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地方のライターが生き残るため絶対に知っておくべきこと

こんにちは!エディマート代表の鬼頭です。

2003年に創業したエディマートは、名古屋を拠点としたクリエイティブワークを生業とし20年が経ちました。その間には出版不況や働き方改革への対応、新型コロナウイルスの蔓延、直近では生成AIの台頭など、めまぐるしい社会情勢の変化がありました。

それでも当社が、地元に根ざして成長しながらビジネスを続けてこれたのは、事業の軸をぶらさずに、変化を受け入れてきたことだと考えています。
一方で、変化に対応することができず、厳しい状況だという仲間の声も……。当社がここまで来られたのは社外の仲間の力あってのことですし、これから先に進むためにもその力は欠かせません。

そこで僭越ながら、今回の記事では当社がなぜ地方で生き残り、成長を続けているかのメソッドを共有させていただければと思います。参考にしていただくことで、地方のライターとして生き残り、当社とともに幸せな未来を築くことにつながればうれしいです。

1.地方のライターを取り巻く2023年時点の社会情勢とは?

ご紹介したい生き残りのメソッドはすべて、当社を含む地方のライターが置かれる「めまぐるしく変化する社会情勢」に紐づいています。そのため、まずは「めまぐるしく変化する社会情勢」を分解してみます。

社会通念に起因する変化

  • 地球資源が限られる中で、大量生産・大量消費をしていたら未来がありません。社会活動においては「環境にやさしい」ことが大前提となりました。

  • ITの進展によりコンテンツを簡単に複製・発信できるようになったため、「情報を守る」さまざまな施策が求められるようになりました。

  • デジタル技術を導入して業務改革やビジネス創出を行うDX化が進行。インボイス制度など会計業務にもその影響が及んでいます。

大衆行動に起因する変化

  • マスメディアの専売特許だった情報発信は、ツールを使い個人でも手軽にできるように。中でも地域に根ざした観光やグルメの情報収集はSNSが台頭。マスメディアには情報の「量」よりも、「質」を期待されるようになりました。

  • チャットGPTなどの生成AIにより、個人が気軽にクリエイティブワークを行えるように。ライティングにおいても、専門性を問わないものからAI化が進んでいます。

  • 働き方改革やワークライフバランスの考え方が広まり、業務で効率化をはかり余暇の時間を生み出すアクションが求められています。

これらの社会情勢により、地方のライターは今、大きく2つの課題に直面していると考えます。

  • リテラシーやコンプライアンスにおいて、個人でありながら一般企業と同様の対応を求められている。

  • 地方に根ざした観光やグルメに関するライティングが減少、もしくは単価が下落。一方で専門性や権威性のあるライティングはニーズがあり高単価の傾向。

2.間接部門に投資しよう

これらの課題を解決するため、私たちは複数の対応を並行して行わなければいけません。肌感覚としてはどれも「待ったなし」の状況ですが、まずはメソッドのなかで、特に大切だと考える「間接部門への投資」を挙げます。

新たなクライアントとの取り引きが始まるときに、ひと昔前に比べて、交わす書類が増えたと思いませんか?
取引基本契約書、秘密保持契約書、口座登録申請書にはじまり、自社の情報保護の状況をまとめた「情報セキュリティ報告書」の提出、企業ごとの運用ルールの確認など、書類の整備に数日を要することも少なくありません。

また、2023年10月1日からはインボイス制度(適格請求書等保存方式)がスタートしています。適格請求書発行事業者を選択した方は、申請や書式の準備、会計ソフトの導入などを行ったと思います。これまで免税事業者であったフリーランスの場合、税負担が増加する心配もあることでしょう。

私自身も創業時は、エディマートの屋号をもったフリーランスでした。当時はそこまでリテラシーやコンプライアンスが厳しくなかったため、妻に手伝ってもらいながらの書類対応や会計処理で対応ができました。今、同じ体制で対応できるかと言えば、正直なところ自信がありません。20年が経ち、それぐらいクライアントの求めは高まっていると感じます。

解決法は、「業務アプリの導入」「間接部門人材の確保」の2つです。

業務アプリの導入

契約書類をパソコンに保存しても、必要なときに取り出すことができずに、契約ごとにイチから作り直していることはありませんか?クリエイティブワークに時間を割くためには、間接部門の効率化が欠かせません。
最近はオンラインストレージや、ノーコードで必要な業務アプリを簡単につくれるクラウドサービスがあります。セキュリティの高いオンラインストレージで書類を管理すれば、どこでも、どんな端末でも取り出すことができますし、各種書類の雛形を登録しておくことで、新しい契約時にイチから作り直す必要がありません。
また、間接部門に必要な各種アプリを作っておけば、総務、経理、人事などの業務が驚くほど効率化できます。
オンラインストレージは月額1,200円〜(Dropbox・Plusプランの場合)、業務アプリのクラウドサービスは月額1,500円〜(kintone・スタンダードコースの場合)。両方の契約で年間3万強の投資です。

