エノモトナルミ

札幌市在住 / 27歳(早生まれ)/ 道草、無駄、余暇の場

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最近の記事

いちごの唄

 札幌学生対校演劇祭、今年も公演終了しました。27歳、社会人、学校はすでに卒業しているし、もうしっかりと大人になっている私ですが、かれこれ2016年ごろからずっと学生演劇祭の運営に携わらせてもらっています。  コロナ禍をはさんだこともあり、近年の出場団体は減少傾向にあるとはいえ、平均年齢20歳の若者たちないし学生たちに求められているうちは、どうにかして継続されてほしいですね。大人になってから同年代と再会したとき、酒を飲みながらする思い出話は、若かった時分の話がほんとうに多いの

    • 家族を家族たらしめるものとは

        最近、4年ぶりに演劇公演に携わっていて、その公演の作品がレンタル家族の話だから、ここ1ヶ月はずっと頭の片隅で、家族というものについて思考を巡らせている。だけど「家族とは何か」こんなことを問われても、なかなかひとことでは言い表せなくないか?  とりあえず私は、自分の家族のことを「血縁がある他人」だと、ざっくりと捉えているけれど。これもひとえに正解とは言い難いであろう。とはいっても、血縁がある=家族というわけでもない。血縁があろうがなかろうが、自己と他者のあいだには絶対的な隔

      • 今年もまた、花火をやりそびれたまま夏が終わる

         札幌市出身の人間なので、夏休みはいつも8月20日前後に明けていたわけだけど、それでも8月31日が夏の終わりのイメージ。大人になってからというものの「子どもの頃に、長期休暇中の宿題をコツコツとやれていたか」みたいな話題が、このくらいの時期になると上がるようになった。ちなみに私は宿題を毎年、始業式まで約1週間前を切ったタイミングで焦って終わらせていた。  大人になった現在も、そのあたりの良くない癖はしっかりと残っていて、仕事をはじめとする「やらなきゃいけないこと」をそういうやり

        • いかなる理由であれ、公共性のある場で他者を怒鳴りつけることは暴力かパワハラ

           新卒1年目(2020)の頃のある日、職場でミスをしてしまった。そして、それに憤慨した、自分よりも勤続年数の長い同僚は、大きい物音を立てながら、わたしに怒声を浴びせてきた。スチール製の棚を殴る鈍い音が響くたびに、脳細胞が死滅する感触を憶え、酷く動揺して号泣してしまった。24歳にもなって、涙を制御出来なかった自分が途方もなく情けなかった。 (当時の仕事はざっくり言うと小売業。レジカウンターの少し奥の物陰っぽいところで、お客様も普通に店内を歩いている営業時間中に、この出来事は起

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        • 2023年
          8本
        • 2021年
          6本
        • 2020年
          4本
        • 2019年
          3本

        記事

          何事にも限度ってもんはあるからね

          Q. 恋愛における「歳の差」は本当に関係ないのか。 A. 関係ある。少なくとも、私には大いにある。  「心の底からお互いが惹かれあっていれば関係ない」といった言説は、はるか昔からこのような議論の場でしばしば挙がるが、いったん無視したい。なぜなら、この言説を信じて疑わない側が一方だけであるパターンが少なくはない、と私は推察しているからだ。そもそも、歳の差以前に好意を寄せていない、もしくは恋愛・性愛の対象から外れている人間から寄せられる好意はおおむね恐怖や嫌悪を抱いてしまうも

          何事にも限度ってもんはあるからね

          生誕10000日記念・稚内旅行記

           1996年1月24日生まれの私は、2023年6月11日で生誕10000日目(※誕生日を0日目として計算した場合)を迎えた。比較的マニアックな記念日として分類されているようだが、一生に一度のとんでもなくレアな記念日なので、これは絶対に何かお祝いをしたいと思い、昨年の暮れごろから何をしようか考えはじめた。 ① お祝いといえば、やはりケーキや豪勢な食事 → でも、正直甘いものはそんなに得意じゃないからキツい。生クリームはほんの少しつまむくらいでちょうどいい。食べる量もここ数年

          生誕10000日記念・稚内旅行記

          放送委員だった小学6年生の頃、リクエストが特に無くて適当に曲を選べるときは、中島みゆきの「地上の星」をかけていたことを急に思い出した。そして、同級生にはやや不審がられていた。 地上の星 / 中島みゆき [公式] https://youtu.be/v2SlpjCz7uE @YouTubeより

          放送委員だった小学6年生の頃、リクエストが特に無くて適当に曲を選べるときは、中島みゆきの「地上の星」をかけていたことを急に思い出した。そして、同級生にはやや不審がられていた。 地上の星 / 中島みゆき [公式] https://youtu.be/v2SlpjCz7uE @YouTubeより

          ハイカロリー飯を食らったあとの一服がいちばん整う

           どう考えても、タバコを必要としない人生を送ることができるなら、そのほうがいいと断言する。  度重なる値上げ、枚挙に暇のない様々な病気のリスク、健康増進法の改正による喫煙所の急速な減少…そして昨今の禁煙ブームの影響なのか、多少の地域差はあれど明らかに喫煙者という存在はマイノリティとなりつつある。噛み砕いていえば、とかく肩身が狭い。当たり前だ。非喫煙者からしてみれば、紙タバコも電子タバコも関係なく臭いし、人によっては副流煙で体調を崩してしまう危険性もある。「百害あって一利なし

