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オミクロンになってCOVID-19は子どもの最大の脅威となる感染症です__脳炎のデータあります

小児への新型コロナウイルスワクチン接種が勧められているので、少しまとめてみました。見出しの読みたいところをクリックしてください


2022年末月、オミクロン変異株に感染した小児患者の臨床的特徴、急性壊死性脳症(ANE)の説明あり、中国の西安小児病院4,520例の報告


対象:
2022年12月1日から2022年12月31日までに中国の西安小児病院でSARS-CoV-2感染症に感染したと確認された全症例4,520例。
結果:全員オミクロン変異株に感染していた。男性の割合は58.14%、女性は41.86%となった。 発症年齢は新生児から18歳までの範囲でした。 1~3歳の患者が主な割合を占めた。 患者の年齢中央値は2.08歳(0~18歳)でした。4,275 人の患者 (94.59%) では、最初に現れた症状は発熱でした。
そのうち3,861例(85.36%)が外来患者、659例(14.64%)が入院患者であり、9例(0.20%)が死亡した。最も多かった症状は、発熱4275人(94.59%)、咳嗽1320人(29.20%)、痙攣610人(13.50%)、嘔吐410人(9.07%)、鼻水・鼻づまり277人(6.13%)、声がれ273人(6.04%)であった。血球分析では、単球がわずかに増加していた(平均:11.14±0.07%)。重症例では、肝機能、心筋酵素、プロカルシトニンが上昇することがよくあった。SARS-CoV-2に感染した小児の典型的な特徴として、痙攣の発生率が高い。
死亡した9人の患者のうち、5人は急性壊死性脳症(ANE)と診断された。
死亡例は気になると思いますから、詳述します。死亡した9人の臨床的特徴は表3にあります。死亡した9人のうち5人 (56%) には、それぞれ小脳形成不全、脳性麻痺、消化管重複奇形、ガングリオシドーシス(先天性代謝異常症の1つ)、発達遅滞がありました。急性壊死性脳症(ANE)で死亡した5人のうち2人にはそれぞれ小脳形成不全、消化管重複奇形がありましたが、3人 (60%) にはこのような基礎疾患がありませんでした

表3. 死亡例の臨床的特徴

脳の核磁気共鳴画像法(MRI)では、すべての ANE 患者で両側の視床対称損傷が観察されました。 典型的な病変は、視床内の拡散の制限と腫れ、および T2 強調シグナルの増加を示しました (図 4A、B: 赤い矢印)。

図4. 急性壊死性脳症の脳核磁気共鳴(MRI)検査
(A) T2 強調フレアおよび T2 強調フレアにおける両側視床対称性損傷 (赤い矢印)。 T2 強調で損傷した脳幹と小脳 (黒い矢印)。 大脳皮質は広範囲に浮腫があり、T2強調フレアでは左頭頂皮質(黄色の矢印)に重大な損傷があった。 T2 強調フレアにおける外部および内部のカプセル損傷 (白い矢印)。 (B) T2 強調フレアにおける両側視床対称損傷 (赤い矢印)。 T2強調フレアにおける心室周囲白質損傷(黄色の矢印)。 T2 加重フレアで損傷した半楕円中心部 (黒い矢印)。 T2強調フレアおよびT1強調(白矢印)で損傷した大脳基底核。

まとめ:2022年12月1日から2022年12月31日までに中国の西安小児病院でオミクロンに感染したと確認された全症例4,520例は、1~3歳の患者が主な割合を占め、659例(14.64%)が入院患者であり、9例(0.20%)が死亡した。症状は呼吸器系が多く、また痙攣の発生率が高い重症例では、肝機能、心筋酵素、プロカルシトニンが上昇することがよくあった。死亡した9人のうち5人 (56%)には基礎疾患あり、また死亡した9人のうち5人は急性壊死性脳症(ANE)だった。急性壊死性脳症(ANE)で死亡した5人うち2人に基礎疾患があった。つまり、全症例 4,520例のうち3例 (0.066%)は基礎疾患なしで急性壊死性脳症(ANE)となり死亡されました。
全訳ブログ タイトル:Clinical Characteristics of 4,522 4,520 Paediatric Patients Infected with the SARS-CoV-2 Omicron Variant, In Xi'an, China. 2月23日2024年.



米国2021年8月から2022年7月までの19才以下の死亡について:米CDC 死因データベース解析

2023年1月30日にJAMA online版に掲載された論文です

タイトル:Assessment of COVID-19 as the Underlying Cause of Death Among Children and Young People Aged 0 to 19 Years in the US
研究期間:2021年8月1日から2022年7月31日までの1年間
データソース:米国CDC の Wide-Ranging Online Data for Epidemiologic Research (WONDER) データベース
研究対象と方法:2021年の米国における19才以下の子どもは8200万人で、このうち期間中にCOVID-19が死因だったのは821人で100, 000の人当たりの粗死亡率は1.0人でした。年齢を細分化した10万人あたりの死亡者数は、1才未満が4.3人、1~4才で0.6人、5~9才は0.4人、10~14才で0.5人、15~19才で1.8人です (図1) 特に0才児の死亡者数が際立って多いです

