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『星の王子さま』を初めて手に取ったのが9歳。51歳で読み終えた今日。

小学生の頃、アニメでやっていたんだ。オープニングテーマの「ほしの~おうじさま~♪」という所だけ歌える。

それで、とにかくませた子どもだったので、絵本はいやで、文庫本の『星の王子様』を買ってもらった記憶がある。そういやアニメやってたな~っていうだけの理由で。

でも数行で挫折した。何がおもしろいのかさっぱりわからず。

その後、高校生になって、自分の中で読書ブームが起こり、それも、やっぱりませた子どもだったので、『徒然草』を原文で読んでみたり、『わが闘争』を友人と読み合い議論したり、とにかく「教養として、古典作品は一通り読むべきだ」という、マイブーム。そんな一貫でまた読んだ。

やっぱり、何がおもしろいのかさっぱりわからずに、数ページで挫折した。

大人になって、塾を経営するようになって、教え子が『星の王子さま』で読書感想文を書きたい、というので、買って読んでみた。数ページでウトウトし出して、結局挫折した。教え子の感想文を読んで、ふむふむ、そんなお話なんだな、とわかった気でいた(最低!)。

その後、人生がひっくり返るような挫折を味わい、死にかけもし、何とか生き延びて、ぜーぜーはーはー毎日を過ごしている。

そんな折、何を思ったのか、書店で手にした『星の王子さま』(新潮文庫)が、もうどうにもこうにも、読まずにはいられない、という衝動で、読んだ。

人生100年の半分を過ぎてようやく、夢中で読み漁ることができた。一気に最後まで読めた。

この作品の様々な解釈は、あくまで他人の解釈であって、作者の意図しないところまで「深読みが過ぎる」のは、それはそれで、ひとつの読みの文化であってよいだろうと思う。

作者は、そこまで重大なメッセージをこの物語に込めたのだろうか。

その辺を語ると長いのでやめておく。またいつか。

ただ記録しておきたかったのは、42年がかりで、読み終えた本がある、ということ。もちろん42年間ずっと読んでいたわけではないけれど、42年経ってようやく、この作品をおもしろいと思い、夢中になって読めた、という事実が、うれしい。

ただ、うれしい。

歳を取るというのは、悪い事ばかりではないな。うん。

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