見出し画像

バレンタインデー記念!誰かにプレゼントしたいお菓子がテーマ(...?)の本|エディマート座談会『5人の本』

こんにちは!エディマートのありまです。
 
2024年もあっという間に1か月が過ぎようとしていますね!さて、2月の大きなイベントと言えば「バレンタイン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
 
ということで、第四弾エディマート座談会のテーマは『誰かにプレゼントしたいお菓子がテーマ(…?)の本』です!(…?の意味は記事を読んでいただければわかるでしょう!)
 
今回も各世代の先輩方に、気になるバレンタインの思い出にふれながら、誰かに贈りたいおすすめの本についてお話しいただきました。

ファシリテーターを務めたのは、入社2年目のありまです。バレンタインに贈るお菓子には意味があると聞いて調べたところ、マシュマロは口に入れるとすぐ溶けるため「あなたのことが嫌い」という意味なのだとか。

学生時代、大量生産したチョコがけマシュマロを配っていたことが、友達が少ない原因かもしれませんね・・・。
 
それでは今月も、編プロ社員のイチオシにふれる座談会『5人の本』スタートです。
 
▼前回の記事、『入社3年以内に読んでほしい推し本って?』はこちらから。


『誰かにプレゼントしたいお菓子がテーマ(…?)の本』で集まった5冊の本は・・・

――セレクトいただいた本の紹介をお願いします!

きとう:僕が持ってきたのは『日本懐かしお菓子大全(辰巳出版/松林千宏)』。著者はローソンの現役社員でもある松林千宏さんで『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演したことがあるお菓子勉強家なのだとか。
 
これは、本のカバーやタイトルからも分かるとおり、懐かしい日本のお菓子が紹介されている本。「日本懐かし大全シリーズ」は、お菓子以外にも鉄道やビール、アニソンなどたくさん出版されていて僕も何冊か持っているかな。歴史ある定番のお菓子から今はなきヒット商品、人気菓子の昔のパッケージなどが載っていて「こんなのあったな」と思い返せる一冊だね。

みずの:私は『こいしいたべもの(文春文庫/森下典子)』をセレクト。森下典子さんは、ベストセラー『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』をはじめとする食べ物に関する本を多く出版されていて、この本も食にまつわる思い出を描いたエッセイ集です。
 
もともと、森下さんのホームページで連載されていたエッセイを書籍化したのが『いとしいたべもの』という本。『こいしいたべもの』は、その第ニ弾ですね。ご自身が描かれたイラストとともに、お菓子はもちろんのこと思い出の食事についてつづられた22作品が収録されています。

ほった:僕は『ヴァレンタインズ(白水社/オラフ・オラフソン 岩本正恵 訳)』という小説を持ってきました。本自体は分厚いですが、目次が「一月」「二月」「三月」・・・というように十二月まである短編集です。
 
タイトルの「ヴァレンタインズ」は「恋人たち」という意味で、12組の恋人たちの感情の亀裂、つまり別れの瞬間を描いた物語です。「別れ」と聞くと少し重たく感じるかもしれませんが、会話のテンポが良くてサクサク読める、かつ人間のリアルな感情がひしひし伝わってくる素敵な一冊です。実はこの本、エモブックスでも売っていますよ!

すざき:私が持ってきたのは、『旅ドロップ(小学館文庫/江國香織)』というエッセイです。実家に帰省するときにJR九州を利用するのですが、その電車内に「Please(プリーズ)」という旅の情報誌が置かれていて、そこで連載されていたエッセイがまとまった一冊なんです。
 
収録されているのはすべて旅にまつわるお話で、旅をした場所やそこの空気、食べ物など、江國さんの思い出がつづられています。一話が3ページほどの短編が37篇まとめられていて、気になるところからサクッと読み進められるのが好きですね。

もりなが:私は『泣きたい夜の甘味処(KADOKAWA/中山有香里)』という漫画を持ってきました。著者の中山有香里さんは看護師兼イラストレーターとして活動されている方で、看護技術に関する本も出版しています。
 
物語は、表紙にも描かれている熊と鮭が営む甘味処を舞台に、日常に悩み、疲れて訪れる人々に甘い食べ物を提供するというほっこり系。サラリーマンや育児中のママさん、孫想いのおばあちゃんなど、いろんな立場の目線で描かれたうるっと共感できるエピソードが詰まっています。出てくる甘味のレシピが載っているところもポイントですね。

――本を紹介いただく前に、皆さん「バレンタイン」に関する思い出・小話はありますか?

