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君と予習と復習の約束

図書館に行ってきた。1人10冊まで最大2週間借りられる。今回は5冊くらい借りた。なんか映画についてオススメしてる軽いやつが読みたいなと思って「伊集院光の今週末この映画を借りて観よう」という本があったので借りた。
これは10年くらい前にTBSラジオかなんかでやってた番組が書籍化されたやつだと思う。聴いたことがある。確か「週末TSUTAYAに行ってコレ借りよ」というような番組名だったと思う。
パーソナリティの伊集院光が毎回ゲストを呼んで、おすすめの映画を教えてもらう、というやつだ。
この番組の面白みは、ゲストが2回に分けて番組に呼ばれるという段取りになっているところだ。
1回目は「観る前編」で、2週間空けて「観た後編集」を収録。要するに、ゲストは1回目の収録の時にオススメの映画を伊集院とリスナーにプレゼンする感じになる。伊集院もゲストから上手くその映画の魅力を聞き出す。で、2回目はリスナーも伊集院も観た状態で、ゲストと一緒に盛り上がるのだ。
この書籍化された本でもその構成は踏襲されていて、本の前半は「観る前編」になっていて、複数のゲストの「観る前編」がまとまっている。で、本の後半はそのゲスト達の「観た後編」がまとまっている。良い構成だ。

私はそのラジオも聞いてたので、ちょっと覚えいたりするし、すでに観た映画もいくつか紹介されてるので、「新しい映画との出会い」としては十分ではないコンテンツなのだか、そんなことよりももっと大事な事に気がついた。

これは、オススメされる映画が面白いかそうでないかなんてどうでもいいコンテンツなのだ。
1回目の「観る前編」の見どころは、なんといってもゲストの熱量なのだ。その映画の何が好きなのか、どこが良いのかを3つのポイントで語り、それを伊集院が上手く拡げて盛り上げる。

そして「観た後編」がこの後に約束されているとなると、それじゃあ自分も観ておいたほうが面白いだろう、という風に、その映画を観る動機づけになるわけです。

オススメされた映画が面白いかどうかよりも、それを面白いと思っている人(ゲスト)がいて、それを観ると約束した人(伊集院)がいて、そして、その答え合わせが予定されている。という全体の構成にわくわくするのである。自分も同じものを観てそれに立ち会ってみようかな、と思ってしまうのだ。

これは、映画じゃなくてもいいんだろうね。
小説でも、音楽でも、どこかの美味しい食い物でも。

「予習と復習」という体験を、誰かと分かち合うというのが面白みそのものなのだ、というのに気付かされた。そして、それを駆動させるのはあらかじめ体験した人の熱量と熱弁。

そう思うと、このような構造のコンテンツって結構たくさんあるような気がする。ちょっと掘り下げてみたい。

〈DAY44#74〉

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