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Look up your GPS.

今から6、7年前に読んだブロックチェーン特集号のWIREDで、私は仮想通貨やブロックチェーンのなんたるかを初めて知った。驚いた。いまその界隈はWEB3(ウェブスリー)という呼ばれ方をしているようだ。

今から10年ほど前に住んでた借家は、大家さんの家の隣だった。なので家賃は手渡し。毎月月末になるとピンポーンと大家さんを訪ねていた。
大家さんは、私の親と同じくらいの年齢のご夫婦だった。私と同い年の娘さんがいた。
ある時、家賃を渡しに行くと、大家さんの奥さんが、この近所に老舗の和菓子屋があってそこの団子がメチャ美味いと教えてくれた。
せっかくなのでその和菓子屋の場所を教えてもらおうと思い、スマホを出してGoogleマップのアプリを開き、
「それってどの辺ですか?」
と、スマホの画面を見せながら質問した。その流れでGoogleストリートビューが開き、いま我々がいるこの場所が画面に映った。

「やだ!これウチの前じゃないの!」
と、大家さんの奥さん。

続けて私はGoogleカーとかGPSとかの、ごく簡単なテクノロジーの説明をした。すると大家さんの奥さんは私を押し除けて玄関から外に出て、キョロキョロと周りを見回し、最後に真上の空を見上げた。
心配とワクワクの間くらいの表情で、
「‥GPSねぇ。やだー。」
と言っていた。

かつて人類はGPSにもスマートフォンにも頼らずに生活していた。SNSのバズも無ければ炎上もない。ウィキペディアもないしGoogleもない。
試しに2010年以前に作られたテレビドラマをなにか観てみて欲しい。そういったものがなにも存在しない世界がそこにはある。

WEB3とか、ブロックチェーンとか、NFTとか。
それらに触れずに生活している人類が今はほとんどだ。今は。だからそれらの有用性や価値に対して実感が無いほうが当たり前だと思う。

「GPS」を実感するために真上の空を見上げてた大家さんの奥さんの、あの感じが、なんというか、新しいテクノロジーに対する「正しい態度」のようにも感じている。

さて、どこから手をつけたらいいんだろ。

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