もりなが:大学時代に某高級チョコレート店でアルバイトをしていたことがあるんですが、バレンタインはとにかく忙しい日でしたね。常に女性のお客さんは多いものの、その日ばかりはとんでもない人の数で。普段からチョコだらけのバックヤードがさらにチョコだらけに・・・(笑)。ちなみにホワイトデーは男性のお客さんがたくさん来店するんです。その異様な雰囲気と忙しさが、働いていて面白かったですね。
 
すざき:バレンタインというと、名古屋ではジェイアール名古屋タカシマヤの「アムール・デュ・ショコラ」が有名ですよね。実は毎年、バレンタインだけは必ず父にここで買ったチョコを贈るんです。地元では絶対買えないチョコで驚かせようと、会場でいろいろ試食をして一番おいしいと思ったものをプレゼントに。「こんなおいしいチョコ食べたことない!」という父の感動を更新するために今年も意気込んでます(笑)。
 
ほった:記憶に残っているのは、兄に贈られたチョコレートをひたすら消費していた中学時代のバレンタイン(笑)。当時の兄は生徒会長を務めるなど結構目立つタイプで、バレンタインは冷蔵庫が兄のチョコでパンパンに。ただ、本人は甘いものをそれほど食べなかったので大半は僕が食べていましたね・・・。
 
みずの:学生時代、某お菓子屋さんでアルバイトをしていたときに店頭商品の発注を任されていたのですが、バレンタイン前の発注をミス・・・。バレンタインデー前にチョコが完売してしまったんです。大焦りでしたが、苦肉の策でザッハトルテを大量に入荷してもらうことに。なんとかバレンタイン当日に売る商品を作り、店長にも「さすが!」と褒められたいい思い出ですね(笑)。
 
きとう:高校時代、バイト先の先輩女子2人からのチョコが家の勝手口に置かれていてうれしかったことを覚えてるね。僕は当時そのうちの1人を好きだったのだけれど、「想いを伝えると3人で遊べなくなるかも」と告白できず。ホワイトデーのお返しで好きだった子にはそれとなく想いを匂わせるようなメッセージを添えたものの気づいてもらえなかったね・・・。そんな甘酸っぱい思い出があったかな(笑)。

ありま:皆さんありがとうございます!それぞれ印象的なバレンタインの思い出や小話を聞けたところで、セレクトいただいた一冊の魅力を聞いてみましょう!

その本を選んだ理由は?

「日本懐かしお菓子大全(辰巳出版/松林千宏)」

きとう:僕は「お菓子に添えてプレゼントするとしたら?」という視点で、この本をセレクト。というのも、最近特に人にものを贈るって難しいと感じることが多くて。「編集者だからいろいろ知っているだろう」「経営者ならお金もあるだろう」なんて勝手にキャラクターが作られがちなので、旅行のお土産すら何がベストか悩んでしまう(笑)。
 
チョコレートにも言えることだけど、「少しでも高いものを」と上を見たらきりがない・・・。ならば、意外に駄菓子を贈る方が面白みもあって喜ばれるんじゃないかと。お菓子大全をセットでプレゼントしたら、お菓子の歴史も楽しめるよね。
 
ほった:なるほど!今でも売ってるお菓子なら、パッケージの変化などお菓子の変遷が知れて面白そうですね!
 
きとう:そうそう。ずいぶん前のことだけど、息子がお菓子のパッケージをファイリングしていた時期があって(笑)。子どもたちに今、このお菓子大全をプレゼントしたら一緒にお菓子を楽しめるかもね。

きとう:実は僕自身、昔から駄菓子が好きで、誰かにお菓子を贈るときは駄菓子を選ぶことが多かったんだよね。確か結婚式の引き菓子は、リボンを付けた明太子味のうまい棒だったかな・・・。
 
すざき:え!面白い発想ですね!お菓子大全には、昔好きだった駄菓子が載っているんですか?
 
