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この巣、何の巣、気になる巣…


2023年8月12日、土曜日、淀川河川敷。
淀川アーバンフロントに於いてのカヌー教室の
夏休み期間中開催の二日目である。

場所は最寄駅、西中島南方が近い淀川河川敷の
BBQコーナーの大きなエリアの外れに位置する
河川横にカヌーをずらりと並べ、それの時間割は
10時、11時、13時、14時、15時と5回
のカヌー教室開催となっている。


インターネットでの申し込みや、淀川河川公園の
事務局を通しての申し込みなどである。


今日は、13時、14時の回が参加人数が少ない
事から、カヌーのインストラクターを暫しお休み
を他メンバーの方々に許可を頂いてその時間には
我々のカヌーのテントの直ぐ真横横で開催されて
いるネイチャースクールの方へとに参加をさせて
頂いたのであった。子供を対象としていながらも
十分に大人も楽しめる野外体験型の自然探索教室
で、私がこれに参加するのは今回で二度目となる。

テントの中では淀川という、日本国内では七番目
の規模となるこの大型河川の過去に起きた決壊に
よる大災害の経験により人の手で大きく手が加り
災害に強い河川へと変貌を遂げた歴史の話に始り
この河川がどんな川が集まって出来ているのか、
淡水と汽水(キスイ)と海水の水質管理をしてる
大堰(オオゼキ)の設置というものの解説など、
この淀川という一級河川の座学での紹介が始まる。


人懐っこい感じの先生からの説明はとても分かり
易くて、とても面白い。とは言っても参加してる
子供達は小学校低学年の子どもも多く、男の子の
方が参加人数も多い。前回参加の時には座学の時
に愚図る幼稚園生の男の子が居たりして、気の毒
にも思ったものだが、今回は子供達も皆大人しく
出来た子ばかりの参加だったので良かった。先生
は子供達の前での大切な座学を終え、アウトドア
で実際に自然の中のものを見ていこうと子供達を
テントの外へと引っ張り出す。やはり子供達は表
に出ると途端に目が輝き始める。


淀川には複数種類の魚類が生息しており、先生は
芝生の上で投網を投げて見せてくれる。その腕前
は見事なもので綺麗に拡がった網に歓声が沸く。
今回は子供は10人くらいの参加でそれに母親や
父親が共に参加するスクールとなっており、投網
の技術の素晴らしさには、むしろお子さんより親
からの歓声が大いに上がる。

この実演は、実際に淀川の中で何回かトライアル
され、この川に生息する魚類、スズキ、ボラ、等
を網に掛かった魚を子供達の手で簡易容器の中へ
移されての観察と解説が始まる。子供達にとって
こんな風に生き物と触れ合える機会は大切な体験
であり、普段は自分たちの知る河川にどんな魚が
生息するかを知る機会なんてそうそうあるもので
なく、子供達も目をキラキラさせて水槽の中にて
ウロコを光らせる魚たちを見て楽しそうである。


その他には淀川河川敷に自然の中で自生している
植物や樹木の解説があるが、これらを全て紹介を
してしまうと参加したいと思っている人にもだが
先生にも申し訳ないので、ここにひとつひとつは
ここでは記載はしない。


そのフィールドの中を歩きながら、解説された中
とても、面白いもののひとつを紹介しようと思う。


写真の植物の名前は荻(オギ)というものである。
イネ目、イネ科、ススキ属の多年生の植物であり
草丈150〜250cmのもので、淀川河川敷の
ものは人の背よりも高く、辺り一面に群生してる
植物のひとつである。


こんな何の変哲もない身の回りに普通に歩いてて
見られる植物の中、素人で見つけられないものを
先生は見つけ出して『はい、これを見て下さい、
何だか分かる人はいますか?』先生はクイズ形式
で子供達にその都度に、紹介する生物についての
クエスチョンを出してくる。一方的な説明よりも
子供が参加できる出題式での講習の方が子供達も
楽しいのである。子供よりも親が率先して答える
場面もあったりでなかなか良い。


という事で、その出題されたものが下の写真で
荻(オギ)という植物の葉っぱを裂いてるものを
器用にも編み込んだ様にして巣が作られている。
大きさはソフトボール程の大きさでボリュームが
ある巣である。



