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PASSTOマガジン vol.2 | パストしてみた! 岡本佳子さん

みなさん、こんにちは。
PASSTOマガジン編集長のガクです。
今回は「パストしてみた!」ということで、実際にパストしてみた様子をレポートしたいと思います。

すべての写真:小澤 彩聖


佳子さんについて

玄関で元気に迎えてくれたのは、今回はじめてパストしてみる岡本佳子(よしこ)さん。
柔らかな関西弁と、明るい笑顔が魅力の彼女の自宅にお邪魔した。

陽だまりのような、明るく気さくな佳子さん。初対面とは思えないほど最初から打ち解けてお話しを聞くことができた

案内された部屋には佳子さんがセレクトした素敵な家具や食器、小物などが並んでいて、丁寧な暮らしをしているのだろうと思わせる。

まずはコーヒーを淹れて一息

まずはそんな佳子さんについて、色々と聞いてみた。

大阪出身の佳子さんはパーソナルスタイリストを経てウェディングプランナーとして働いていたが、3年前にガンが発覚。一時期は命が危ぶまれる状況もあった当時の状況をこう語る。

「今まで当たり前にできたことが突然できなくなって、夫や他の人を羨ましいなぁという気持ちで見てました」

そんな気持ちとは裏腹に、体の調子がそこまで悪くない時もなんとなくベッドから出れない自分がいたという。

「ソファで動画を見て夜を迎えるメリハリがない生活を送る中で、ガンを言い訳に自分に甘くなってしまっているのを感じました。子どもがいない私にとって日常には『誰かに対する責任』がなくって、そうすると私ってだらけちゃう生き物なんだなぁと。でも、『仕事』という責任があれば、メリハリができるんじゃないかと思って、それで仕事を再開したい!そう思いました」

明るく前向きな佳子さん。動けないことへのフラストレーションはありつつも落ち込むことあまりなかったという。自分だったらどうだろうかと、考えさせられた

本来、人と関わって自分の世界を広げていくことができる「仕事」が大好きな佳子さん。現在も闘病生活中ではあるが、以前よりは落ち着いたことからしばらく離れていた仕事に戻ることを決意。今後は再びパーソナルスタイリストとして活動していく予定だそうだ。

「クローゼットに洋服はたくさんあるけど、結局着る服って決まってるんですよね。でも、それってもったいないなって。少ない選択肢でも組み合わせを考えるのが得意なので、使われてない洋服を活かせたらいいなと思ってます。誰かのクローゼットを見て、その中で組み合わせを提案していきたいなと」

パーソナルスタイリストへの復帰について嬉しそうに語ってくれた

ガンとの闘病生活の中で

ファッションが大好きな佳子さん。
ガンになってから様々な本を読む中で、体への理解が深まるにつれ「体が喜ぶモノを着たい」と思うようになった。

洋服を買う基準にも変化があり「長く愛せるモノ、おばあちゃんになっても着られるもの」「長持ちする素材」といったモノを選ぶようになったそう。

値段やブランドだけではない、「良い物」の定義が変わったという

「闘病中は体がしんどくって、タイトな洋服も着れなかったし、入院中は病院のパジャマを着るしかなかったので気分が落ち込んでました。
それでもやっぱりファッションが大好きなので、退院直後の歩けない状態でも買い物に行っていたら、旦那からは服への執着心がヤバいなって(笑)。でも、それぐらい自分にとって大切で、生きるパワーを与えてくれるモノなんです」

闘病生活の中で「当たり前の素晴らしさ」にも気づいたという。毎朝元気に起きること、体を動かすこと、食べることなど当たり前の出来事が当たり前でなくなり、それらの大切さを噛み締めたと言う。

「今までは多くを求めてたけど、今ではただ旦那と犬と一緒に散歩している、それだけで幸せを感じています。1日1日を大切に生きる、さんまさんの言う『生きてるだけで丸もうけ』ということを本当に感じてます。あとは、他人と自分を比べることもなくなったかな」

ガンを患い、人生の価値観が大きく変わった佳子さん。そんな中、逆に変わらなかったこともあるそう。

「私、物欲とアクティブに動きたい欲がすごいんです(笑)。それだけはまったく変わらなかったですね。むしろ今はさらにやりたいことがたくさんあって、それがエネルギーになってます」

「物欲」という言葉とは裏腹に物への洞察力が高く、愛着を持って接している。そんな柔らかくも芯のある人柄が佳子さんの魅力

こういった人生経験があったからこそ、自分の好きなモノ、心がときめくモノを自分のそばに置いておきたいと思うようになり、手放せるモノも出てきたという。

「これからやろうと思っているパーソナルスタイリストでは、眠っていたものを蘇らせたいなと思ってます。たくさんのモノが溢れる中で、自分に似合うモノが何かって分かりずらくなってきてると思うんです。
新しく洋服を買わなくても、目の前のあるもので自分がより素敵になれるんだよってことを伝えていきたいなって。でも、やっぱりいらないものも出てくるので、そこでパストがあったらいいですよね」

