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仕事の量も質もアップ。ライター必見!マルチタスクのメリットとコツ

こんにちは。エディマート代表の鬼頭です。

今回は、なぜライターが「マルチタスク」を身に着けるべきか、また修得するためのコツを、僭越ながらまとめてみたいと思います。

何度か書いていますが、私はフリーランスのライター経験を経て、編集者、そして編集プロダクションの代表になりました。
ざっと20年。
自身の経験をふまえて強く推したいスキルが、「マルチタスク」です。ライターのみなさんは苦手としている方も多いのではないでしょうか。私もそんな一人でしたので、ぜひお読みくださいね。

1.そもそも「マルチタスク」とは?

「マルチタスク」とは、「MULTI=複数」+「TASK=仕事」という成り立ちからもわかるように、複数の仕事や作業を同時並行し、短時間で切り替えながらゴールへもっていく能力を指します。もともとはコンピュータ用語だったようですね。対義語は「シングルタスク」です。

「短時間で切り替える」というところがポイント。ほとんどのライターは、複数の原稿を抱えていることでしょう。1日かけて1本書いて、翌日は次の原稿に取り掛かる…というのはマルチタスクではありません。


ライターは基本的にマルチタスクが苦手

いきなり決めつけるようでごめんなさい。自分も苦手だった一人として書いています。

ライターがマルチタスクが苦手であろう理由は明確です。
なぜなら、こだわりの人が多いから。「昨日よりもいい原稿を書きたい」「ターゲットを惹きつけるコピーを生み出したい」。そのために、一つの仕事に全精力を注ぎたくなるのはよくわかります。

また、会社員を経てライターになった人の中には、マルチタスクが嫌で独立したパターンもあるかもしれません。あれもこれもやらされて、いったいいつになったら集中して自分らしい仕事ができるんだ!ーーそんな不満とともに飛び出した人はいませんか?

誤解を恐れずに言いますが、マルチタスクだから品質が落ちるというのは「逃げ」です。
マンガの神様・手塚治虫氏は、ピーク時には10本以上の連載を同時進行していたそうですよ。「天才だから」と言えばそれまでですが、どのマンガも歴史に残る名作ですよね。

2.ライターが「マルチタスク」を行うメリットとは

マルチタスクが苦手だ、自分は避けてきた、というライターも、あらためてトライしていただきたい。なぜならメリットの方が多いからです。いくつか挙げてみますね。


案件やクライアントの母数拡大

ライター業のみならず、どんなビジネスにおいても避けたいのは、一社や一案件に集中すること。その会社や、その仕事に何かあった場合に、あっという間に廃業の危機にさらされます。
もちろん、フリーランスのライターにできる仕事量には限界があるからこそ、クライアントや案件の母数は絞り込みがち。私も独立当初はどうすればよいか思い悩みましたが、その答えの一つが「マルチタスク」でした。

それまで、同時期に重なる仕事の相談があった際には、断ることも多かったのですが、マルチタスクを意識しながら受注することで、少しずつ母数を増やすことができたのです。
ただし、自分があふれそうな時でも受け皿となるように、ライターの横のつながりもあわせて作っていきました

他のライターに頼ったとしても、自分が品質管理をすることで編集力はしっかりと磨かれます。また私の場合は、ライターのつながりとともに、法人化して社員という仲間をつくることで、クライアントと案件をさらに拡大することができました


相乗効果によるスキルと品質向上

複数の仕事を同時にこなすと、それぞれの仕事が散漫になると思いませんか?私は逆に、相乗効果をもたらすと考えています。

たとえば、A、B、C、3つの案件をマルチタスクで進めるとします。

・A案件で効率化につながるレギュレーションがあったとしたら、B、Cにも応用すれば予定より納期を縮められるかもしれません。
・B案件で語尾の新しいバリエーションが生まれたら、A、Cに応用すればそれぞれの品質も高められます。
・C案件でクライアントの指摘で気づきを得られたら、A、Bに応用すれば同じミスを防ぐことができるはずです。

このように一つの気づきや学びを、即時に他に応用し効果を出すことができることも、マルチタスクのメリットだと考えます。


キャッシュフローの安定

キャッシュフローの安定は、フリーランスや中小企業にとって欠かせない課題ですよね。

これは「ライターあるある」ですが、
50万円の仕事を2ヶ月かけて納品するとします。仮に4月にスタートしたとしたら、6月に納品。うまく同月中に請求が立ち、翌月入金のクライアントだとしたら、キャッシュ化されるのは7月です。つまり、仕事がキャッシュ化されるまでの約4ヶ月間は無収入に。納品が翌月にずれたり、クライアント都合で請求月が後ろ倒しになったりすれば、無収入の期間がさらに延びてしまいます。

