこと。

 たとえば『虎に翼』に出てくる寅子の母はるは、寅子が第1週で言ったように「とても優秀な人」ですよね。


 だから、外に出て働いてもきっとかなりの成果をあげるはずです。「我が家仕様」に磨いてきた家事を切り盛りする腕前は、違った場所でもパパっと応用・変換できることでしょう。


 たぶん兄嫁の花江だって、「頑張っている」と認めてくれる人さえいれば、どんな場所でも頑張れるんじゃないかと思います。

 専業主婦について、いまどき「三食昼寝つきでいいね」とか「俺が食わせてやってる」みたいな発想を持つ人は、かなりの少数派でしょうが、それでもやっぱり、


 ――はて、と思うことがあるのです。

 
  

私は働いています、無職でもありません・・・
そう思っている人も、いるんじゃないかな

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 それでは今から、この記事でいちばん言いたかったことを書きます。

 子どもも大きくなってきたことだし、
 
 「そろそろ、働かないの?」
 「どうして、働かないの?」

 
 ・・・とたまに聞かれることがありますが、

 

 私は、ずっとずっと・・・働いてます。


 はい、我が家のコンシェルジュです。
 どうぞ、笑ってください。


  ーーいいんです。聞く方に、悪意も他意もないのはわかるし、なんなら私だって気軽に使っていそうな言葉です。


 「ほかにどんな聞き方ならいいの?」と問われても、そう考えると、ほかにないかな、という気もします。


 強いていえば「主婦業、母親業のほかに、新しく始めたいことはないの?」とかかな、と思うけれど、別にそう聞いてほしいという話でもありません。


 ただどうしても、少しの葛藤を感じてしまいます。

 いまも昔もずっと、私はフルタイムで働いています。はい。

 そして葛藤ついでに思うのは、私の肩書は、何かに記載するとしたら「主婦」なんだよな・・・ということ。


 でもそれはあくまで「夫ありき」の「主婦」であり、夫を抜きにしたら、場合によっては「無職」になるのだろうということです。
 
 
 無職じゃない、家事育児従事者です・・・ははは。

 いやこれを、世の中に対して声高に叫びたいわけでも、誰かに認めてほしいわけでもありません。


 ただ、たま~に腕組をして、空を見ながら、思うことがあるんです。


 ーー私みたいに思ってる人も、どこかにいるんじゃないかなぁって。


みんな頑張ってるって、認め合えたらいいな


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