私のしっぽは動かない
「よーいドン!」
牢屋役の子のかけ声で、クラスのみんなが一斉に走り出した。早速地元のサッカークラブに入っている男子が、三、四人で走っている女子のしっぽを片っ端からタッチしに行った。女子たちは牢屋行きになったのに、きゃあきゃあ楽しそうだ。サッカー男子は敵チームを全滅させると意気込んでいたけど、もう二人の女子を牢屋送りにしたところで、クラスで一番背の高い女子にあっさりしっぽを掴まれた。積極的に人を追いかけていく子は狙われやすいし、自分の後ろを守るのがおろそかになる。
「ジュンヤ