Laon 239の行方不明だった断片が発見 (同定) されました

 GRADUALE TRIPLEX (以下GT) / GRADUALE NOVUM (以下GrN) の四線譜の上側に記されているネウマは,Laon 239という875–900年くらい (MMMO Databaseによる。少なくとも以前は930年とかそれ以降とか言われていた) の手書き聖歌書から書き写されたものです。

 この聖歌書中の1ページの大部分がずっと行方不明だったのですが,最近,その行方不明部分がDominique Gatté氏により発見 (同定) されました。含まれている聖歌はすべてアレルヤ唱です。

 この断片はアメリカのノースウェスタン大学に保存されているもので,同大学の人によるBlog記事 (これのことだと思われます) で紹介されていたのをGatté氏が見て,直ちにLaon 239の終わりにあるアレルヤ唱リストを連想し,確かめてみたところまさしくその中の失われたページだったとのことです。

 この断片に含まれる聖歌は次の通りです (一覧作成にあたり,上掲記事についたFranco Ackermans氏のコメントの助けを借りさせていただきました)。

  • GT 226 / GrN I 199 (Dextera)

  • GT 367 / GrN I 357 (De profundis)

  • GT 355 (ほぼ356) / GrN I 345 (Lauda anima mea)

  • GT 358 / GrN I 347 (Lauda Ierusalem)

  • GT 364 / GrN I 352 (Qui posuit)

 ほかにもいくつかのアレルヤ唱が載っていますが,GTやGrNには収録されていないものです。今は用いられないが9世紀の聖歌書には含まれていた歌を集めた,Supplementum ad Graduale Romanum (Alessandro De Lillo編) という本には入っています (ページ番号は上記Ackermans氏のコメントについているPatrick Williams氏の返信に書いてあります)。

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