          ハイカロリー飯を食らったあとの一服がいちばん整う

          永遠の不在

           二十歳ごろから付き合いのある友人が亡くなった。自殺だったらしい。まったく現実味のないその話を、私はすぐに信じることができなかった。あまりにも唐突で、つい先月会ったばかりなのに、あのとき元気そうにしていたのに、もう会えなくなってしまったなんて嘘だと思った。  通夜の日時や詳細について共通の友人から連絡がきて、その共通の友人の車に乗せてもらう形で斎場に向かうこととなった。私が最後に通夜や告別式に行ったのはおそらく7、8歳ごろで、実に十数年ぶりだ。そのため礼服を持っておらず、どう

          寄稿・学生演劇だより

          第7回全国学生演劇祭 特設ページ  2022年3月でサンピアザ劇場が休館する。これは対校祭にとって非常に大きな出来事だ。  サンピアザ劇場とは、北海道札幌市厚別区に所在する劇場である。複合商業施設の中に入っているので、食事や急な買い出しにも便利だ。対校祭もとい札幌学生対校演劇祭は、2010年に始まってからの11年間ずっと、この学生演劇祭にとって最適解ともいえる劇場で開催しつづけていた。劇場利用にかかる費用は格安、本来であれば手が届かないプロのスタッフさんと仕込みができ、事前

          寄稿・学生演劇だより

          最近観た映画メモ(2021年2月)

          ①『デッド・ドント・ダイ』 (2020年) DVDレンタル 愛すべき孤高の鬼才、ジム・ジャームッシュ監督の最新作。終始しっちゃかめっちゃかで、ツッコミどころは満載、特筆して盛り上がるシーンは無かった。が、好きか嫌いかでいえば好きだった。ゾンビはかわいい。いっそ人類みんなゾンビにならないだろうか。ゾンビになりたい。 ②『銀魂 THE FINAL』 (2021年) 劇場上映 私の思春期の隣には、ずっと『銀魂』があった。アニメもアニメ劇場版も観ていたし、コミックも週刊少年ジャ

          最近観た映画メモ(2021年2月)

          「空の村号」-札幌演劇シーズン2021冬 を観て考えたこと

          どうして人は、忘れてはいけないことを、知らず知らずのうちに忘れていってしまうのだろう。 2011年3月11日14時46分、当時15歳のわたしは、中学校の卒業式の予行練習で体育館に居た。大きな揺れののち、東北地方を中心とした大規模な地震が起こったこと、最大震度は7であったことが教師から告げられた。動揺のあまり、よく理解はできなかったが、とにかく恐ろしいことが今この瞬間に起こっているということは想像に難くなかった。言葉を失った。 しかし、札幌市在住の中学生のわたしは至って無事で

          「空の村号」-札幌演劇シーズン2021冬 を観て考えたこと

          私はわたしと結婚したい

          「私はわたしと結婚したい。」 大半の人は「何言ってんだコイツ」と思うかもしれない。でも、ほんとうにこれに尽きる。 理由は沢山あるが、一番は、自分自身のことですらままならないのに、特定のパートナーを大切にするほどの肉体的・精神的・時間的リソースを割くことは現状の私にはかなり難しいと確信したからだ。 そしておそらく、自分で想像している以上に私という人間は、他者に対する興味・関心が著しく薄い。そもそも人間誰しも存外他者のことなんかどうでもいいものではあるが、私の他者への無関心っぷ

          私はわたしと結婚したい

          【私小説】わたしが死のうと思ったのは

           「函館に行こう」そう、ふと思い立ったのは確か、2020年9月28日か29日の午前3時頃のことだ。そこからのわたしは行動が非常に早かった。29~30日のあいだに、10月1日の札幌ー函館高速バスと、10月2日の函館ー札幌の高速バスのチケットの支払いを済まし、宿泊先のビジネスホテルも即決し、2日は午後から仕事があったが、「急用で1~2日に函館に行かなければいけなくなったので、申し訳ないのですが普段の出勤時間より1時間遅れます。どうしても間に合う時間のバスがなくて…」と説明し、あっ

          【私小説】わたしが死のうと思ったのは

          先生は13歳の女の子じゃないもの

          『ヴァージン・スーサイズ』(1999年、アメリカ) 監督:ソフィア・コッポラ 原作:ジェフリー・ユージェニデス『ヘビトンボの季節に自殺した5人姉妹』(1993年、早川書房)  12月1日。映画の日にちなんで、大好きな映画のうちの1本である「ヴァージン・スーサイズ」について書く。  誰もが必ず通る思春期。大人になれない少年たちの幻想というフィルターに包まれ、大人になりすぎてしまった少女たちについての記憶をたどる美しい物語。  思春期という言葉を耳にして、あなたはどういっ

          先生は13歳の女の子じゃないもの

          気軽にそんなこと言うなよな

          「大多数の子たちと比べたら、ちょっと、いや、ちょっとどころじゃなく変わったところもあるかもしれないけど、明るいよね。笑っているときなんてとびきり可愛い。」  そう母が穏やかな顔でわたしに語りかける姿を見て、心の底から安堵した。ちゃんと「明るい娘」として母の眼に映ることができているのだ、と。  なぜ安堵したかというと、最近の休日のわたしは、用事がなければ一日の大半をベッドで眠って過ごしているからだ。それを母に異常と感じ取られていないか、気がかりだったのだ。決して体調不良によるも

          気軽にそんなこと言うなよな