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コロナ禍のTEACCHプログラム

 今日は長女の通う通所施設の入所式です。特別支援校を卒業した人、一度就職したけれど、就労を続けることが難しくなって、生活介護の利用を始める人たちが、胸をどきどきさせてやってきます。
本人たちよりも、どきどきしているのは、お母さん、お父さんたちでしょう。新しい環境に慣れるまで、通所コースに慣れるまで、親の苦労は並大抵ではありません。電車に乗っての通所となると、親は刑事ドラマのように、子供たちを尾行し、無事電車に乗ったか、無事、降りたか確認する毎日がしばらく続いて疲労困憊。電話が鳴ろうものなら、うちの子が何かしたのではと、ギクッとします。コロナ禍で、活動の制限がたくさんありますが、親も子もよく頑張って乗り切っています。

 すべての人々が大変な毎日を過ごしているこの数年ではありますが、私は社会全体が、TEACCHプログラムを取り入れてきているのではないかと感じています。
 TEACCHプログラムとは、自閉症の当事者とその家族を対象とした生涯支援プログラムです。
自閉症やADHDなどの人が、生活していくために、わかりやすく構造化して、言葉で説明しなくても、一目見てわかるようにする方法です。時間管理が苦手な人にはスケジュール表を提示。仕事がしやすいように、道具の置き場所を決める。など、その人に合わせていろいろな工夫をしていきます。

ではどのようなところに構造化がみられるでしょうか。
 まず、立ち位置の表示。レジや受付で並ぶとき、床に線が引かれていたり、足のマークが描かれて、どこに立ったらいいのか一目でわかります。椅子も一人おきに間隔をあけて座るよう、座ってはいけない席に×マークがついていて、座る席が明らかになっています。

 そしてソーシャルディスタンスのマーク。相手と距離を取るのが難しい自閉症の人たちにって、具体的指示はありがたい。距離や感覚を教えるのは本当に難しいのです。
そしてなんといったって、「ついたて」です。町中あちこちアクリル板。
自分がどこに座り、どこに立ち、どのくらい距離を置き、相手との間に仕切りがある。これは、もう町中が構造化。
 環境やスケジュールの変化が苦手な自閉症の人にとって、行事が少なくなったということは、いつもの生活が変わりなく続くので、気分の変化が少なくなり、ありがたいと思う人も多いのです。
我が家の長女も行事が苦手で、行事が続きスケジュールが大幅に変化すると、パニックを起こしてしまうほどですから、平穏な毎日の継続は大助かりです。

コロナが早く収束して、平和な暮らしが戻ってくるのが一番ですが、制限の多い生活は、障害ある人やその家族にとっては、以前から続いていたことなので、さらに工夫を重ね、たくましく乗り切っています。障害のある人の暮らしから、学ぶことは、今だからこそたくさんあるのではないでしょうか。

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