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原田マハ『暗幕のゲルニカ』

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2018.08.11 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/

アートミステリー『楽園のカンヴァス』に引き続く、アートサスペンス!
今回もニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターが主人公です。物語の中心にあるのは、反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの「ゲルニカ」。20世紀のスペイン内戦とナチスの侵攻というピカソの時代と、21世紀の9.11同時多発テロ後のアメリカが交差しながら進んでいきます。芸術の力を信じ、絵画への愛が静かにもたぎっている小説です。

それにしても、現実に起こった出来事や、実在した人物が織り込まれてくることもあり、フィクションとは思えず、まるで美術歴史小説を読んでいるような気にさせられます。おそらくそれは、原田マハさんのピカソ、そして「ゲルニカ」への深い造詣が生み出す設定の確かさからくるものなのでしょうが、21世紀編に登場する架空の人物たちも実際にいるのではないかとさえ思わされてしまいます。

スペインに本物の「ゲルニカ」を見に行きたくなるのはもちろん、行く予定もないMoMAの展示内容を検索してしまったのは言うまでもありません(笑)ちょうど、8月26日まで群馬県立近代美術館で展示されているという「ゲルニカ(タピスリ)」が(行けもしないのに)気になって仕方がありません。