怒鳴り天使

会社に着くなり怒鳴られた。
「今、何時やと思ってんねん。××分までに来い!」
昼飯を買いにコンビニに寄ってから来たので、いつもより二分遅れて着いただけである。昼にコンビニへ買いに出ると、行って戻ってで、遅くなる。昼休憩は交代制だ。昼飯は先に用意しておいたほうが良いという理由があっての寄り道である。因みに私の昼休憩は10分だ。
昼休憩が10分というだけで十分ブラックであるが、私が到着した時刻は就業規則よりも1時間前だ。怒鳴られる筋合いはない。
しかし、怒鳴った本人に反論すると、物を投げたり、他のことで難癖をつけて怒鳴ったりと、拗ねる。もう、人として扱うに能わないので「すみません」と表面言っておく。後日、××分まで来いと言われた時間には行かず、いつも通り出社する。彼が敵となっても、法律が味方してくれることを私は知っている。
表面上だけ謝る行為は人として間違っているが、しょうもないことに心を割くほど暇でもない。
似たようなことはよくあるから、ここまで平然ときた。が、先日より退職者が出た我が部署で有休申請をしようか迷っていたところに「よし、申請しよう」という気持ちがわいた。
彼は神が使わした天使である。
お陰様で誰の気持ちも考えずに有休を申請することができた。私が一日いないことで何か変わるものか。今は営業職でもない。私の変わりなんぞいくらでもいる。有休で得る私の経験はプライスレスだ。
ここまでプラスに思ったが、考えが行き過ぎて、何故ここで働いているか分からなくなった。伴侶は転職していいと言ってくれているので、やる気のない私が去るのも会社にとってはプラスであろう。さながら、彼は追い出し天使でもあったわけだ。

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