【試合評】 藤田一也が魅せた今季2度目の快挙~2016年6月12日○楽天イーグルス4x-3広島

今シーズン3度目のサヨナラ勝利は2死無走者から!!

延長11回裏、2死2,1塁のサヨナラ機だった。バッターボックスは9番・藤田。9回代打で途中出場した背番号6のサヨナラ打で、4時間8分の接戦に終止符を打っている。

マウンド上は中崎雄太だった。今季ここまで27試合で防御率1.59、2敗5ホールド13セーブと快投を続けるぽっちゃり右腕に対し、11回のイーグルス打線は僅か5球で三者凡退に切り伏せられてしまった。その回またぎ翌11回も、岡島、途中出場の阿部と凡退が続き、2死走者なしになっていた。

この2死走者なしこそ、今シーズン3度目のサヨナラ勝利の開演になった。

両軍のスタメン

広島=1番・田中(遊)、2番・菊池(二)、3番・丸(中)、4番・新井貴(指)、5番・エルドレッド(指)、6番・鈴木(左)、7番・松山(左)、8番・西川(三)、9番・磯村(捕)、先発・中村恭(左投)

楽天=1番・オコエ(中)、2番・聖澤(左)、3番・茂木(遊)、4番・ウィーラー(三)、5番・岡島(右)、6番・内田(一)、7番・牧田(指)、8番・足立(捕)、9番・吉持(二)、先発・戸村(右投)

藤田一也、楽天移籍後で初のサヨナラヒット!!

起点は枡田が作った。

3点差を追いかけた6回、代打から途中出場していた。6回、楽天は好投していた先発・中村恭平を、吉持の三塁打を合図に攻め立てた。長短5安打を集めて3得点。同点に追いつき、中村恭をKOに追い込み、なおも2死3,2塁。ここで代打で起用されたが、火消しに入った二番手ヘーゲンスの前に連日の凡退。

その枡田が、このシーンでは持ち味の選球眼を発揮し、四球を勝ち取っている。2度空振りさせられ、ストライク先行で追い込まれた後の出塁劇だった。本当に良く球を見きわめて1塁へ歩いたと思う。

2死1塁、梨田監督はとっておきのカード、代打・後藤を切る。今季、代打で10打数5安打の戦果を残している背番号4は、昨日の再現よろしく1,2塁間をゴロで破る右安を弾き返し、2死2,1塁で藤田に打席がまわしたのだった。

初球、内角いっぱいでストライクを奪われた後の2球目を弾き返した。中前へ弾んだ打球を2バウンドでセンターの丸が処理、ダイレクトのバックホームを見せると、2塁走者・枡田も3塁を蹴ってホームへ突入。丸からの本塁返球が大きく逸れたことも手伝い、悠々のサヨナラホームインになった。

藤田のサヨナラ打は楽天移籍後では初。今月24日、トレードで移籍して丸4年目を迎える。横浜で燻っていたプロキャリアを仙台で大きく花開かせる契機となったその記念日を、自らのバットで一足先に祝うメモリアルヒットになった。

交流戦に入り、楽天は新しい井戸を積極的に使うようになったが、ここへきて古い井戸の水も上手く融合し、チームに「逆襲のケミストリー」が生まれつつある。そして、そのことが一時、消えかけていたタフネスな試合展開をモノにする集中力を生み出しつつある。

実際、今日の試合は負けていても、なんら不思議ではなかった。継投に入った終盤8回以降、毎回ピンチの連続。8回は青山が2死2,1塁を背負うと、9回はミコライオが1死2塁、10回は松井裕が1死満塁の窮地に立たされ、11回は福山が1死2塁。サード阿部の好守支援などで切り抜けてきたが、防戦一方の状況だった。一方、味方打線は8、9、10回とスコアリングポジションに走者を進めることができず、淡泊に凡退。

そんなゲームをサヨナラで取ることができたこと。さらにその決勝点が開幕直後に良く見られた2死無走者からの得点劇だったことが、印象に残った。

3カード連続で勝ち越した楽天は、同日オリックスがDeNAに敗れたため、5月17日以来の5位へ浮上。週明け、交流戦最後の敵地6連戦へ向けて弾みとなる2連勝を飾っている。

チーム成績は5位、60試合23勝35敗2分、勝率.397。ゲーム差は1位・ソフトバンクと18.5、2位・ロッテと10.0、3位・日本ハムと7.5、4位・西武と6.0、6位・オリックスと0.5としている。交流戦成績は12試合7勝5敗の5位になった。

今季2番目の快挙

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