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早朝3時に現れるスポブラおじ"フワさん"

あれは24歳夏の話
コロナの影響で会社全体で定時退社とリモートワークが推奨された頃。
副業が全面的にOKとなったタイミングで、
ずっと憧れていたカブに乗る為、深夜の新聞配達のバイトを始めました。

こんなお洒落なカブは新聞配達してない

夏の深夜バイク、田舎ということもあり道には人気は皆無。
道路を独占状態で走れる感覚が、何とも言えない充実感をくれました。
仕事というより趣味の延長で楽しんでました。


蝉の声が聞こえる早朝
生ぬるい風は最高に気分を上げてくれます。

1週間ほどで道順にも慣れ
ルンルンで運転していると
彼は突然現れました。

夏といえど深夜3時の道は漆黒
街灯とカブのライトだけが頼りです。

特に住宅街に入ると、街灯も減り
暗い死角が増えます。

こんなオサレじゃなくて田舎の街並みよ

覚えたての道を走り、
「ここは〜毎日新聞で〜」と独り言を挟みつつ
朝日、読売、と順番に新聞を入れていく。
この家の次は、一旦Uターンしてと、、、、

狭い道をUターンして振り返ると
目の前に急に、スポブラ短パン姿の男性の姿が現れました。
フワちゃんならぬ、フワさんです。
(多分ジーパンの短パンだったので、スギさんって呼ぶか迷いました)

思わず、「うぉぉっい!!!」と、バイクが倒れそうになるのを必死に耐えていたのを覚えています。

心臓止まるかと思うほど怖かったです。

その男性は、私の声に驚き
サササっと闇に消えていってしまいました。


その日以降、同じエリアを配達する時には
自然と心拍数が上がってしまう自分がいしました。
暗闇を背に振り返る瞬間は、毎回グッと力が入ってしまいます。

毎日ではないものの、週に2回位の頻度で
同じような「うぉぉっい!!!」という体験をしていました。
、、これ、毎日じゃないのが逆に怖いんよな。。

そんな日々を1〜2ヶ月ほど過ごしていると
段々と、なんかフワさんに会えるのって
はぐれメタルと出会う瞬間みたいじゃね?
キンセツシティ歩いてたら急にラティオス出てきた的な、
レア感を感じる様になってる自分がいました。

もうほぼ、恋です。

そんな気持ちに気づいた頃、季節は段々と秋に近づき、深夜の気温も下がっていきました。

夜の気温が下がるに従って
フワさんも姿を見せなくなっていきました
夏の妖精さんです。

今日もフワさんいないな〜
元気にしてるかな〜
なんて思う様に配達していたのも過去の話。

今日も晴天!それでは!

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