【試合観戦記】 4/2楽天4-2日本ハム:勝敗を分けた6回裏の攻防劇
勝敗を分けた6回裏の攻防
2点リードした9回裏は新守護神・則本昂大が4球でサクッと締めてくれた日本ハム1回戦。ロースコアをめぐる3時間7分攻防の勝敗を分けたカギは、6回裏にあった。
5回表、イーグルスが9番・村林一輝の1号2ラン(チーム今季1号)で先制。E2-0Fで迎えた6回裏、楽天のマウンドには二番手ターリーが登っていた。
先発・ポンセは5回3安打無失点。1死球を与えたが、6Kを奪う力投だった。
立ち上がりと3回にピンチを迎えたが、要所を制圧。
初回は緩急を効かせて相手の3番・4番を手玉にとると(外真っ直ぐで万波を棒立ちの見三振にとったところはロケーション最高だった!)、3回は下位打線の連打で無死2,1塁とされたが、相手打順が1番に返った上位を三者連続三振斬りにし、波に乗った。
そして5回75球でお役御免となり、楽天は6回から継投に入ったというわけだ。
尻上がりに調子をあげて、球数75球。あと1イニングは行けるだろうと思われたなかでのバトンタッチである。もし後続が追いつかれたり、試合をひっくり返されたら、その継投判断は必ず槍玉にあげられる場面だった。
しかし、この交代は妥当と言えた。
この日は最速155キロを計測。空振りも多数奪取した力強いファストボールは平均151.5キロと昨年値を上まわり、かなりの高出力を誇った。日本ハム時代は2022年83.1回、2023年51.2回と、年間100回にも満たない稼働。その背景には、あれだけのハイスピードを投げ込む身体への反動が、相当大きかったと思われる。
開幕前の実戦では3/19中日戦の4回56球が最多。なによりこれが今季初登板なのだ。今後の長丁場を考えれば無理は禁物。良いイメージで終わらせ、相手打順が3巡目の1番から始まる6回にリリーフを注ぎ込んだベンチの判断は支持できた。
目先ではなく、そういう長いスパンで決断したベンチの判断も、後続が試合を壊したら、おじゃんである。その意味で、1点は返されたけど同点にはさせず、リードを維持したまま三番手につなげた6回裏がカギだった。
6回、二番手ターリーは1死後、2番・松本剛に中前へ弾き返されると、3番・万波中正には長打を警戒してフォアボール。1死2,1塁で4番・マルティネスと対峙していた。
昨年から北の大地に活躍の場を移したキューバ人は、来日5年目のオープン戦は打率.341と好調。しかし開幕後は14打席ノーヒットと苦しんでいた。そう、両軍の4番はともに無安打だったわけだ。
浅村栄斗はこの日も4タコ。そのうち2打席は得点圏での凡退と鷲の野手キャプテンが苦しむなか、お先にとばかりに今季初安打を弾き返したのはマルティネスだった。おりしも浅村が守るサードの横、三遊間を射抜いていく左前タイムリーだった。
E2-1Fと1点差に迫られ、なおも1死2,1塁ピンチ。後続を空三振に退けたものの、6番・水野達稀に1塁へ頭から飛び込んでいく執念のセカンド内野安打を許し、2死満塁とさらなる危機に。
もはや四死球すら許されない状況でバッターボックスには7番・レイエス。年明け早々ファイターズが日米7球団の争奪戦を制して獲得したMLB108発のスラッガーだ。
ここまで無安打だった相手4番にタイムリーを許し、後続に討ち取った当たりながらも泥臭くつながれ、そしてフルベースの危機。楽天にとっては流れが悪すぎる、そういう状況だった。
レイエスは2/18金武での練習試合でドラ1古謝樹から仰天の右越え2ランを放っており、ひとたびバットに球が当たるとフライ率高く高速打球と高いバレル率にヒヤヒヤさせられる巨漢打者である。
その初球だった。
ストライクを取りにいったアウトハイ151キロ速球を狙われてしまう。
打った瞬間・・・(続く)
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