思考・論理・分析

いわゆるロジカルシンキングのテクニック本とは異なり、そもそも思考とは何か?からスタートする本です。各文言は定義され、他の文言との違いが説明されます。「ものを考える」とは何をやっているのか、ザクッと捉えていたものを分けて捉えられるように、切り口を提供してくれます。

このそもそも思考とはどういったプロセスで行われているのか?という問いに対する答えは、思考の構造を分析したもので、人工知能のプログラムにも応用されているものと思います。生物模倣の一例を理解する上で、興味深い本と感じました。

以下、興味深かった点をあげます。

思考とは『思考者が 思考対象に関して 何らかの意味合い(メッセージ)を得るために 頭の中で情報を加工すること』である。
・情報は、すでに持っている知識と、頭の外にある情報の2種類のみ。
・情報の加工とは、情報を要素に分け、情報要素と情報要素とを突き合わせて、同じ部分と違う部分の認識を行い、その認識の集積によって思考対象に関する理解や判断をもたらしてくれるメッセージを得ること。
・情報を正しく分けるための要件は、ディメンジョンを整えること、適切なクライテリアを設定すること、MECEであること。

思考の方法論としては、知識を掘り起こし・情報収集し、①事象の識別(属性の理解を含む)を行い、②事象間の関係性の把握して、それらを組み合わせていくしかない。

①事象の識別(属性の理解を含む)とは、その事象の要素を他の事象の要素と比較して、他のものとの違いを認識する行為。
・比較するときのポイントは比較対象とクライテリアの選定で、選定にあたり構造的に整理された知識が有効となる。
・構造とは、ある事象の構成要素とそれら構成要素群の位相(つながり方、位置関係)によって成立するもので、これらが理解しやすいように明らかにされている状態が望ましい。
・具体的には、ディメンジョンを整えること、適切なクライテリアを設定すること、MECEであることの3点を満たすことである。

②事象間の関係性は、相関か独立かのいずれかである。更に相関は単純相関と因果に分かれる。
・因果の成立条件として、時間的序列と意味的連動性が必要となる。
・留意点としては直接的連動関係、第三因子、因果の強さが挙げられる。遠因である場合や原因群の1つだが主因ではない場合があり、解決策の効果に影響する。

論理的であるとは、形式的に論理構造を備え・根拠から主張を導く論理が妥当であるだけでなく、納得性の観点から主張の意味内容が現実的に妥当であることも包含することが多い。

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