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やるじゃん!CD!(Wadia WT3200編)

noteに投稿を始めた頃から、何故だかちょっと古いオーディオ機器たちがグングン寄ってきています。そしてこの度、またしても。。

*どんなコが寄ってきたかというと。

WadiaのWT3200というCDトランスポート。亡くなった友人宅で眠っていました。本当にひょんなキッカケでワタシの眼前に登場した刹那『あ、このコはウチで引き取らなきゃいけない!』という直感がビビビ。出会った日のWT3200は満身創痍で、電源は入るもののトレーすら開かず。『たたた、助けてください・・』と涙目で訴えかけてきたように思えました。

Wadiaは憧れの高級オーディオ機器メーカーでした。真っ黒で重厚な趣き、そして発する音色は研ぎ澄まされて美しい。2010年代までは結構流通していましたが、たとえ中古品とておいそれと購入できるような価格ではなかった。なので所有するのは初めてです。

CDトランスポートだというのに、
その体重はおよそ13kg。重いってば。

そして『Wadiaって壊れてしまうと修理代がとんでもなく高額』とか『そもそも直してくれるヒトがもういないんじゃない?(2023年現在)』とか、孤高のブランドにありがちな、ネガティブ情報をよく耳にします。でも前述のとおり『このコは引き取らなきゃ!』という使命を感じたワタシは、大阪在住の凄腕エンジニアに『面倒みてくれませんか?』と、速攻な連絡。

『あ、いいですよー。とりあえず拝見します』と、ちょっと拍子抜けするくらいにアッサリと診察受付をしてくれました。

このエンジニアは、ワタシが独立したとき最初にお声をかけてくれた方。これまで随分と難題を持ちかけましたが、必要なパーツの入手が可能な場合はほとんどミッションクリアー。オーディオ・エレクトロニクスに関しては、あらゆるジャンルのメンテナンスを引き受けてくれます。このWT3200はアチコチに不具合を抱えていたようですが、なんと数日間で健康体に。

フィリップスの銘機、CDM1メカ搭載。
ワタシのパートナーエンジニアは、特にフィリップスに詳しい。


*ところでCDトランスポートってナニ?

CDとは、あの光るポリカーボネートの円盤に『ピット』と呼ばれるデジタルシグナルの符号を打ち込んだモノです。その円盤を回転させ、盤面に刻まれたシグナルをレーザーで読取る機器をトランスポートと呼びます。

ピックアップしたデジタルシグナルを、アナログシグナルに変換する機器がDACです。デジタル・アナログ・コンバーターの略。アナログに変換されたシグナルはアンプで増幅され、最終的にスピーカーやヘッドフォンから出力されます。

一般的に『CDプレイヤー』と称されるモノは、このトランスポートとDACがひとつの筐体に同居しています。ハイファイオーディオでは音の精度を高めるために、ふたつの機能を別体に分けて独立さた製品が存在します。

ハイレゾ音源を聴くためにもDACは不可欠なので今でもDACは進化を続けていますが、CDというフィジカルメディアが斜陽になってしまった現在、独立したトランスポートはメッキリ機種数が減りました。


*で、音はどうだったのか?

素晴らしかったです。すっかり有頂天です。サスガは一世を風靡したブランド。CD円盤から鮮度の高い情報がジュワジュワと溢れ出てくるカンジ。ヘッドフォンで聴くと細かいニュアンスがより一層分かる。スゴいですマジで。

そして改めて『あら、CDって結構やるじゃん!』と。ナニを今更な・・
ここのところアナログレコードに夢中なワタシですが、お手軽操作でこんなに美音が聴けるって、CDのポテンシャルも捨てたモンじゃないです。

『CDいっぱい持っているんだけど、これからコレらはどう扱ったらよいだろか?』という相談を頂くことが多々あります。保管に場所をとりますからね、もう聴かないなら処分すべきか?という主旨です。

『リッピングしたらダンボールに入れて押入れにしまっておいたら?』なんて回答した場面もありましたが、これからは『お持ちのCDプレイヤーをトランスポートとして使って、ちょっとよいDACを買って、これからもCD盤も楽しみましょうよ。だって操作が簡単だから便利でしょ?』という回答に切り替えていこう。

*今週のまとめ。

この仕事に携わっていくのなら、なるべく新品購入できる機器をご案内すべきだと、そう思っております。しかし、だがしかし、いまの新品機器は高額過ぎます。そして製品の佇まいが往年のモノとは違うテイスト。

だとしたら『ちょっと古いモノをメンテナンスしながら大切に使う』という趣味も大いにアリです。無骨なデザインや重み、なんともいえないカタマリ感みたいなオーラって、やっぱり魅力的です。長く愛でてあげましょうよ。気付いたらワタシの身の回りは古いモノばかりになってきました。


*新コーナー『今週の1枚』。

前編、前々編でソフトの紹介をしましたけど、これは小出し継続した方がよいかな?と思ったので試しに書いてみます。

麗しきポーランドの音楽家、ANNA MARIA JOPEK(アンナ・マリア・ヨペック)さんの『ULOTNE』。2018年リリースです。お客様から教えて頂いた音源。アナログ盤とCDをまとめて購入しました。彼女のアルバムはどれもジャケットの写真が美しい。もちろんご本人も美しい。そしてこのアルバムは楽曲が格別に美しい。

ブランフォード・マルサリスさんが参加しています。
ポーランド語で歌っていますが、日本語の歌詞カードが付いてる。全くの個人的感想ですが、ポーランド語ってなんとなくアジアな匂いがします。そしてこのアルバムに収められた楽曲は、静かに深く、疲れた脳みそと心に沁みてきます。嗚呼、美しい。。

ではまた来週に。
2023.3.1

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