クローゼットを整理

そんな洋服が大好きな佳子さんが今回パストしてみようと思ったきっかけをこう語る。

「もともと手放そうと思っていた洋服がけっこうあって、知り合いや友人にあげようと思ってました。『あ、あの娘にあげたらきっと似合うだろうな。きっと長く愛用してくれそうだな』って。でも中には、行き先が見つからないものもあって、捨てるのはもったいないのでパストを通じて誰かの手にわたったら嬉しいなと思いました」

まだ眠っている洋服がないか、クローゼットをもう一度見てみることに。
白が好きだと言う佳子さんのクローゼットは綺麗に整頓されていて、1つ1つ丁寧に扱われていることが分かる。新品を買うことが多かったのだが、最近は古着を買う機会が増えてきているという。

長く着用することで劣化するのではなく、風合いと愛着が増す。そんな洋服たちを身の回りに置くようにしているそう

「誰かが大切にしていた洋服を受け継ぐのって楽しいし、昔のものが残っているのって素敵ですよね。しかも長年着用されていても残っているモノは素材がしっかりして長持ちするので、最近は特に古着が好きですね」

部屋には「猶予ボックス」なるものを置いていて、着なくなった洋服を入れて1ヶ月使うことがなかったら手放すことにしているそう。

洋服の思い出

今回手放すモノの中で、特に思い入れのある洋服を尋ねてみたところ、紹介してくれたのが一見なんてことのないルームウェアだった。

感慨深くルームウェアを眺めている姿を見て、語りきれない苦悩があったのだと想像する

「実はこれ、手術後でずっと外出できなかった時期に着ていたルームウェアなんです。締め付けなくて楽で、ずっと家で着ていました。これを手放せる日が来て嬉しいな。卒業ですね。」

もう1つはこちら。
ウェディングプランナー時代、朝から晩まで仕事に没頭していた時に愛用していたワンピース。

懐かしむような表情で眺めながら仕事での様々なエピソードを語ってくれた

「当時めちゃくちゃ気に入って着てました。大変だったけど、とっても楽しい時代で、『ともに生き抜いてくれた服』という思い入れがあります。私の戦闘服って感じ(笑)。これを見るだけで色んな出来事を思い出すなぁ」

同じ時期、仕事で着用していたアクセサリー類もいくつか手放すことに。当時は自分を売るということもウェディングプランナーに必要な要素で、「この人にやってもらいたい」と思ってもらうことが重要。当然、身なりにも気を遣うようになっていったという。

佳子さんを勇気づけてくれたアクセサリーたち

そんな様々な思い出の詰まった洋服やアクセサリーたちをいよいよパストしに行くことに。

これまで苦楽を共にしてきた洋服たちに感謝の気持ちを込め、畳んでいく

パストしてみた

PASSTOが設置されているフレンテ笹塚に到着し、早速持ってきた洋服たちを入れ始める。感謝の気持ちを込めるように1つ1つ丁寧に入れていく佳子さん。

アクセサリー類はジップロックに入れて投函


「行ってらっしゃい!と、ありがとね!という気持ちでした」

パストする洋服でパンパンだったトートバックも空っぽに

今回、自宅でのクローゼット整理からパストするまでを体験してみて、どのように感じたかを聞いてみた。

「今までの断捨離と違うのは、捨てるのではなく次の人にわたると思うと扱いも丁寧になりました。捨てるとなると、ビニール袋に投げ込むような感じになって『焼かれちゃうんだなー』という気持ちになってしまいますが、パストを通じて手放す洋服への愛着が増して、より一層洋服に感謝するようになりました。自分のお気に入りだった洋服たちがまた誰かの手に渡って活躍できるって、本当に素敵ですよね」

ファッションが大好きで、洋服からパワーをもらっている佳子さん。
パストした後の表情はどこかすっきりした様子。柔らかな関西弁と明るい笑顔で一言。
「ありがとうー!」

素敵なストーリーとともに大切な洋服をパストしてくれた佳子さん。ありがとうございました!

佳子さんのパストしてみたストーリーはいかがでしたでしょうか?
ぜひみなさんの自宅に眠っているモノがあればお近くのパストにしてみてはいかがでしょうか。

使わないモノは次の人へ。
パストしよう。

岡本佳子さんプロフィール

30歳の時に、このままでは何者にもなれないと人生に迷いファッションスタイリストを目指しイメージコンサルタントの資格を取得、その後パーソナルスタイリストとして活動を始める。

自身の結婚式を通じて、より自分らしい結婚式ができるはずと35歳でCRAZYWEDDINGに参画。大阪支社を立ち上げ、表参道IWAI立ち上げにも力を注ぐ。

長い不妊治療の末、100万人に1人の癌「腹膜偽粘液腫」になり健康の大切さを痛感する。

2023年の手術後、悪いものが出ていった感覚とともに身体も思考もスッキリとクリアになり、未来に目を向けれるようになった。
そこから「自分の知識や経験を活かして、誰かの人生に少しでもプラスの影響を与えたい」という思いが生まれた。

クローゼットに眠っている洋服を甦らせ、誰かの「自分で自分の『好き』を形作る」ことをサポートしたい「ファッション大好き、癌と共に生きるSmileメーカー」

Instagram:yoshikookamoto


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