見出し画像

子どもに受験についてどう伝えるか。【実録:小学校受験#3】

こんにちは。くんぱす先生です。
医師として働きながら、2児の子育て真っ只中です。

今回は小学校受験に挑もうと決意した後、子どもに【受験】についてどう伝えていくか、について私の意見を述べようと思います。
幼い子どもの受験であるため、どこまで受験するということを本人へ伝えるべきか、さらには合否の結果もどう伝えるべきかを悩みました。
そして、私なりの答えを決め、できるだけ一貫した姿勢で長男へ伝えていきました。

では具体的にどうしたのかをお話していきます。


小学校受験すると決めたのは親

受験大国、日本において受験について考える機会は多くあります。
幼稚園受験、小学校受験、中学受験、高校受験、大学受験と進学のタイミングで訪れる【受験】。
少子化の中でも受験者数がどんどん増加傾向にあると言われています。
いや、少子化だからこそかもしれません。
晩婚化、共働きも相まって、世帯における子どもの数が減っているため、子ども一人に多くの教育費をかけられるようになってる背景があるのではないかと推測します。

その中で【小学校受験】は5,6歳の子どもが臨む受験です。
まだまだ身を置く社会も狭く、先を見通す力も発達途上の幼い子どもが臨む、それが小学校受験です。
小学校受験をするという意向はほぼ100%親が決めていると私は思います。
もしもお子さんが「○○小学校を受けたい!」など受験を自ら希望しているような発言をしたとしても、その背景には親御さんの誘導があると思います。
親が受験についてなにも示唆するような発言をしていないのに子どもが私立小学校について知る由もなく、ましてや合格・不合格といった結果を伴うものとは知らないはずだからです。
子どもは賢く、親が望む自分になろうと親が喜ぶ発言をすることがよくあります。
例えば、傍からみたらどうみても習い事を楽しんでいるようには見えないので「サッカー、やめる?やめてもいいんだよ。」と親が声をかけても辞めたがらないというのも、親の気持ちを汲んでの行動の一つかもしれません。

子ども自身に当事者意識をどう持たせるか

親が決めた受験。
子どもは親の意向に伴走するよう、受験対策をしてくれます。
本当に子どもは素直でかわいいですよね。健気ですよね。
小学校受験の対策は『教養』に重きを置かれています。
小学校に進学する上で知っておいて欲しい知識や、自立した心、自分で考える力、自分の欲求を我慢して先生の話を聞くことができるかなどを試されます。
正直、知識といっても季節の行事や生活する上で必要なものの名前や使い方(片付けや布団をひくなど)、社会のルール(通学する上で必要になる)など受験しないお子さんでも知っておいて得しかない内容です。
ただ、対策をしていく中でかなり難しい内容にぶつかることもあります。
そんなとき、「もうやだ!やりたくない!」「今日はやらない。」など気分が乗らない日は必ず来ます。
そんなとき親も悩みます。
「私が決めた受験、無理強いはしなくない。」
「でもやるからには後悔のないように取り組みたい。」
私も何度も悩みました。
どの気持ちも本当の自分の気持ちですし、両立できない気持ちです。
どこかで折り合いをつけなければなりません。

本人へすべてをしっかりと話そう

私の結論は『すべてを伝える』ことでした。
なぜか。
ここが一番大切です。
それは、その子自身の人生だからです。
受験すると決めたのは親です。でも、実際に受験するのは子どもであり、合格してその学校に6年間通うのもその子自身です。
小学校6年間は人格形成においてとても重要な時期であると私は感じています。その後の人生でももちろん影響は受けますが、スポンジのような吸収力の小学生時代は酸いも甘いもとても影響を受けやすいと思います。
その大切な時期を過ごす小学校を決める上で本人にしっかりと伝えないのは子どもに失礼なのではないかと感じました。

どう伝えたか

たった1年の受験期間でしたが、何度も繰り返し伝える必要がありました。
これは我が家の一例に過ぎないので、参考になるところは参考にして頂き、みなさんのご家庭に合ったオリジナルに是非カスタマイズしてください。
こんなことを私は伝えていきました。

なぜ受験するのか。

「幼稚園が終わると小学生になるんだよ。
小学生は1年生から6年生まで6年間あって、小学校はその6年間を過ごすことになるよ。日本では全員小学校に行くことができるよ。
行く小学校は大きく2つに分けられて、
①家の近くの小学校(地域で分けられる)
②テストをして受かると通える小学校
があるよ。
ママは②の小学校に挑戦しようと思うんだ。
なぜならば、②の小学校のこういうところが素敵だなって思うから。(いいとおもうところをHPやパンフレットを使って説明。)」

受験とはどういうものか。

「『テスト』って言ったけれど、どんなテストをするか気になるよね。
学校によって、少しずつ違うけどこんな感じのテストがあるよ。
・ペーパー:紙に問題が書いてあってお話を聞いて答える形式
・巧緻性:手先の器用さとか、先生の指示を聞けているかを試す形式
・絵画:絵で自分の考えを表せるか。
・運動:先生の指示を聞いて動けるか。
・面接:先生に質問されて自分のことをお話できるか。
こういうことをテストでやるからその練習をするために教室に通おうと思うんだ。」

その結果、どうなるのか。

「合格すればその学校に通うことができる。合格しなかったら、①の近くの小学校に通うことになるよ。どちらにせよ、小学校には通えるよ。」

そのために今なにをするか。

「1つの小学校で合格する男の子はだいたい36人~56人くらいなんだって。
多くはないよね。何百人の子どもがテストを受けるから、合格するのは結構難しい世界だよね。
ママはテストを受けると決めたからには『もっと頑張ればよかった』とならないように後悔しないように日々ムッタと頑張っていきたい。
難しいこともやると思うし、途中で嫌になることもあるだろうけど、挑戦してみない?」

