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「難破船・FRB」の舵取り -2011/8/24記事-

ジャクソンホールはワイオミング州北西部に位置する谷。また、谷に位置する唯一の都市であるジャクソン市を指してジャクソンホールと呼ぶこともある。


標高が高く、周囲を急斜面の山々に囲まれているため、冬になるとしばしば放射冷却によって急激に冷え込む。1993年には、この放射冷却によって気温が著しく下がり、氷点下53度を記録した。 (以上Wikipedia)
ジャクソンホールといえば「シェーン」。(知らなかったが有名らしい) 
ジャクソンホールといえばバーナンキ。


ジャクソンホールの地形のように、08年は氷点下に潜り込んだ。 そして昨年は谷から山へ。

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オペレーションツイストはどのみち実行(言及)され、インタゲはダメ出しされる。
QE3については「必要があれば実行する」といったニュアンスで、市場を強くけん制する。その意図は昨年同様、「時間稼ぎ」も含まれている。 あくまで個人的見解ですが、これが基本シナリオになる。

そしてしつこいようですが、気になるのがIOER引き下げで、これについては度々バーナンキ自身が言及している事から、FRBとしても引き下げ準備を考慮しているだろう。 しかしながら昨年の講演でも言及しているように、「見当余地はあるが、大きなリスクを伴っている」といった認識を今現在でも持っているのは明白だ。 以下、昨年8月WSJから抜粋。

Bernanke Speech at Jackson Hole. (August 27, 2010)
The IOER rate, currently set at 25 basis points, could be reduced to, say, 10 basis points or even to zero. On the margin, a reduction in the IOER rate would provide banks with an incentive to increase their lending to nonfinancial borrowers or to participants in short-term money markets,

現在は0.25%のIOERを例えば0.1%、あるいは0%への引き下げは可能。そしてそれは銀行に、金融以外の借り手や短期市場参加者への貸し出しを増加させる、といったインセンティブを与える事になる、

However, under current circumstances, the effect of reducing the IOER rate on financial conditions in isolation would likely be relatively small. ・・Cutting the IOER rate even to zero would be unlikely therefore to reduce the federal funds rate by more than 10 to 15 basis points.

しかし現況においては、単独での引き下げ効果は比較的小さい。IOERを0%に引き下げたところで、FFレートを0.10ー0.15%以上、引き下げる事はないだろう。


Latest Observations
2011-08-19: 0.09
2011-08-18: 0.09
2011-08-17: 0.09
Importantly for the Fed’s purposes, a further reduction in very short-term interest rates could lead short-term money markets such as the federal funds market to become much less liquid, as near-zero returns might induce many participants and market-makers to exit. In normal times the Fed relies heavily on a well-functioning federal funds market to implement monetary policy, so we would want to be careful not to do permanent damage to that market.

FRBにとって問題なのは、短期金利の更なる引き下げによって、「ゼロ金利」に近付く事で、多くの市場参加者やマーケットメーカーが取引を止め、(結果的に)FF市場のような短期市場の流動性を枯渇させてしまう事。 平常時には、金融政策を実施するに当たり、(十分に機能している)FF市場に大きく依存しており、そういう事から、ここの市場に決定的なダメージを与える事だけは避けたいと考えている。
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昨年のこの講演時点では、金利は0.15-0.2%付近。現在は0.1%を割ったり割らなかったり(上チャート)。 付利対象外の参加者がいるとはいえ、最近では0.05前後まで落ち込む事もある。それを考えると下げ効果は昨年より薄く、リスクだけが大きい。 「決定的なダメージを与える事だけは避けたい」としながらも、度々この政策に言及するのは、市場参加者に選択肢の多さを強調したいのだろう。

ジャイアントバンクを助け、ガソリンスタンドの売上に貢献し、それに伴う購買力 を国民から奪い去った。SNAP受給者は一層拡大し、貧困層は拡大している。 新興国にはインフレを輸出、中東ではデモが発生した。ブラジルや中国からの圧力も増している。

FRBは自ら蒔いた種をどう刈り取るのだろうか?インフレ国家からは追加緩和を「金融テロ」と位置付けられている。

記事はブログ「ニューノーマルの理」(2011/8/24)のものです


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