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#75 行政書士試験に合格するために(記述【条文の趣旨】編)

今回は、行政書士試験の条文の趣旨に
ついて書いてみたいと思います。


シャンデリアを壊してはいけない

平成22年の行政書士試験の記述では、
「相殺」が出題されました。

【問題】
私:相談主(債務者+被害者)
X:債権者+加害者

私は、Xから、200万円を借りている。
Xが、Aの所有物であるシャンデリア
(時価150万円相当)を全損させた。
この場合、民法509条が適用されるが、
その趣旨を答えよ。

【解答】
・被害者に現実の弁済を受けさせることで
 損害の填補する
・不法行為の誘発防止

この2点を記述すれば、
正解することができる問題でした。


趣旨?

(相殺の要件等)
第505条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

(相殺の方法及び効力)
第506条 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。

(不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止)
第509条 次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。ただし、その債権者がその債務に係る債権を他人から譲り受けたときは、この限りでない。
 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務
 人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)

原則は、一方的な意思表示だけで、相殺可能。

例外(民法509条)の場合、相殺不可。


この問題の場合、私は、
シャンデリア代金150万円分を債権200万円から
差し引いた50万円分のみを、Xに対して、
支払う形をとることもできます。

原則と例外、受働債権と自働債権などを
理解+整理していなければならない問題でも
あったのですが、今回は条文の趣旨を
聞かれています。

趣旨は、判例に記載されています。

民法第509条は、不法行為の被害者をして現実の弁済により損害の填補をうけしめるとともに、不法行為の誘発を防止することを目的とするものであるから、不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし、不法行為による損害賠償債権以外の債権を受働債権として相殺をすることまでも禁止する趣旨ではないと解するのを相当する。

最判昭42.11.30

ここまで深く勉強している受験生は、
少数派だったのではないかと思います。


まとめ

では、「条文の趣旨」をどう対策していくべきか。

1つ目は、諦めること

「条文の趣旨」が問われたのは、
平成22年、平成28年の2回。

頻度が少ないのです。


2つ目は、
重要条文に限って趣旨を確認すること

これが現実的かなと思います。

判例集を確認するのは、必然的に
Aランクのものが多くなります。
(Cランクのものを積極的に確認する行為は、
そもそもタイパが良くありません)

判例集を見たときに、嫌でも趣旨が
目に入るので、その時に少しだけ意識して
趣旨を確認します。

どこかにメモ書きするのもいいと思います。

「1度、目にしたことがある」だけでも、
頭の片隅に残るかもしれませんが、
できることなら、よく使う問題集に
キーワードだけでもメモ書きし、
何度も目に入るようにした方が、
記憶に残りやすいと思います。




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