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ロバート・フルガム『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ 決定版』

この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2019.12.14 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/

私が初めて『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』という書籍の存在を知ったのは、山田詠美さんのエッセイ『再び熱血ポンちゃんが行く!』でした。その後、「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ(幼稚園クレド)」のメインの部分は、単行本の裏表紙でも目にし、印象に残っていました。次男の幼稚園の卒園式で母たちで何か朗読を……という話になった時も、このクレドのメイン部分を選んで皆で朗読した思い出もあります。

ですから、前回の『文學界』特集名「恋愛に必要な知恵はすべて山田詠美から学んだ」を見た時、これはこの機会に『決定版」をきちんと読みなさい! との啓示のように感じてしまいました。20年以上たってやっと、気になっていた書籍にちゃんと出会うことができました。

「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」のならば、では、「幼稚園を出てからは、何も学ばなかったのですか?」と問いたくなるのは当然。この問いに対する「報告書」がこの書籍なのだそうです。筆者は幼稚園以降、「時間と経験だけが教えてくれること」を学び、「時間と経験に理解力を養われて、はじめて出逢える教師がいること」を学んだと言います。

本書の中で、私が個人的に好きだったところをつなげて、勝手にこの一冊を表現すると次のような感じでした。

「人間はやはり、知識を求め、物を考え、疑問を懐いて、はじめて人間である。」だからこそ、「自分は今、何を知っているだろうか?」と問い、「若い心を持ち続け」、必要な「歓び」を見つけて生きていく。「人間は生涯を通じて、必ずそれとは知らずに何かを社会に残し、代わりに何かを取っていく。」「人はみな、どこかで誰かの役に立っている。」「自分で思っている以上に、なくてはならない存在である。」

書籍の最後のエッセイ「反省」に、例の「〈幼稚園のクレド〉」に加える8箇条があげられていました。「何事も、遠くからの方がよく見える。」から始まるこの8箇条が、まさにこの一冊を象徴的に表しているようで、クレドと合わせて読みたい一節だと感じました。

『彼ら』という存在はない。『われわれ』がいるだけだ。