1995年自転車の旅|01|プロローグ
もう30年近く前なんだな、と思う。
1995年。元号で数えるなら平成7年。
ぼくは一人、東京の片隅で、不安と鬱屈と楽観とその他もろもろの処理しきれない感情と状況を抱えながら、これといった人生の目的も持たないままその日その日を投げやりに暮らす、ちんけな若造だった。
23歳。大学は卒業していた。細かいいきさつは省くけれど(もしかしたらこの先どこかで書くかもしれない)、生きることのトラップに自ら好んではまり込んだぼくは、いま振り返ってみても言い訳しようのない、世間知らずで自