図1. COVID-19による10万人あたりの死亡者数

9才以下の死亡は、最初は少なかったのですが、強毒性のデルタ株が流行した2021年夏に最初の山が出現しました。次にオミクロンの出現した2022年1月にさらに大きな死亡者の山ができ、小児にとってオミクロン株はデルタよりも強毒性となって出現しました (図2)

図2. 19才以下による各月の死亡者数

次に2019年全米の19才以下の死亡原因別表でCOVID-19は8位にランクインしました (Table 1)

感染症で死亡した19才以下の小児は、COVID-19による死亡事例が最も多く、次にインフルエンザ感染でした

2022年の小児COVID-19 沖縄県のデータ

2022年1月1日以降 PICU入室 10代以下 6人
(内訳 0歳2人、1~4歳1人、5~11歳2人、12~18歳1人)
ワクチン接種歴は、不明の1人を除き、全員が未接種(重症化した当時に接種対象外を含む)
上記以外に、10歳未満と10代2人の死亡があった

PICU6例の詳細
0歳2人:基礎疾患がなく、肺炎と無呼吸を起こして人工呼吸器を装着した

1~4歳1人:基礎疾患はなく、けいれんが止まらなくなって脳炎を発症。人工呼吸器や脳保護療法などで一命は取り留めたが後遺症が出ている

5歳以上3人のうち2人は、日常的に医療的ケアが必要な基礎疾患があり、感染をきっかけに肺炎を起こした。残る1人は基礎疾患はなかったが、コロナ以外の病気の発症で集中治療が必要となり、入院前に検査をしたところ感染が分かった

ソース 沖縄タイムス2月18日2023年

小児のCOVID-19による死亡者数 イングランド

イングランドにおける2020年1月から2022年12月末までの19才以下のCOVID-19による死亡者数のグラフです。初期の頃、小児は重症化しないと言われていましたが、このような数字です。特に0才〜1才の人数が多いです。この次に時期ごとに分けたグラフを示します

棒グラフのレモン色が2022年です。特に0才から1才の大部分はオミクロン株になって死亡しているのがわかります

ソース:https://twitter.com/jneill/status/1627086645391683584

2023年2月20日現在、第91回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が開かれるのを待っていますが予告されません。第90回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の資料に提出されている6か月から4才までのmRNAワクチン接種副反応は こちらの記事に書き出してあります。5才以上の小児よりも現時点では副反応の報告数が少なく死亡例がありません


小児の既感染者数 10月18日調べ


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10月18日現在最新

ソース日本経済新聞

小児のワクチン接種状況 10月18日現在

ソース首相官邸

国立感染症研究所発行の感染症週報による新型コロナウイルス感染症による脳症の時期と年齢及び人数。もう一つは東京都の公式発表から19才以下の死亡事例についてです。

2022年 新型コロナウイルスによる脳炎の発生状況

オミクロンBA.5は子供の脳症をおこしやすいように変化したと言えそうです。まだ自然感染もワクチン接種もしてない場合は、感染に気を付ける。感染した場合は、注意し異変をみとめたら病院を受診することです

国立感染症研究所発行の感染症週報 リンク から、1週間ごとの新型コロナウイルスによる脳炎について、19才以下を抽出してグラフにしました。2021年と比較すると、2022年の脳炎発症者数が増加しています

東京都における新型コロナウイルスに関連した19才以下の死亡者 (10月1〜10月18日)

10月1〜10月18日の東京都における10才未満死亡は1人でした。10代はいませんでした

東京都における新型コロナウイルスに関連した19才以下の死亡者 (9月1〜9月30日)

9月1〜9月30日の東京都における10才未満死亡は3人でした。(注釈:4人が表に書かれていましたが、1人は8月の事例でしたので除きました) リンク

 10代 は1人もいません

事故や別の病気で死亡されて、たまたまPCR検査陽性だったのか?はこの資料からは不明です

内訳 (この事項の取り扱いは個人情報に触れます。慎重にお願いいたします):9-22-2022 男性都内診断日9月14日死亡日9月14日、9-16-2022 男性都内診断日8月7日死亡日8月10日、9-15-2022女性都内診断日9月5日死亡日9月5日

9月15日に報告の1人は8月に再集計女性都内診断日8月19日死亡日8月21日

考察

いかがでしたでしょうか? 脳症になった子供が問題なくスムーズに医療機関で治療を受けることができて後遺症なく治癒したのか?ということを知りたいです。

もう一つは、やはり新型コロナウイルス検査陽性で死亡された子供が、偶然PCR検査陽性だったのか?COVID-19の症状が悪化して死亡したのか?を公表して欲しいです

また、欧米では小児に他のウイルスによる呼吸器疾患が増えてきてます。日本は少子化ということで小児を診療する病院が少ない。小児も小児を育てる世代も、日本では少数派に過ぎないと言ってるかたもいますが、自国の子供を育てられないとだめでしょう


上記投稿のリンク


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