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【医師解説】アンチエイジングドックで計測するDHEAとは

デヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone DHEA)は、主に副腎でコレステロールから合成され、精巣卵巣などでテストステロンやエストロゲンに変換されます。

DHEAはこれらのホルモンの上流にあるため、マザーホルモン (mother hormone) とも呼ばれます。そしてヒトにおいてもっとも多く存在するホルモンです。

アンドロゲンは男性ホルモン作用を有するホルモンの総称で、DHEA、アンドロステンジオン、テストステロンなどを指します。

DHEAもテストステロンの10分の1程度の男性ホルモン作用を有します。

エストロゲンは女性ホルモン作用をもつホルモンの総称でエストロン、エストラジオール、エストリオールなどを指し、ヒトではエストラジオールがもっとも活性が高いです。

女性の卵巣ではエストロゲン、プロゲステロン以外にもDHEAとテストステロンも産生されます。

閉経後は卵巣からのエストロゲン、プロゲステロン、DHEAの産生はなくなり閉経後のエストロゲン供給の約90%は副腎のDHEAに由来します。

テストステロンは脂肪組織などに存在するアロマターゼによりエストラジオールに変換されます。

一方、閉経後も卵巣からのテストステロン分泌はかなり長い間続きますが、テストステロンの40~75%は副腎のDHEA由来です。

DHEAは硫酸化体のDHEA-sulfate(DHEA-S)として99%存在し、相互に変換され、体内のDHEAを正確に知るためには、血清DHEA-Sを測定します。
DHEAの作用は、変換されたテストステロンやエストロゲンによるものと考えられる一方、DHEA固有の作用もあると考えられています。

副腎から産生されるステロイドホルモンのコルチゾールは、一生を通じてほとんど変動しませんが、ストレスがかかると、ストレスに打ち勝つためにプレグネノロンから優先的にコルチゾールが産生されます。
そして血中コルチゾール濃度が上昇し、一方ではプレグネノロンからDHEAに至るルートは遮断され、DHEA、テストステロン、エストロゲンなどの産生は減少します。

コルチゾールとDHEAは拮抗的に働き、コルチゾールが過剰になると血圧や血糖が上昇し、抗炎症作用と同時に免疫機能が低下します。一方、DHEAはストレス抵抗性、免疫機能の維持、骨密度の維持、インスリン抵抗性の改善などに働きます。

したがってDHEA-S/コルチゾール比は、アンチエイジングドックでは重要な指標で必ず測定しますが、20以上を目標値となります。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範


参考文献:
1) Klinge CM. Clark BJ. Prough RA. Dehydroepiandrosterone Research Past, Current, and Future. Vitam Horm. 2018:108: 1-28.
2) Longcope C. Adrenal and gonadal androgen secretion in normal females. Clin Endocrinol Metab. 1986: 15: 213-28.
3) 柳瀬敏彦副腎ホルモン. In : 日本抗加齢医学会専門医・指導士認定委員会. アンチエイジング医学の基礎と臨床, 第3版 東京 : メジカルビュー社 : 2015. p.108-9.
4)アンチエイジング医学―日本抗加齢医学会 Vol.18 No.4 Yesの立場から 満岡孝雄p.036(284)-037(285).

・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。

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