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私の心はヴァイオリン

こんにちは🐥

戦友のような物言わぬものたちを手放すのは難しいですよね。こちらのショートショートを読んだ時に『千住家にストラディヴァリウスが来た日』の1場面を思い出しました。

千住三兄妹のお母さま、文子さんの著者。ストラディヴァリウスがチョーお高いヴァイオリンであることは知っていますが、それを手に入れるのは本当に大変! そして不思議な巡り合わせに「楽器が自分の生涯を捧げるパートナーを選ぶのだわ」と思いました。

ヴァイオリンの名は「デュランティ」。
300年も眠っていたストラディバリウスを入手するまでの経過、ふたりの兄の妹に対する深い愛情、岡本太郎氏の「芸術は爆発だ!!」を体現したようなパッション!
とにかく圧倒されてしまいます。
この人たちは、ひとりひとりが大事な役目を背負い「芸術の神様の使者」としてこの世にやってきたのではないかしら!?と思ったほどです。

…博は、真理子の練習室へ入っていった。そして、そこに置かれてある、今は使えない過去のヴァイオリン、さらに崩壊しかかったヴァイオリンをじっと見ていた。あまりの猛特訓と舞台で、ほとんど崩壊してしまったそれは、安心したように静かに眠っていた。博は、それらの前へ進み出ると、「長いこと、ご苦労様でした。ほんとうにありがとうございました」と、両手を膝について、深々と頭を下げた。(略)生きるものは、死を免れ得ない。ましてや、デリケートなヴァイオリンともなれば、その寿命は限られている。人間の死がそうであるように、ヴァイオリンの死も、厳かに、清められるものなのだ。そして、ストラディヴァリウスの到来とともに、いま、ひとつのヴァイオリンの生命が終わったのだ。…

『千住家にストラディヴァリウスが来た日』より

ここで一番泣きました! それほど心血を注いできたのだということが、ここにくるまでの文章にあふれていたから。それは切なく苦しく……でも進まずにはいられない、自分だけの音を探す長い長い旅。

この本を読んでからかなり経つのですが、未だに真理子さんのヴァイオリンを聴いたことはなく、博さんの作品を手に入れることも出来ず(あたり前だ!)……明さんの音楽はアニメなどで知らず知らずのうちに聞いているけれど🤭

ポシェットヴァイオリンやエレキヴァイオリンを知り、いろんなモノがあるのねぇ💕とミーハーに思うだけで、楽器演奏とか鑑賞とか全くです……が、タイトルは見栄を張ってみました(*ノω・*)テヘ!