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米国から輸入した乳製品の安全性

こんにちは。米国で乳牛の間で高病原性鳥インフルエンザウイルスA/H5N1 クレード 2.3.3.4b 遺伝子型 B3.13 が流行しています。これまでに流行が確認された州は9州、乳牛は42のグループです

感染した牛からの生乳を飲んで猫が感染し、死んでしまいました

そこで当局は市販の牛乳をPCR検査など実施しました
調査された市販牛乳は規則によって低温殺菌されています

FDAは、低温殺菌による熱に弱いウイルスの不活化に関する過去の研究データや、卵の低温殺菌ではHPAIの不活化に成功していることから、牛乳中のインフルエンザウイルスの不活化には低温殺菌が完全に有効である可能性が高いとの見解を示しています

中間報告で明らかにされた2点は、

A/H5N1ウイルスのかけらが牛乳の20%に検出された
感染可能な生きたA/H5N1ウイルスは牛乳に検出されなかった

次に当局は、乳牛の感染が確認された9州で市場に出回っている乳製品をPCR検査などを実施し、感染可能な生きたA/H5N1ウイルスはこれらの乳製品に検出されなかったと発表しました

ただし残念なことに調査された乳製品の詳細は非開示です

そこで、米国から輸入される乳製品の安全性について考察してみます

(1) 低温殺菌した生乳あるい、低温殺菌した生乳を使用した乳製品によるリスクは低い
(2) 粉ミルクの場合は、製造方法によりリスクが異なります。 (粉ミルクの安全性は英国食品基準庁の見解を参考にしました。次のセクションで詳しく説明しています)。多くの粉ミルクは安全性の高い方法で製造されていてリスクは低い。リスクは粉ミルクの製造方法による
(3) 生乳から製造されたチーズなど乳製品は、米国当局が調査した範囲で感染する生きたウイルスは検出されませんでした当局の声明もリスクは低い。しかし、全ての製法による乳製品を検査できたわけもないので、完全に安全と断定はできません
なお、これまでポーランドで感染可能なインフルエンザA/H5N1 が混入した鶏肉が販売され、これを食べて、人の感染症例はありませんでしたが、飼い猫が死亡しました

以上です

粉ミルクの製法と安全性の関係


粉ミルクを製造するには 以下3 つの一般的な方法があり (Miller、2022)、 最初の 2 つの方法は牛乳中に存在するウイルスを不活化する可能性が非常に高くなりますが、最後の方法の効果はそれほど確実ではありません

噴霧乾燥 – (リスク低) 牛乳は最初に瞬間殺菌され、バクテリアを殺します。 次に、蒸気をかけて粉末から蒸気を分離し、液体に凝縮して除去することで、元の質量の約 50% まで減らされます。 次に牛乳は乾燥室に噴霧され、熱風にさらされます。 液体ミルクの液滴はすぐに蒸発し、乾燥した粉末が残ります。

ドラム乾燥 – (リスク低) 加熱したドラム上の薄膜の上に牛乳を通過させて牛乳を蒸気にし、固形分を残し、抽出して微粉末に粉砕する、より迅速な方法です。 ここに挙げた 3 つの方法のうち、ドラム乾燥はミルクをカラメル化する可能性があるため、最も使用されません。

凍結乾燥 - (リスクある可能性を否定できない) 凍結乾燥は複雑で高価であり、ミルクを -50°C ~ -80°C でゆっくりと凍結させる必要があります。 次に、牛乳は部分真空中で低温低圧にさらされ、氷が固体から気体に変化する昇華と呼ばれるプロセスが促進されます。 その後、ガスは凝縮して収集され、乾燥粉末が残ります

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