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【雑感】TAKERよりGIVERの方がシンプルで前向きになれる話

先日投稿した「【雑感】リーダーになるよりリーダーシップを持とうという話」に絡んだテーマで、GIVERとTAKERの話を今日は書こうと思います。


自分への興味関心が年々強くなっている気がする

春の今の時期は新社会人の方との触れ合いが多くなるので、彼らとの対話を通じて自分自身も色々考えさせられることが多くあります。
本当に良い内省の機会になります。

企業の新人研修を担当すると、受講者の方からは研修内容についてだけでなく、キャリア観、人生観、仕事観など、本当に色々な質問をされます。

そんな中で、ここ数年多い質問(?)が

自分は自己肯定感が低いんですが落ち込んだときどうしたらいいですか

周囲にどう思われているかが気になって行動できないんですが、会社でどう振る舞えばいいですか

私ってどんな人間に見えますか、悪いところあったら言って欲しいです

といった類の内容。
担当した各社の受講者の中に数%はいます。

年代的に自分自身に興味関心が強く向くのは、自身の経験上もよく理解できるし、多様性の時代でもあるので、それ自体が悪いこととは思いませんが、ここ数年本当に自分にだけに興味関心が強くなっている傾向があるなと感じています。

企業の人財育成には2011年ごろから関わっているので、既に十数年新社会人をベンチマークしていることになる(自分だけが歳をとっている感覚)と思うのですが、記憶を辿ると2018年、19年あたりからその傾向が徐々に強くなってきたように感じます。

彼らの生きてきた個性重視の社会背景も影響しているのだとは思いますが、他者との関わり合いの中で育ってきている経験が少ないのか、周囲の人間に対する興味関心が薄い印象です。(一線を引いて自分を守ろうとしている印象もあります)

自分のことを一番に考えて行動する自己利益追求の発想が強い分、他者に与える行為を「自分が他者から搾取されている」と理解しているパターンも多く、いわゆるゼロサム思考が身に付いてしまっているようにも感じます。

ビジネスの世界観はプラスサムですので、相互にプラスが生まれることを目指すわけですが、社会人スタート段階では真逆思考を持った方もいらっしゃるということだと思います。
(自分語りばかりさせる就職活動が影響している部分も大いにあると感じます)

『GIVE&TAKE』で語られていること

質問者に対しては「GIVERになった方がビジネスの世界は気持ちが楽だよ」と、マインドを変えるきっかけになればなーと思って話していますが、あとは本人次第。

彼らとの対話でいつも思い出す本があります。
アダムグラントの「GIVE & TAKE」です。

この本、タイトルだけ見ると、「GIVEするから自分に利益が返ってくのだ、だからとにかく他者のために自己犠牲を厭うな」といったよくある自己啓発本の印象です。

しかし、読んでみると、行動科学理論や実証研究に基づいて、「自分志向」より「他者志向」で生きていくことの方がストレスなく仕事に向き合えるし、楽しいし、前向きに生きられるよ、という提案書のような内容です。
自己犠牲じゃなくて、みんなの幸せのために行動する、そんなマインドセットを実際の人物エピソードなどと共に提案してくれています。
(詳しくはご自身で読んでくださいね)

先日のリーダーシップの記事が、多くの方にご覧頂けてありがたかったのですが、私はGIVERかTAKERかは、リーダーシップの有無にも通じる話だなと考えています。

GIVERは基本的な行動原則が、
「関係者が幸せになるには何かベストか」で常に考えます。また、その際自分にとっての意義や意味を大事にします。
自己犠牲ではなく、自分がやりたいからやります。
だから自分も幸せなのです。他者に目が向いているから、自分が他者をリードする姿勢、つまりリーダーシップも強い傾向にあります。

一方で、TAKERは基本的な行動原則が、
「自分が幸せになるには何がベストか」から思考がスタートし、そのために他者から何かを奪おうとします。
スタンスは受け身で、他者に何かを与えてもらうことが重要。
自分に利益がないとリーダーシップをとることはなく、結果が思わしくないと他者のせいにするといった他責思考が強い傾向にあります。

日本語訳の翻訳者の前書きでは「日本はGIVERが多く、アメリカはTAKERが多い」といったステレオタイプなことが書かれていますが、私は国や人種に関わりなく個人の問題だと思います。

むしろ、日本のビジネス社会はTAKER社会に近いのではとすら思いますし、それこそ最近の傾向は「あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しい、もっともっと欲しい」になっていると思います。
甘える会社、人が年々増えているようにも感じます。
要は自分の役割を全うせず、与えられてばかりということです。

GIVERはビジネスの本質にフィットしている

私個人は当たり前と思っていますが、ビジネスの本質は、「他者に価値を与えることで評価が返ってくる」という構造です。
それが「自分が評価されるためにはどう行動すれば良いか」に変わった瞬間、それは他者を道具として扱い、自己利益の為に奪う構造に変わってしまいます

誰かに何か与えて欲しいと思いながら仕事をするのは個人的には極めてストレスフルなのではないかと思ってまして、私は少なくともお仕事をご一緒した方には、可能な限り自分から与える姿勢を持つようにしています。

とはいえ、相手に対して良かれと思ってやったことに対して、思わぬ言動や行動が返されて時に裏切られたような気持ちになることもあります。
しかし、それは自分でその行動がベストだと思って自分の意思でやったことなので、「そんなこともある、仕方ないな」と割り切るようにしています。

他者利益のためにリーダーシップをとって、周囲の幸せに貢献するイメージで仕事をすると、急に気持ちが軽くなったり、目の前の仕事が違って見えることがあります。

仕事に対する向き合い方がシンプルになって、今より前向きになれるんじゃないかと。

何らかの理由で今の現状が辛い方、仕事が面白くないなと思っている方、一人でも多くの方に伝わって何かのきっかけになればと思います。

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