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2拠点生活のススメ|第324回|奇跡の出会い

慌てて家を出たので、携帯電話を忘れるという致命的なミスを犯してしまった。

目的地に到着して用事を済ませ、妻に連絡しようとして初めて気が付いた。間の悪いことに妻と待ち合わせしており、ちゃんと時間と場所を決めておけば良かったのに、こんな時に限って「着いたら連絡する」としか伝えていなかった。

携帯というのは、今や第二の脳とも言える存在。

妻の携帯番号さえ携帯任せで覚えていない。共通の友人に連絡して番号を教えてもらうことも考えたのだが、電話番号を唯一覚えているのが、自宅と友人のカレー屋だけという情けなさ。何の役にも立たないとはまさにこのことだった。

私が行くまでの間、妻がどこかでお昼ご飯を食べて、ドラッグストアといくつかの銀行に寄ることだけは分かっていたので、ひとつひとつ立ち入りそうな店を回ってみることにした。駅のATMやドラッグストア、良く立ち寄るイートインができるパン屋、銀行など、くまなく回るが姿は無し。

こんなことを続けても、意味無いよなと思いつつ、もうひとつの銀行へ。

この銀行にいなかったら、諦めて帰って電話するしか無い。祈るような気持ちでガラス張りのATMコーナーを見渡すと、何とそこに妻の姿が・・・。タイミングが少し早くても、遅くても逢えなかっただろうし、ほんと奇跡のような出会いだった。

遠い昔、まだ携帯電話なんて此の世に存在しなかった頃、約束の時間を過ぎても来ない彼女をこの電車か、次の電車かと延々とホームで待っていたことをふと思い出した。いくら携帯全盛の時代といえども、連絡がつかないこともある。待ち合わせで逢えるというのは、決して当たり前のことなんかじゃ無いのかもな。

これほど、妻の顔を見てホッとしたことが最近あっただろうか。

いくら夫婦と言えども、「行ってらっしゃい」「行ってきます」は、ちゃんと顔を見て言うべきだな・・・。

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