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トルコ日記☆番外編②

トルコ旅行記番外編 其の弐<介助者>

介助者がいなきゃ、なにもできないのが、重度障害者。

しかし、誰でもいい、っていう訳ではないんです、
特に海外旅行ともなると。

よく勘違いされるのが、
「介助スキルが一番大切」だと思われること。

もちろん、基礎的な介助力、介助技術、介助知識は必要ですが、
旅介助に一番大切なのは、
「長時間一緒にいても疲れない」こと。

普段の介助は、長くても10時間程度でバイバイ、また来週、ってなる。
でも、旅行介助だと、何日も一緒に過ごすのです。

家族で旅行しても、2日目くらいでケンカになったりするでしょ(笑)
それを、極限までストレスなく一緒に過ごすためには、
私の旅行のペースに合わせられる人じゃないと無理なのですねー。

それから、可能な限り海外旅行経験者であること。

海外旅行に行くときに、最もバタバタするのが飛行機に乗るとき。

で、今まで書いたように、チェックイン、セキュリティ、搭乗、機内での姿勢や酸素飽和度管理などでバタバタするため、それ以外の介助者に出す指示は、必要最低限にしたい訳です。

「飛行機に乗る時にはね、まずチェックインっていう作業があってね、そこで手荷物以外の荷物は預けるからね…。」みたいな指示は、出してる余裕ないんですよ。

なので、「あ、次はチェックインだから、パスポート出しておかなきゃな…。次は搭乗だから、その直前にトイレ介助あるかもな…。次は搭乗だから、まず自分の荷物を置いてこよう…。」みたいに、次の動きを、多少予測しながら動いてくれないと、ちょっとしんどい(笑)

あと、柔軟性があること。
海外旅行なんて、トラブルがあって当たり前。
「介助はこうあるべき!こういう時にはこうしなきゃ!」
みたいに、マニュアルがないと不安、
っていう人は、疲れちゃうだろうし、楽しめないでしょ(笑)
どこか、「ま、こんなもんでいっか!」と、
融通効かせられる能力が必要です。

あとは、人に任せられるか。

旅介助は、最近は2人介助にしているので、
2人でうまく役割分担していく必要があるんです。
責任感旺盛なのも結構ですが、
なんでも自分が自分が!となるのではなく、
時には「これ、よろしく、やってくれる?」と任せられるかどうかも、
すごく重要。

今回、私のトルコ旅行をサポートしてくれたのは、
MちゃんとAの2人。

Mちゃんは、ちょっと前までうちの職場のスタッフで、
寿退社したのですが、
今回勢いよく旅介助に立候補してくれました。

実は彼女、私の旅介助はもとより、
私の生活介助にもまともに入ったこと、ないんです(笑)
でも、職場での介助はやってたので大丈夫、と即採用(笑)
何より彼女の、柔軟性がすばらしい。
「ま、いっか」の達人です。
何を頼んでも、ビビらずすぐにパッと動いてくれるので、助かります。
あと、車いす押すの、うまいのよ彼女。

もうひとりのA。
彼女は、私が13年前に自立生活を始めた時の、
スターティングアテンダントメンバーのひとり。
当時まだ高校生で、なにをするにもおっかなびっくりで、
常に介助者である自分の役割や立ち位置やスキルなどについて、
悶々と悩む子でしたねぇ(笑)

でも、今となっては、
彼女ほど、障害者の気持ちややりたいことを尊重し、
時には黙って静かに寄り添い、
時にはぽんと背中を押してきっかけ作りをしてくれるような、
一緒にいて安心な人はいないでしょう。
悩むのも、「ま、いっか」と同じくらい大事なのね。

彼女は、5~6年、私の介助にどっぷり入ってくれていて、
旅介助も多かったんですよね。
なにせ、彼女の初海外は、私のパキスタン介助でした(笑)

今は奈良にいるのですが、
「トルコ介助、どう?」との誘いに、
「あたしでええのん?」と言いつつ、はるばる駆けつけてくれました。

MちゃんもAも、
旅の中でのアクシデントを乗り越えるリスクを楽しめるタイプなのです。

すごく大事!

今回、幸運にも、それこそ最強の二人介助を得たという訳。

これが、私がトルコ旅行を最大限楽しめた理由のひとつです。

今回、正直、かなりのお金がかかりました。

トルコ旅行のツアーって、内容はともかく、
まあ、20万くらいあれば、行けるみたいなのね。
で、私の場合は、
現地でのリフトバン代やガイド代、
機内での酸素ボンベ料金などの他に、
介助者の旅費や宿泊費、保険など全部、私がもつことにしてるので、
通常のツアーの10倍以上かかる訳。

なので、2人には、
「今回、めちゃお金かかるので、
 介助料は1旅5万っていう格安でお願いできますか…。」
と打診。

2人の介助者たちは、
「別に介助料とか、いらないし!
 トルコ旅行連れてってもらえるだけで、十分です!」
って言ってくれたのですが、まあ、そうもいかない…。

ここが難しいところ。
あくまでも「介助」でのトルコ同行。
ただのお友達でも、ボランティアで行ってもらう訳でもないのです。

いくら彼女らが、「あのお店にちょっと寄りたいなあ~」と思っても、
私が早く別のところに行きたければ、「はい、それダメー」となる。
いくら彼女らが疲れ果てていても、
私がお風呂に入りたければ
入浴介助という労働をしてもらわなければ困る。

そういう強制労働的な部分については、
やっぱりお金を払った方が、
お互いに割り切って付き合えると思うのです。

これも、自分のためのトルコ旅行を楽しむための大きなポイント。

一方、せっかくトルコまで行ってるんだから、
介助者も一緒に楽しもうよ!という気持ちもある訳です。

だから、1時間いくら、というかっちりした支払い方ではなく、
ざっくりの支払い方にして、遊びをもたせる。

このバランスが、とても重要なポイント。
相手によっても、行先によっても、介助の量によっても、滞在日数によっても変わってくる。

休憩についても考慮が必要。

私の場合、2人以上介助なら、必ず「完全休憩」が取れる時間を作ります。

今回の場合は、日中はどうやっても2人介助が必要なので、
日中は、2人で相談してもらいながら、
「メイン介助」と「サブ介助」を交代しながらやってもらいました。
メイン介助は、主に私の車いすを押したり、食事介助をしたり。
サブ介助は、荷物持ったり、写真撮ったり、ビデオカメラ回したり、段差の補助したり、石畳で私の頭が取れそうになった時に、頭を拾ったり(笑)

で、夜間は、シングルの部屋をひとつ取って、
「絶対介助を頼まない時間」を作りました。

1日の介助の流れは、例えば
Aが泊まり介助から朝ごはん終了まで、
Mちゃんが朝ごはん終了から夕方まで、
Aが夕方から寝る準備まで、
Mちゃんが泊まり介助、みたいな感じになってましたねー。

2人で、うまくコミュニケーション取りながら
やってくれたので助かりました。

今後も、旅介助者がいないとどこにも行けないので、
ひとりひとりの介助者と、うまく付き合っていきたいですね。

A、Mちゃん、感謝してます!

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