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編集人の京都の朝をぶらぶら◉ ゼロエミッションで水を運ぶ、幻の都市水道「本願寺水道」の水源地をぶらぶら。

京都在住の編集人のモリタです。最近は少し観光客で賑わい過ぎの京都ですが、早起きして、じっくり街を歩くと意外な京都が見えてきます。

今週末は再び京都・蹴上へ。

新緑が美しい南禅寺から蹴上インクラインを疏水上流に向かい、蹴上船溜をぶらぶらすると、「ここは本願寺水道の水源地です。」という案内板が目に入ってきました。案内板に本願寺水道とは…

明治30年(1897)に埋設された京都・東本願寺の防火用水道で、江戸時代に4度も焼失した災禍を繰り返さないよう、びわこ疏水の水を活用した近代京都の防災文化遺産と書かれています。

柵越しに見える水源地は、本願寺水道という和のイメージに反して、テルマロマエのような装飾が施されていました。

さらに案内板を読み進めると、びわこ疏水の水を埋設された約4.6kmのベルギー製の鋳鉄管を通して東本願寺まで運んでいたと。動力は一切使わず、ここ水源地と東本願寺の高低差約4.8mの位置エネルギーだけで防火に必要な水が噴き上げられたというからビックリです。

では、本願寺水道は現在どうなっているのか? 

老朽化が進み、2008年(平成20)に停水したそうですが、意外と最近まで機能していたことに驚きます。現在、京都の地域防災や水環境保全の観点から復活を望む声が上がってきていて、市民プロジェクトによる再生に向けた活動もはじまっています。

京都の文化遺産の多くは木造であり、周囲の伝統的な町並みも木造密集地域が多いので、歴史都市として美しい木の文化の保存には、この二つを同時に守る防災計画が必要です。本願寺水道は東本願寺のために造られた100年前の防災インフラでしたが、これが100年後、1000年後の京都の文化遺産の保存につながるのであれば、再生に向けた活動が増えることに期待したいし、私も参加したいと思いました。

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