3割30本30盗塁にUZR+30。クアトロスリーも夢ではない、楽天オコエ瑠偉の驚異的な守備力

現在、楽天戦で胸熱旋風を巻き起こしている背番号9、オコエ瑠偉。

5月29日の1軍再昇格以降の約3週間は、あまりにも濃密すぎた。「えっ? まだ1カ月足らずなの?」と感じている私のようなファンは、正直、多いかもしれない。乾いたスポンジのように貴重な経験を吸収し、濃縮な時間軸を一気に駆け抜けたオコエ。

打撃は山田哲人、守備は新庄剛志とイチロー、走塁では鈴木尚広を目標に掲げ、海外FA権取得を待たずに10年以内のメジャー挑戦を実現させたい。そんなオコエのデッカい夢が開演した。そして、その夢は、ひょっとすると、かなり短縮されるのでは? そんな雰囲気を早くも漂わせている。 

ハマスタでオコエが今永昇太からプロ1号を放ったとき、私は10代でメジャーデビューを飾り、大舞台でホームランを放った若きアンドリュー・ジョーンズとどことなくダブる姿を、ダイアモンドを一周するオコエの姿に垣間見ていた(当時のAJはお散歩おじさんではなく、カモシカのようにスラリとしたそれは見事な体躯だった)。 AJがそうだったように、オコエも一気にスターダムの階段を駆け上げっていくのだろう。

(余談だが、再昇格後、オコエを控え要員にせず、スタメンで使い続けていること、そして6月12日広島戦からアット・バットが最も多くまわる1番に据えたこと、さらにオコエを使い続けながらもチームが勝利を重ねたこと、これらの梨田采配は、しっかり評価されるべきだと思う)

さて、本稿ではそんなオコエの活躍劇から、守備についてクローズアップしていきたい。

3割30本30盗塁という"未来のトリプルスリー"と騒がれるオコエだが、私はそこに「中堅UZR+30」を付け加えたクアトロスリーに期待している。

いつだったかTwitterでそんなツイートをしたなあと思って調べてみたら、大阪舞洲で行われた昨年のU-18ベースボールワールドカップの直後、9月16日に、下記のように呟いていた。

中堅UZR+30とは、あまりにも途方もないのでは?と笑われるかもしれない。fangraphsによると、あのイチローですらキャリアハイのUZRは2003年に右翼で残した+21.1だった。メジャーで10年連続のゴールドグラブ賞を受賞したAJでも2005年に中堅で記録した+26.2が最高値だった。もちろん、この数字はメジャーのもので、NPBと比べることは全くできない。それでも、外野手がUZR+30の数値を叩き出すことは相当困難なことを指し示している。

しかし、5月29日の1軍昇格以降、センターの定位置にオコエが就くようになって、オコエの中堅UZRが日々上昇を描くさまを毎朝確認するたびに、143試合フルイニング守備に就けば、オコエだったら、ひょっとしたら、その数字も達成可能なのでは?と思わせてくれるのだ。

さて、ここに、1個人では算出が複雑怪奇で確かめようがないUZRを使わずとも、その類まれなる守備能力の一端を証明できそうな「面白いデータ」がある。

今年も当ブログは楽天戦の全試合をなるべく細かな記録を取りながら観戦することに尽力してきた。そのデータを抽出したのが、下記表になる。

まずは、じっくり、想像の翼を広げながら、ご堪能いただきたい。

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