間接部門人材の確保

できることなら、間接部門を専門に行う人材の確保をおすすめします。
ノーコードで業務アプリを作るのにも相応の時間はかかりますし、制度改革にあわせてアプリの改良も必要になります。そもそもフリーランスや中小企業の経営者が、制度改革をウォッチしている時間はありませんし、ウォッチするためにはそれなりの嗅覚が必要です。
人材採用となるとハードルが上がるため、外部委託が現実的かもしれません。税理士や会計士に委託することで、税務会計や財務会計の業務を大幅に軽減することができますし、士業間のネットワークにより、会計以外の制度改革にアンテナを立てることが可能です。
税理士や会計士の顧問料は委託内容にもよりますが、月次損益の確認と確定申告の依頼で年間30〜50万円ほどの投資です。

エディマートは現在、ストレージや業務アプリに関する複数のクラウドサービスを導入し、税理士との顧問契約も行っています。もちろんフリーランスや中小企業にとって、決して安くない金額です。
しかし、私たちがアーティストではなく、ビジネスマンである以上、クライアントの求めには応えなければなりません。その求めが、リテラシーやコンプライアンスであれば、間接部門への投資はこれからの時代に生き残るためには必要不可欠ではないでしょうか。

3.柔軟性とともに専門性を身につけよう

本社機能が集中する大都市圏であれば、専属的な取り引きが一社でも確保できれば、ライター業を続けることができるかもしれません。
エディマートが拠点とする名古屋、中京圏も、ものづくり企業の本社が多いため、その点では比較的恵まれた環境にあると感じています。

一般論で言えば、地方のビジネスは大都市圏よりも小さくなりがち。そのため、地方のライターの多くは「なんでもやります」のスタンスをとり、複数かつ多ジャンルのライティングを並行してきたのではないでしょうか。

かつてのエディマートもそうでした。「単価が低ければ量を担保するしかない」と考え、SEOライティングをボリュームをもって担当させていただいたこともあります。もちろんそれも知見となりましたが、他方で、スケジュールの都合などで受けられない場合に、もう次はないというケースが頻発。「なんでもやります」は、「誰でもできる」の裏返しだということに気づいたのです。

この解決法が、「専門性を身につける」ことです。先ほど、私たちを取り巻く社会情勢として、「専門性や権威性のあるライティングはニーズがあり高単価の傾向」とお伝えしました。専門家になれとは言いませんが、より深い知識や経験が求められるコンテンツや、BtoBのコンテンツへの対応力を強化すべきだと考えます。

エディマートの場合、創業時から継続している観光・グルメのコンテンツに加え、専門性や権威性が必要となるコンテンツへの対応を進め、実績を残しています。

専門性が求められるライティングの例

  • 医療

  • 介護

  • 科学(化学)

  • ものづくり

  • 教育・育児

  • 金融

  • 脱炭素

  • 歴史

ここで、地方のライターならではの「専門性」に関する大切なポイントをお伝えします。それは、「フォーカスを少し広めにしておく」こと。

フォカースはやや広く

たとえば、「自動車については詳しいです」よりも、「自動車が得意ですが、その知識を活かして製造業全般にも対応できます」とする。また、「医療の取材経験が豊富です」よりも、「医療の知識をベースに、ヘルスケア領域も広く執筆可能です」とする。
やはり地方である以上、専門性に関しても柔軟性をもっておいたほうが、仕事の幅を狭めません。

4.まとめ

おそらく、リテラシーやコンプライアンス対応の必要性はみなさんも感じていることではないでしょうか。しかし、地方ライターが担当する業務の単価の下落により、投資どころではないと感じていることでしょう。

当社で言えば2020年のコロナ前がそのような状態でした。もともと影を落としていた出版不況に、働き方改革やDX対応が加わり、そこにコロナが追い討ちをかけ、「1文字でも書ける仕事ならやります」という気持ちだったことを覚えています。
しかし、そのままではコロナが明けたとしても幸せが描けないと思い、一度立ち止まって、間接部門への投資と、専門性の強化をはかったところ、しっかりとビジネスが成立する編集プロダクションとなることができました。

実はメソッドとしては他にも、「マルチタスクの活用」「チームビルディング」「頭と足の使い分け」があるのですが、まずは最優先事項として、今回2つのメソッドをご紹介しました。間接部門と専門性の強化、2つをセットで進めることで、投資に関する確実なリターンが期待できるはずです。


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