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保険選びの勘所を探る 医療保険

私が保険選びで重視する点

私が保険選びをする時には以下の3点を総合して決める。

①保険料
②保険金額
③支払われる場面

さまざまな保険ランキングでは①と②については取り上げられるが、支払われる場面について掘り下げたものは少ないように思う。そこで、ここでは最も加入件数が多い医療保険について③の観点で掘り下げてゆきたい。

入院保障の支払条件について、私が最も重視するのは日数合算基準である。なぜならば、合算基準にはその保険会社の思想が凝縮されているからだ。

不担保期間があるかどうか

「入院して最初の○日間は保障されません」といった条項があるかどうか。不担保期間があるということは日帰り入院などは保障されない。

日帰りから保障している保険と比べると保険料は安くなる傾向がある。長期入院になるような重症な事態に絞って備えたいという思想である。

限度支払の境目

入院保障は基本的に複数回支払える保障である。ただし、そこには2種類の「この場合は払いません」という注釈がつく。

一つ目は保障トータルでの限度支払い。たとえば「最大1095日まで支払います」というやつである。過去からの支払いの通算がこれを超えると払われなくなる。これは滅多なことでは引っかかることはない。

二つ目は「1回の入院あたり」の限度支払い。「前回入院した時から○日以内の入院」は同じ入院とみなして、そこに限度を定めている。

がんで長い闘病生活を送って500日とか入院していても、この条件に引っかかって「60日以上は払いません」「180日以上は払いません」となる。

当然、この制限日数が短いほど保険料は安くなる。

余談だが、この日数算定は数式で表せるところが多分にあるのではないかと思っている。事務システムと数式は実は相性がよくて、難しい条件分岐を数式は1行で表すことができれば、構築の手間がかなり省けたりする。

保険会社だと理系の人間はアクチュアリーなどの仕事に回ることが多いのだが、実は事務システムで力を発揮できる局面がまだまだ眠っているのではないかと思っている。

特定の疾患に限って手厚くするか

保険会社によるが、三大疾病や女性特有の疾患など、特定の事由についてはさらに手厚く入保障を用意するオプションが選べる場合がある。

どんな原因でも支払う入院保障(以下、"基本の入院保障"と呼ぶ)と、特定原因に絞った入院保障を別にすることで、保険料の調整がききやすくなる。

例えば、「基本の入院保障で日額1万円」を用意するより、「基本の入院保障で日額5千円、生活習慣病で日額5000円」としたほうが保険料は安く済む。

私はまさにこのパターンで、基本の入院保障に加えて生活習慣病(3大疾病など)に絞った保障も上乗せで手厚くカバーしている。

さまざまな医療分野の本を読んでも改めて思うが、ガンは長期戦になりやすい病気なので特別に手厚くしようという意識が働いた結果である。

"基本の入院保障"と"事由を絞った入院保障"は日数カウントが別々になることが多く、保険会社としては計算がややこしいことこの上ないのだが、加入者の選択肢向上のためにこのようなコストをかけているのだろう。

さて、ここまで読んでいただいた方は分かると思うが、冒頭で述べた①〜③はトレードオフの関係である。保険金額を増やしたり、保障範囲を広げる行為は全て保険料に跳ね返ってくる。

「保険料を安くするかわりに、あなたはどの部分の保障を捨てたのか」は、保険を構成する極めて重要な要素だが、難しいので理解がフワッとしがちである。

入院保障を選ぶときに上記の3ポイントを押さえておけば、「納得感のある保険選び」に近づけるだろう。

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