案件の規模が大きくなり、請求額や納期が増すほどに、このリスクは高まります。数百万の売り上げが立つまでに、貯金が尽きて事業をクローズという、いわゆる「黒字倒産」になってしまっては元も子もありません

マルチタスクにより、請求月が異なる仕事を同時並行すれば、自ずとキャッシュフローの安定につながるはずです。


デメリットも知っておく

いいことづくめのマルチタスクですが、デメリットもあります

●時間のロス……タスクを切り替えると、新たな仕事の状況整理をすることになるため(たとえば、途中まで書いた原稿の読み込みなど)、続けて行うよりも時間のロスはあるはずです。これについては、次項で解決の糸口がつかめると思います。
●オーバーワーク……重ねる案件数を見誤ると、オーバーワークになって自身の負荷が高まったり、品質が落ちたりすることも。頼れる仲間を作っておくことでオーバーワークを回避することができます。
●プレッシャー……ライターにとって締め切りはプレッシャーです。それが重なればプレッシャーは増していきます。ただし程よいプレッシャーは、前へ進む燃料となるはず。個人的にはシングルタスクでゆるく仕事をしているライターより、マルチタスクをこなす人の方が成長スピードが早いと感じます。

つまり、マインドと仕事量の「セルフコントロール」は欠かせません。

3.誰でもできる「マルチタスク」のコツ

先日、原稿が書けるようになってきた新人スタッフに、「そろそろマルチタスクに挑戦してみようか」と提案しました。
その際に話した、複数のタスクを同時並行するコツを共有しますね。新人向けなので、当たり前と感じるかもしれませんが、基本はここにあると思います。


タスクを分解する

ライターの仕事は「原稿を書く」ことですが、そのタスクを細かく分解してみましょう。どういうプロセスを経て納品に至るかを書き出せばOKです。

たとえば「原稿を書く」を分解すると

・ブリーフィングを受ける
・リサーチをする
・構成を練る
・取材をしたり資料を集めたりする
・構成を練り直す
・下書きをする
・肉付けをする
・仕上げる
・内校正をする

などになります。
「原稿を書く」というタスクのままでは、他の仕事を重ねても、シングルタスクの繰り返しになってしまいます。
分解すれば一つのタスクの目的が明確になり、処理時間も短くなるため、他の案件と重ねやすくなるはずです。
「A案件の取材ついでにB案件のリサーチを行う」など、分解したタスクを組み合わせ、効率化を図っていきましょう。


外的要因を整理する

外側からもたらされる影響は、自分がどうあがいても変えることは困難です。

たとえば

<人>
・相談できる人
・品質確認をしてもらう人
<物>
・仕事をする場所
・仕事のための機器
<金>
・制作費
<時間>
・納期
・電話ができる時間帯

などなど。
変えられないものは受け入れるしかありません
先ほど分解したタスクと、外的要因をかけあわせると、「16時以降は電話リサーチができないので構成案の時間に」など、その時間帯にやるべきことが見えてきます


自分の得手・不得手、心地いい・悪いを知っておく

頭がクリアな朝に原稿がはかどる、夜に音楽を聞きながら構成を練るのが好き、納品間際にバタ着くと品質が極端に落ちる……など、人にはそれぞれ、得意だったり、調子が良かったりする面と、苦手だったり、マインドが落ちたりする面があります

自己分析により、それを把握しておきましょう。

先ほど、分解したタスクと外的要因をかけあわせれば、やるべきことが見えてくると書きました。もちろん、どんなタスクに充ててもいいフリーダムな時間帯も少なくありません。
そんな時間帯には、自分の得手・不得手、心地いい・悪いを加味してタスクを組み込んでみてください。「朝の1時間を使って原稿の推敲をしよう」「夕方から2時間使えるから、苦手な構成案に時間を割こう」といった感じに。

分解したタスク×外的要因×自己分析

これが噛み合えば、面白いほどこなせる仕事が増え、品質も高まるはずです!

4.「マルチタスク」のまとめ

いかがでしたでしょうか。
繰り返しになりますが、マルチタスクが苦手だ、自分は避けてきた、というライターも、あらためてトライしてみてください。

挑戦した結果、やっぱり自分はシングルタスクが性に合っていると気づくかもしれませんが、それはそれでよいと思います。

マルチタスクによって広がる世界を、知らずに過ごすのはもったいない。とくにキャッシュフローの安定は、長くライターを続けるうえで欠かせません。

この記事が、みなさんの可能性を少しでも広げるお役に立てれば幸いです。


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