この上の写真のものは、比較的最近に作られてる
もので、三日ほど前に作られたものなのだと云う。


子供達や親御さんが次々と答える。『小鳥の巣』
の答えが圧倒的に多かった。

この淀川草地のまん丸い草で作られた可愛い巣に
住んでいるその正体は、萱鼠(カヤネズミ)。


日本に生息するネズミの中で、一番小さいもので
あって、大人の親指ほどの大きさしかないもの。
ここで云う『カヤ』とは、イネ科の植物のススキ
やオギやチガヤ、ガヤツリグサ科のスゲ、そして
前回紹介のヨシ、そしてイネでも巣が作られたり
する事もあるのだと云う。


いずれも葉が細長くて、縦に裂ける植物であって
カヤネズミはこれらの葉を歯で裂いて編み込んで
丸い巣を作り上げる。このソフトボールサイズに
仕上がったこれを球巣(キュウソウ)と呼ぶのだ
そうである。これは母ネズミが子育てをする為の
大切な揺籠(ユリカゴ)ともなったり、あるいは
休憩用の場にもなるのだと云う。


この球巣は、その葉の繊維で繋がっている事から
落ちる事はなく、またその設置されてる高さとは
地上から1m程の高さの部分に設置されている。


何で、こんな高い部分に巣を作るのでしょうか?
次の出題、これには子供たちがちゃんと答えた。
蛇(ヘビ)などの恐ろしい天敵から身を守る為に
この高さが必要となる。実際に淀川河川敷の辺り
では、私も鼬(イタチ)なども目撃しておりこの
恐ろしい敵にも有効な高さである。また雨などに
よっての水位の上昇にも水に浸かりにくい有効な
高さなのである。


カヤネズミは、この植物の種子と、この植物へと
集まる虫たちを食べて生きていく。そしてこんな
可愛らしい球巣の中には母親ネズミと子供ネズミ
が共に安全な巣の中で暮らしているのである。
その子供たちの数は5、6匹が多いのだと云う。

子育ての話とかになると、女の子たちもこの球巣
を前にしてニコニコ顔になる。これは女の子には
ちゃんと母性本能がしっかりとある事の表れから
微笑ましい事と思う。


先生が見つけたその直後に、参加している父親の
一人が他の巣も見つけた。先生がそれを見てこの
巣は昨日くらいに作ったもので出来たてほやほや
の巣ですねと、その発見を褒めておられた。



そして次の写真の巣は、ちょっと前のもので葉は
枯れた色となっている。この中は既にも抜けの空
なのだそうである。ここで育った子供達が作った
のが新しい巣なのかも知れない。小さいながらも
楽しい我が家の中で、母ネズミが子ネズミたちに
いっぱいの愛情を注いであげたのだろうとそんな
場面を想像してしまう。



楽しいネイチャースクールの後、3時の会のカヌー
教室のインストラクターを対応して、4時にそれ
も終了、カヌーをテントの中にしまい本日の作業
を終えた。カヌーのメンバーとは明日の最終日を
よろしく!とお別れして本日の活動はとりあえず
終了。ここからが実は私の復習タイムである。


辺りにはもう誰もいない河川敷を教わった通りの
ルートをトレースして、説明を受けた場所につき
単独でのリプレイをする。このカヤネズミの巣の
在処を記憶を頼りに探すが、これを見つけるのは
結構、根気がいる作業となったが、今回の三つを
ちゃんと写真に収める事が出来た。あわよくばで
カヤネズミの姿を写真に撮りたいなとしゃがんで
粘ってみたが全く気配なし、まだ出産したてにて
授乳しているのかも知れないので諦める。


なので、このカヤネズミの可愛い姿だけはネット
からのイラストと、写真をここに載せた。いつも
ネットには助けられている。




こちらは日本の小さな動物を専門にイラストを
描かれておられる、いぬいさえこ先生のイラスト
となっている。この先生の絵本は私も持っていて


小さな動物の親子愛を描いたイラストがとっても
可愛くて良いのである。このいぬいさえこ先生の
特集記事については、別途特集を組む予定である。



こちらは海外のイラスト集で、ハーベストマウス
(HARVEST MOUSE)と『収穫ネズミ』の名の
紹介イラストとなっている。親子仲良しで生活を
しているのが、これらでもよく分かる。



我々が普段は、気にもせずに歩いている河川敷。
そんな身近な場所にも小さな命が日々を頑張る。
今回見つけた巣の中で育った子供達が何事もなく
無事に幸せな一生を送れると嬉しいなと思う。



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