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コロナワクチン体質と体格による心筋損傷リスク上昇@3回目接種後@トロポニン値

こんにちは。mRNAワクチンの3回目接種後の心筋損傷についての報告です

ワクチンの種類は、モデルナのコロナmRNAワクチン
接種回数は下の表1参照のこと。主に3回目のブースター後を見ている
心筋損傷の頻度は35人に1人で有意に女性に多い
注意事項1:対象の年齢中央値は37才 (30才〜50才)であった。心筋炎の好発年齢である思春期が対象外であった
注意事項2:心筋トロポニンT(hs-cTnT)濃度の急激な動的増加は20人に1人(777人中40人)に観察された。40人のうち18人には他にも原因があったのでワクチンによる心筋損傷から除外された

対象被験者の特徴
2回接種すみで、今回3回目のブースター接種が多い (赤アンダーライン)


対象者のフローチャート

フローチャートでトロポニン上昇した被験者は赤丸の検査を受けた
詳細を下図に示す。血液検査の他に心電図と画像診断 を受けた

心筋損傷の定義
正常値の上限を超える高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)濃度の急激な動的増加。接種から3日目のhs-cTnT濃度で判定した。

心筋損傷のデータ
参加者777名(年齢中央値37歳、女性69.5%)中、うち40名(5.1%、95%信頼区間[CI]3.7~7.0%)で、3日目にhs-cTnT濃度が上昇し、mRNA-1273ワクチンに関連した心筋損傷が認められた。
このうち 22 名 (2.8% [95% CI 1.7 ~ 4.3%]) で判決が下された。女性では20例(3.7% [95% CI 2.3-5.7%])、男性では2例(0.8% [95% CI 0.1-3.0%])が発生した。

結論
女性は3.7%、約27人に1人にワクチンによる心筋損傷で血中トロポニン値が上昇していた(接種から3日目に測定)
男性は0.8%であった
この研究でワクチンによるトロポニン値上昇した22人は、一過性で軽度の損傷であった

下図に22人のトロポニン値を示す。

図3. 

心電図上の変化が見られた患者はなく、30 日以内に重大な心臓有害事象を発症した患者もいなかった

ポイント1
上の図3で、女性の中に閾値の2倍以上の上昇を認めた5人、フォローアップ後にも閾値より高い値だった7人、さらにフォローアップ後に3日後よりも上昇した1人 (△) がいる。これらの人は一過性のトロポニン値上昇と結論するには精査が必要でしょう

ポイント2
モデルナのコロナmRNAワクチンでは、若年男性の心筋炎心膜炎の発症頻度が増加する、は定説になっています。この報告によると女性の方が10倍心筋損傷の頻度が高い。これは単純に、ワクチンの毒性が用量依存性に高くなると考えることができます。女性は体格が小さいのに男性と同量接種であることが原因である可能性がある。このことは小児への接種で注意事項としてもっと強調されるべきである。

論文の該当部分の文章は以下です

pdfリンク

ワクチンによる心筋損傷に体格と体質が影響している可能性がある

ワクチン接種から3日後にトロポニン値を測定した時に

次の2項目はワクチン接種後心筋損傷のあるグループとないグループで差がなかった
1. 全身性炎症マーカーのほとんど (IL-1RA に対する抗体、IL-1RA を含む)
2. SARS-CoV-2による以前の感染の血清学的証拠

ワクチン接種後心筋損傷のあるグループは、ないグループよりも値が低い
IFN-λ1
GM-CSF

ポイント3
IFN-λ1とGM-CSFが心筋損傷を保護している可能性が示唆されます。今回の論文では証明されていないので、更なる研究が必要です。IFN-λ1とGM-CSFの反応性の個人差の理由がわかりません。人によってワクチンによる心臓副作用の違いがの説明になる可能性があります

この論文はファクトチェックがついています
この論文に対する反論の要旨は、ワクチンよりも感染による心筋炎の方が重症例の頻度が高い、ということ。ファクトチェックの訳へリンク
このようなファクトチェックへの反論は皆さまが得意です

タイトル:Sex-specific differences in myocardial injury incidence after COVID-19 mRNA-1273 booster vaccination
Eur J Heart Failure. 20 Jul 2023. Buergin N, et al
原著リンク
訳ブログ


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