きとう:インパクトがあって好きだったのは「鈴木くん佐藤くん」っていうスナック菓子だね。今はもうないと思うけれど、当時はすごく売れていたんだよ。ほかにも、昔食べていた懐かしいお菓子がたくさん。ページをパラパラめくっているだけで楽しくなる一冊なので、ぜひみんなにも見てほしいよ。

「こいしいたべもの(文春文庫/森下典子)」

みずの:著者の森下さんが幼少期や学生時代に食べた物の記憶が詰まっている『こいしいたべもの』。食べ物がテーマのエッセイなら誰でも親しみやすいかなと思ったのが、この本を選んだ理由です。
 
この本の魅力は、森下さんとはまったく世代が異なる私でも「この気持ち分かるかも」と共感できるシチュエーションが多いことです。例えば「身も心もほどけるクリーム白玉あんみつ」は、森下さんが初めてお母さんに渋谷駅に連れていってもらったときのお話。たまたま入った喫茶店のクリーム白玉あんみつはすごくおいしくて、ずっと覚えている、というエピソードなんです。
 
確かに私も、初めて訪れた場所で食べた物の記憶は鮮明に残っているなと、ほのぼのした気持ちになりました。

みずの:お話一つひとつに、登場する食べ物の絵が描かれているところも、ぜひチェックしてほしいポイント。森下さんの書く食べ物の描写は、決して自分が食べているわけではないのに見た目や香り、食感などを想像できるリアルさがあります。しっかり想像を楽しんでから絵を見ると「あぁ、おいしかったんだろうな~」とさらにワクワクするんです。
 
きとう:すごくきれいな絵だね!本の中から飛び出してきそう。
 
みずの:素敵ですよね。絵にはそれぞれ、森下さんの一言コメントが付いていますよ。文章にも絵にも楽しみどころが散りばめられていて読後感も良いので、これはぜひ普段本を読まないという木村さんにおすすめしたいですね(笑)。

「ヴァレンタインズ(白水社/オラフ・オラフソン 岩本正恵 訳)」

ほった:この本を選んだ理由は、まさにこのタイトルです。「『ヴァレンタインズ』なんて、バレンタインにピッタリじゃないか!」と思って。ただ、物語のテーマはお菓子ではないんです・・・。僕の本棚には「お菓子」と「プレゼント」が結びつく本がなくて「お菓子」をあきらめました・・・。

一同:(笑)。
 
ほった:この本の魅力は、登場人物がそれほど感情をあらわにしないことで生まれる独特の緊張感。人は、日常のちょっとした習慣や癖から相手に不信感を抱き、少しずつ心が離れていく。そんな、人間のリアルな感情のズレが、12組の男女の物語で描写されているんです。

ほった:特に印象的なのは、アメリカの文学賞であるO・ヘンリー賞を受賞したという「四月」。息子のいる夫婦が別荘で過ごしていたある日、妻の反対を聞かずに夫は夕食後に息子を連れて湖へ。しかし、乗っていたボートが転覆し二人は溺れかけてしまうんです。
 
夫は必死に息子を助けようとしますが、自身も力尽きつかんでいた息子の手を放してしまう。そして、その瞬間を見てしまった妻は夫を信頼できなくなっていく・・・という話なんです。愛があったはずの男女の気持ちの変化がじわじわと伝わってくる、そんな空気感を楽しんでほしいですね。
 
ありま:人間の感情の揺れ動きがリアルに表現されているんですね。ほかの話も気になっちゃいます!
 
ほった:一話が15ページほどで完結するから、どこから読んでも楽しめるよ!本をプレゼントするって結構ハードルが高いけど、短編集なら負担にならず読みやすいんじゃないかな。おすすめの話を教えてあげれば、相手も読む理由になるしね!

