初仕事

開業届を税務署に出しに行き、独立のお知らせの封書を各所に郵送し、はじまりはじまり。税務署から駅に向かうときに、ぼんやり「ああ、これから頑張らなきゃな」と思いました。私にとってのスタート地点は、登録でも事務所契約でもなく、税務署からの帰り道でした。

とりあえず暇なので、会える人には直接会うことにしました。前職の人たちに声をかけて職場に遊びに行く、ただそれだけ。ランチしたりお茶したり飲みに行ったり。あと時間を見つけては、独立した同期と情報交換と称してお喋り。今思えばアホみたいに優雅で楽しい時間を過ごしていました。

皆さん時間を取ってくれて、合格独立もついでに喜んでくれて、大変ありがたかったです。が、時には「そんなことより早くこども産みなさい」「結婚していてよかったね」「撤退はいつでもできるんだから」などと言われたりも。私のことを案じて言って下さっているのですが、お前には無理と言われたわけで、下を向いて帰ったこともあります。世の中そんなに甘くない。

そして、最初のお仕事は、派遣先の人達からの紹介でした。最後の派遣先は金融機関だったのですが、君は一生懸命真面目に仕事をしてくれたのでお礼がしたいと、ご祝儀で決済1件、抵当権抹消を2件、相続案件を1件、設立を1件繋いでくれました。真面目に仕事をしてきて良かったと報われた気持ちでした。安くしてと言われれば、今ならそんな金額はありえないってくらい引いたりして、お役に立ちたいという気持ちが先走ったのもありますが、ハッキリ言って浮かれてました。

でも本当のところは、抹消一本でもうパニックです。物件の記載ですら手間取り、間違えてはいけないと思うと手が震えました。申請する時も申請ボタンを押そうとしてやめる、の繰り返し。今の私が当時に戻って「早よ送らんかーい!」とハリセンで叩きたくなるくらい、時間がかかりました。

仕事がきた!なんて順調な滑り出し!と思ったのも束の間、ただそれだけでした。その後ぱったり仕事はなくなり、電話が壊れてないか自分で自分に電話をかけて確認する日々。ただのご祝儀だということを忘れ浮かれていた自分を恥じました。

そんな時、なんと妊娠発覚。ひえええ。



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