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心エコー AI 自動計測

Shiokawa, N.; Izumo, M. et al  Accuracy and Efficacy of Artificial Intelligence-Derived Automatic Measurements of Transthoracic Echocardiography in Routine Clinical Practice. J. Clin. Med. 2024, 13, 1861. https://doi.org/10.3390/ jcm13071861


アブストラクト:
超音波心エコー検査(TTE)は、臨床現場で心臓の形態、機能、および血行動態を評価するための標準モダリティです。人工知能(AI)の臨床応用が期待されていますが、その日常的な臨床実践への影響は完全には評価されていません。本研究では、AI搭載TTEを使用して30人の患者を対象に、TTEパラメータの手動測定と自動測定を比較しました。その結果、専門家による手動測定と自動測定の間で非常に高い一致が見られました(左室充填速度のE波とA波の相関係数はそれぞれ0.998と0.996)。しかし、左室壁厚の自動測定は手動測定と比べて一致性が低く(中隔:r = 0.670、後壁:r = 0.561)、自動測定値が大きくなる傾向がありました。自動測定は測定時間を短縮することが確認されました(p < 0.001)。この予備的研究は、日常的な臨床実践においてAI搭載TTEの精度と効果を確認し、より大規模な多施設研究が望まれると結論付けています。

背景: 超音波心エコー検査(TTE)は、臨床現場で心臓の形態、機能、および血行動態を評価するための主要な手段であり、そのコスト効率の良さと最小限の侵襲性から広く利用されています。最近では、左心機能だけでなく、右心機能や全体的な縦方向のひずみの評価の需要が高まっています。

方法: この後ろ向き研究では、2022年12月15日から2023年1月6日までの間にAI搭載超音波診断装置を使用して検査された49人の患者を対象にしました。その中から、心房細動やペースメーカー植込みなどの理由で19人が除外され、最終的に30人が研究に含まれました。左室の各種寸法や血流速度などが自動的にも手動でも測定されました。

結果: 専門家による手動測定と自動測定の間には高い一致が見られ、特に左室の充填速度(E波とA波)や出口の速度時間積(VTI)が非常に高い一致を示しました。しかし、左室壁厚の測定においては、自動測定が手動測定に比べて一貫性が低くなる傾向がありました。

議論: AI搭載の自動測定システムは、手動測定と比較して高い精度を持つことが示されましたが、左室壁厚の測定においては改善が必要です。また、自動測定は測定時間の短縮に寄与することが示され、特に初心者の場合、教育ツールとしても有効である可能性があります。

先行研究との比較における新規性: この研究は、日常的な臨床実践におけるAI搭載TTEの精度と効果を確認する初の試みであり、特に自動測定が測定時間を大幅に短縮する点で新規性があります。

限界: この研究は単一施設で少数の患者を対象に行われたため、結果の一般化には限界があります。また、画像の質に依存する部分もあり、自動測定の精度が低下する可能性があるため、画像品質の向上が求められます。

潜在的な応用: AI搭載TTEは、臨床現場でのルーチン検査の効率化に寄与する可能性があり、特に訓練を受けていない技術者でも正確な測定が可能になるため、広範囲にわたる臨床応用が期待されます。

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