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授業評価アンケート雑感

いつのころからか、大学では「授業評価アンケート」を学生に答えてもらうようになりました。この授業の良かった点、悪かった点を学生が評価するわけですね。

大学が学生を選ぶ時代はとうの昔に終わってしまい、今や学生が大学を選ぶ時代ですから、その意味でも顧客(学生)声を無視するわけにはいかないでしょうし、そうあるべきだと私も思います。(ちなみに私はぼろくそに書かれたことは、幸いにもありません)

とはいえ、授業評価アンケートによって授業内容が改善されることはあまり期待できない、というのが私の意見です。その理由は教える側と教わる側の双方にあります。

まずは前者から。そもそも大学の教員はどうやって授業をすればよいかのトレーニングを受けているわけではありません。加えて、それを教えられても実行できる能力がない場合がほとんどです。学生の皆さんは「この教員はやる気がないから授業がつまらない」と思いがちですが、実はやる気の問題ではなく、人に魅力的に教えることができないという能力の問題のほうが大きいのです。

次に後者について。授業評価アンケートに回答して、仮に授業が改善されるとしても、その益を享受できるのは次の履修者であって、アンケートに回答した自分たちではありません。その意味で学生は、授業の後半でアンケートを配布されても、それによって授業を改善しようとするインセンティブを持ちにくいのです。

かくして、授業評価アンケートをやっても授業が改善される見込みは薄く、現行の仕組みではただ授業時間を奪っているだけと言わざるを得ないので、むしろやることによる益より害のほうが大きいように思います。


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