「旅ドロップ(小学館文庫/江國香織)」

すざき:私も、タイトルで「これだ!」と思ってこの本を選んできました(笑)。『旅ドロップ』の意味は本の中で書かれていないのですが、「ドロップ」はお菓子のアメのことだろうと考えて。何色が出てくるか分からない缶のドロップのように、カラフルな旅の楽しみが一冊に散りばめられている、ということかなと想像したんです。
 
それから、短編で気軽に読めるので贈りものに向いているかもと思って。旅や旅先の食べ物は誰にとっても身近な話題ですし、読んでいると実際に旅に出たくなる人もいるのでは?と思うんです。

すざき:それから、ちゃんとお菓子の話も出てきます。例えば「ポケットから出現するもの」。江國さんが、旦那さんがポケットに入れて持ち帰ってくるお菓子を見て、顔も名前も知らない人の旅を想像するというエピソードなんです。ちんすこうなら沖縄だし、たこやき味なら大阪、明太子味なら博多などなど…。
 
もりなが:素敵ですね!旅が好きな人だと特に「どこに行ったのかな」と想像するだけで楽しくなりますよね!
 
すざき:そうそう!ほかにも、バターパンやロシアの紅茶の話など、好奇心をくすぐる江國さんの旅がたくさん登場するんです。普段あまり外出しない人でも、この本を読めば旅気分を味わえるのでおすすめですよ!長いおうち時間に飽きてきて、「そろそろ旅をしたいな」という人にプレゼントしたいですね。

「泣きたい夜の甘味処(KADOKAWA/中山有香里)」

もりなが:今回のテーマを見たとき、「仮にプレゼントするとしたら…」と友人たちを想像してみたのですが、本好きがあまりいなくて(笑)。普段読書をしない人でも楽しめそうな漫画を選びました。
 
この本を読んでいると、登場人物がどこか自分の身近な人たちに重なって見えて、ほっこりしたりじんわりときたり。いい意味で感情移入できるんです。ちなみに私が一番好きな話は、おばあちゃんと孫のお互いを大切に思う気持ちに心打たれる「ギャルとばあちゃんとマフィン」。
 
実際にプレゼントするとしたら、最近一人暮らしを始めた友人に(笑)。ときどき「実家に帰りたい」と言っているのを聞くので、この本に癒やされてほしいですね。

もりなが:熊と鮭が、お客さんに心温まる言葉をかけるところもポイントなんです。特にいいなと思ったのが「私だけのパフェ」という、夜泣きする子どもを連れて散歩に出てきたあるお母さんのお話。いい母親になろうという必死の子育て生活で疲れてしまったお母さんに、鮭が彼女の好きなものだけ盛ったパフェを作るんです。
 
そして、「パフェの由来は“パルフェ”つまり“パーフェクト” どんな選択をしたっていいんですよ」「『完璧』ってなんでしょうね 自分が納得できたらそれでOKなんじゃないですか?」と励ますんです。
 
みずの:鮭、めっちゃいいこと言うね!お母さんも泣いちゃってる・・・。
 
もりなが:そうなんです!読んでいて自分も「そっか、そう考えればいいのか」と思える素敵な言葉やエピソードが詰まっていて。誰でも「頑張っているのにつらい、苦しい」と感じてしまうことはあると思うので、そんなときはぜひこの本を読んで心温まってほしいなと思います!

今回の特に気になる一冊は・・・

年に一度の一大イベント「バレンタイン」にからめて、誰かにプレゼントしたいおすすめの本をご紹介いただいた今回の座談会。
 
食や旅のエッセイや甘味のレシピ付き漫画など、読書が苦手な方でもサクッと読めそうな短編集が多く集まりましたね!
今回私が特に気になった一冊は、「旅ドロップ」です。
 
まず、電車内の情報誌で「旅ドロップ」のもととなるエッセイを読んでいたという、すざきさんと本の出合いが素敵だな~と思いました!まるで自分が旅に出ているような気分になれるところも魅力的です!
 
皆さん、「これはプレゼントされたらうれしいな」という一冊はありましたか?エディマート社員のおすすめ本、ぜひ読んでみてくださいね!!

取材・執筆:有馬虹奈

写真:スタジオアッシュ(太田昌宏)


この記事が参加している募集

オープン社内報

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?