長男の反応

はじめは他人事でした。
受験することや教室に通うこともすんなり受け入れていましたが、通い始めてすぐに「教室いきたくない!」と拒絶されました。
年少から準備して着実にステップアップしてきた子たちとの差を本人なりに感じて辛かった時期だと思います。
私もはじめた当初はそんな長男の葛藤を目の当たりにして気持ちが揺れました。
でも、そんな中でも成長している部分に焦点を当てて本人に伝えていきました。
「できないことは山ほどあるけれど、こんなにも毎週成長しているよ」
「できないことをなくすためにやっているんじゃなくて、できることを増やしていくために頑張っているんだよ」

時期によって考え方を変えた

小学校受験という狭い世界の渦に巻き込まれないように、基本的には一歩引いて俯瞰的立場にいるように心がけていましたが、子どもに対しては『やると決めたからにはやる』というスタンスでいました。
小学校受験に挑む親御さんの中には視野が狭いなと感じる方々もいらっしゃったので、その狭い視点に自分は立たないように反面教師にさせてもらっていました。
心のどこかでは『所詮、小学校受験』と思う自分がいました。

しかし、夏期講習になる頃は敢えて『絶対、受かる!』と自分を洗脳するようにエンジンをかけました。そうしないと精神的に乗り越えられない気がしたためです。この洗脳期は10月まで続けました。

神奈川の受験が始まるのは10月下旬。
この本番期には洗脳期を脱し、再度『所詮は小学校受験。受かっても受からなくても子どもの人生は如何様にも明るい。』と思いながら直前の対策に勤しみました。
直前こそ、冷静さが大切であると思ったからです。
親が子ども以上に不安に駆られたり、取り乱すようではよくないと思うのです。子どもは親が決めた受験に、親のために頑張ってきたといって過言ではないと思います。
直前期には、ここまで頑張ってきた子どもの頑張りを褒め、成長を共に喜び、受験本番を楽しめるくらいの余裕が欲しいと思ってのスタンスでした。

結果をどう伝えたか

合格、不合格をそのまま伝えました。
通う教室によっては、本番を敢えて伝えずに緊張させない、そして合否も敢えて伝えないというスタンスのところもあると聞きます。
でも私はそれまでの子どもの頑張りを認めてあげる上でも、本番も合否も本人へ伝えることにしました。
なんのために頑張ってきたか、それはその小学校に受かるためです。
目指すものがあって、その結果を受け止める。
『不合格という現実をたった5,6歳の子に突きつけるなんてかわいそう』という意見もあるのは承知しています。
それは、不合格=失敗のような思考がその方にあるからではないでしょうか。
この考えは小学校受験に限らず、『受験』全般でいえることだと思いますが、受験において結果がすべてという考え方は不幸を生みます。
目標(入りたい学校)を目指して日々努力できたこと、挫けそうになったこともあったけれどこうして本番まで続けてこられたこと、結果不合格であっても受験したからこそ得られた自分の成長を自分で認められること。
結果は正直おまけでもいいくらい、その過程で得られるものが大いにあるのが受験です。
そう思えると、志望校に行けなくてもその後の人生で大きく羽ばたける時期が必ずやってきます。
逆に、結果がすべてと思って進んできた場合、志望校に晴れて合格できてもその後羽ばたくことが難しいことにもなり得ます。
【どんな環境でも考え方次第】
5,6歳という幼い子どもの受験だからこそ、親がこういった考え方で背中を見せる良き導者であることが大切であろうと、事あるごとに自分を戒めていました。
【俯瞰して盲目にならないように】

長男の小学校受験では、【合格】も【不合格】もどちらも頂きました。
点数で決めがたい、偏差値では語れない小学校受験。
子どもの特性や家庭と学校の相性が大切なため、すべて合格というほうが違和感がある小学校受験の世界。
不合格という結果も、長男と共有しました。

結果をきいた長男の反応

【合格】のときは抱き合って嬉し涙を共にながし、
【不合格】のときも抱き合って努力をたたえ合いました。
不合格だったときは
「そうか~、そう思ってたわ~」と言っていました。
子どもなりに学校との相性を感じるんでしょうかね。
そして、結果は伝えた直後のみでその後は全く引きずっていませんでした。

まとめ

私なりの子どもへの【受験】の伝え方についてお話しました。
『決めたのは親だけど、きちんと伝えて伴走する』というのが我が家流でした。
子どもの特性やそれぞれの親子関係によって伝え方は変わってくると思うので参考にしてみてください。

以前の記事でもお伝えした小学校受験に関する小説です。
親目線でのお話です。

次男の小学校受験が本格的に始まる前に一読して雰囲気を思い出しました。

親の心構えとして参考になったのがこちらの本です。

限りなくフィクションに近いノンフィクション。
塾名や学校名も実名で登場するのがすごく斬新で怖いです。
あとがきに著者の伝えたいことが凝縮されており、首がもげるほどに頷く箇所があり蛍光ペンで線を引いて夫に音読しました。
中学受験目前の知り合いにはあまりに生々しすぎてお勧めできなかったですが、受験を通して『その子の幸せとは、家族の幸せとは』今一度立ち止まって考えさせてくれる本だと思いました。

今回もお読みいただきありがとうございました。




「たしかに~」「分かる~」「なるほどね」など『!』が一つでもあったら、是非”投げ銭”お願いします。更なるいい記事投稿に向けての勉強費に使わせて頂きます!