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悪の美学の必要性

あんたにとって魅力的な物語に欠かせないものってのはなんだと思う?

いろんな要素があると思うけれど、中ででも重要なものって言ったら、やっぱり悪役の存在だと思うんだよな。

あんたの思うつく名作と呼ばれる物語を思い起こしてほしいんだけれども、必ずと言っていいほど魅力的な悪役ってのがいたんじゃないかと思うんだよな。

悪役ってのは主人公と同じか、下手したら主人公よりも物語を描き出すのに必要不可欠な存在だと思うしね。

ちょっと振り返ってみるだけでも、あんたの好きな物語には必ずと言ってもいいほど魅力的な悪役が居なかったかい?

今回はこの物語における悪役について考えてみる回だ。

ちっと俺たちが求める悪役ってのを言葉にしてみようぜ。


印象に残る悪役

あんたにとって印象に残っている悪役って言うとどのキャラクターを思い出す?

シャア・アズナブル?
神崎悟?
ラウ・ル・クルーゼ?

実に数多くの魅力的な悪役ってのがいるよな。

ぶっちゃけ、主人公よりも魅力という意味では俺たちの印象に強く残っていることが多い気がするわけだ。

この魅力ってのはどこから生まれてくるもんなんだろう?

悪役に俺たちが求めているもの

魅力的な悪役というと、シンプルな「悪」ってのはどうも俺の印象に残らない傾向にあるように思えるんだよな。

なんつーの?水戸黄門に出てくるような悪代官みたいなやつって、あんまし印象に残らないんだよな。
その意味でも半沢直樹に出てくる悪役っぽいキャラクターって実のところあんまり印象に残っていない。
半沢直樹そのものはオモロイコンテンツだと言うことは疑いようがないんだけれどさ。

言いたいのは、悪役が魅力的であるってことは、主人公が魅力的である以上に俺たちにインパクトをもたらしているんじゃないだろうかってことね。

シャアが単純なアムロにとっての戦術的な障壁でしかなかったら、ガンダムというコンテンツがこれほど長いこと受け入れられていたってないと思うんだよな。

悪役の主要要素

そんな風に考えてみると悪役に必要なエッセンスみたいなものがある気がするよな。

(1) 挫折
(2) 実力
(3) 人間関係

こんな感じかな。

まず挫折だけれど、挫折がなければ、そのキャラクターに読み手や視聴者が共感することが難しくなっちまうと思う。

共感されることのない悪役ってのは、ただの主人公に対するハードルという記号に過ぎない存在になってしまう気がするんだよな。

恨み、怒り、悲しみ。
そんな負の感情をまき散らすことになる悪役にこそこの共感があることで、物語の深みが増していくことになるじゃん。

その意味では僕のヒーローアカデミアにおけるオールフォーワンは真の意味では悪役ではなく、死柄木弔こそが真の悪役って感じなんだろう。きっと。

そして実力。
これは話の構造にもよるかもしれないけれど、悪役は主人公に対して絶対的な壁である必要があると思うんだよな。

アメリカのヒーローものでは圧倒的な力を最初から持っていて、その力を行使することで物語を成立させることが多いと思うけれど、日本の物語では努力や工夫で悪役を乗り越えることが求められていると思うんだ。

つまり悪役は乗り越えられる役なんだよな。
決して倒されるための存在じゃないんだ。

その意味では父親ってのはいつだって悪役なんだよな。うん、がんばろ。

そして、人間関係。
これも日本の物語における悪役には欠かせない要素だと思うんだよな。

主人公と個人的なつながりがあり、そのつながりの上で対立するということでヒトとしての存在感を醸し出すことになる。

理想の悪役

で、そう考えていったときに理想の悪役って誰だろうって思うわけだ。

なんとなくだけれど、鋼の錬金術師の「お父様」は理想に近い気がする。

生まれた瞬間から「不完全である」という挫折を抱えているし、圧倒的な実力を備えているし、主人公の父親と遺伝子的には同一の体を持ちながら考え方において真逆の「真理」にたどり着いている。

別の意味ではラウ・ル・クルーゼもある意味理想的だと思う。

なあ、あんたはどうだい?

あんたにとっての理想の悪役ってのは誰になる?

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