やぐりん

僕はうつで、息子はダウン症で、娘は学校に行ってませんけど何か問題でも?なんの役にも立た…

やぐりん

僕はうつで、息子はダウン症で、娘は学校に行ってませんけど何か問題でも?なんの役にも立たないことを、なにかの役に立ちそうな錯覚に陥れる文章を書いてます。ええ、筆先詐欺でございます。 "面白きこともなき世をエッセイに" 平凡な毎日を徒然なるままに日暮しPCに向かひて執筆しております。

最近の記事

パラダイムシフト的な何か、あとカイジとか

パラダイムがシフトした。私が5歳のときだ。三角座りでテレビを観ているとき、それは起きた。 当時、「野生の王国」というドキュメンタリー番組が放送されており、私はこの番組をとても楽しみにしていた。 「落ち着きがありません」 小学生の頃、いつも通知表に書かれていた私ではあるが、なぜか「野生の王国」だけは静かに30分間、三角座りを崩すことなく観ることができたのは今でも不思議に思っている。 ある日の放送。トムソンガゼルが主役だった。皆さんはトムソンガゼルと聞いて、何を思い浮かべ

    • 読書とは初恋の香り

      「いつも本ばかり読んで凄いですね」と言われることがある。別に読みたいから読んでいるのであって、とくに何も凄いことはしていないのだが、まあ、そう思う気持ちもわからないことはない。 本を読む行為というのは昔から「かしこ」の象徴である。間違って薪でも背負って読もうもんなら、うっかり銅像になって全国の小学校に設置されてしまう勢いである。 したがって、「本を読む」イコール「すごいこと」と連想されるのは致し方ない。 しかし、「すごい」だけならまだしも、「読んだ内容がそのまま知識にな

      • Really?

        長女は学校に行ってない。長男はダウン症。世間から見ればまっこと由々しき事態なのかも知れない。でも私は、この子たちのおかげで大切なことを教えてもらった。 それは、「概念を問い直す」ということだ。 もっと噛み砕いて言うと、「当たり前過ぎて疑問にすら感じることの出来ないこの世の常識を『それ、ホンマ?』といったん立ち止まって疑う視点を持つことが出来るようになった」ということである。 「見てきた物や聞いた事 いままで覚えた全部 でたらめだったら面白い そんな気持ち分るでしょう」

        • 子供の未来を憂うとき

          「ママー、今日は長そで長ズボンで保育所に行く」 少しションボリした様子で息子(次男)が言う。 「なんで?」 と妻が問う。 「だって先生が長そで長ズボンで来なさいって言ったから」 12月。いわゆる師走。師も走り回るぐらい忙しいこの季節。息子は半そで半ズボンで意味もなく走り回っている。 「ほぉ〜、ぼく元気やな〜。寒くないか?そうか。寒くないんか。そりゃ結構じゃ!」と、通りすがりのおじいちゃんが破顔一笑する。 そりゃあ、木枯らしが吹きすさぶ中、半そで半ズボンで丸坊主。

        パラダイムシフト的な何か、あとカイジとか

          自己啓発本って役に立ちますか?

          子どもの頃、モーニングショーという番組をよく観ていた。その中で、私の大好きな人気コーナーがあった。 宮尾すすむの「ああ日本の社長」である。 日本各地の社長を取材。成功の秘訣を探っていく。そして最後はいつも、 「あなたも、これで、社長に、なれる……かもよ!」 の決め言葉で締めくくられる。 まだ幼かった私は、 「こ、これで、ぼくも、社長に、なれる……かもよ!」 と、本気で思っていた。 「自己啓発本って、役に立つと思いますか?」 ある人に聞かれた。 ここはひとつ

          自己啓発本って役に立ちますか?

          仕事始めに「いやだな~」と思ったら

          明日から仕事。いやだなぁ〜と思う。もっと家でゆっくりしていたいなぁ~。こたつの中でごろごろしていると、ふと昔の記憶が蘇る。あるお金持ちに聞いた話だ。 当時、彼はまだ20代後半。見た目は普通のお兄ちゃん。清潔感はあるが、よれたジャケットにジーンズ、少し汚れたスニーカー。どこか野暮ったく垢抜けしていない印象があった。しかし、年収5000万円を超える、お金にも時間にも余裕がある、いわゆる成功者だった。 「ずーっと好きなことだけをして暮らしたらどうなるだろう?」 あるとき彼の頭

          仕事始めに「いやだな~」と思ったら

          金さえあれば……

          これは読まないほうがいい。お金儲けをしたいと思っている人はとくに。いや、正確には「お金儲けをして幸せになりたい」と夢をみている人に。結論から言おう。お金では絶対、幸せになれない。 「お金で命を買うことはできないが、命を守ることはできる」 「お金で時間を買うことはできないが、時間を作ることはできる」 「お金で愛を買うことはできないが、愛を育むことはできる」 ある経営者から聞いた言葉だ。しびれた。その通りだと思った。お金ってどこか汚いものだと思っていた。よし、金持ちになろ

          金さえあれば……

          ポイント苦手症候群

          「クレジットカードで引き落としたら、ポイントがめっちゃ付くんやって。」 「ポイントの付くクレジットカード、作ってもいいかな?」 「今のカードはどれくらいポイント付いてるの?」 「そのポイントは使ってる?」 「姉妹たちも、クレジットカードでポイント貯めてるんやって」 「どうせ引き落とされるんやったら、ポイント集めな損やって言ってた」 私はいま、急いで息子のくつ下を履かせている。送迎バスに遅れそうだ。 そんなとき、妻が怒涛の如く、ポイントポイントとまくし立てる。

          ポイント苦手症候群

          ただ、なんとなく

          ある日の夕食時、娘がつぶやいた。 「中学校は、行こうかな」 娘は11歳。 地域の小学校は1年で辞めた。 一般的には「不登校」と一括りにされる。しかし、彼女に対して「不登校」という言葉を当てはめるのには、少し抵抗がある。 娘は、学校に「行けない」のではなく、「行かない」と決めたのだ。 しかるに、「不登校」にまつわる負のイメージとは少し趣きが異なる。 「積極的スクールキャンセル」 「教育革命児」 「攻撃的ミッドフィルダー」や「人間発電所」みたいな、なにかいい感じのネ

          ただ、なんとなく

          そのまんまの僕じゃダメですか?

          ダウン症は天使だと言われることがある。 しかし、私のメガネを2度踏みつぶし、車の運転中、つまようじで左腕をぷすぷす刺してくる、こやつのどこが天使やねん。食欲旺盛な彼は天使というより、お腹まわりが力士のそれである。 学校から持ち帰る、健康手帳の折れ線グラフが、バブル期の株価なみに景気がいい。これはいかんと、食事の量を減らしてみたりもするのだが、なぜかお腹はふくらむ一方である。 立てば関取、座ればビリケン、歩く姿は裸の大将。 握り飯がよく似合う。 「ダウン症の子は天使だね

          そのまんまの僕じゃダメですか?

          不器用ですから

          お魚くわえたドラ猫を、裸足で追いかける。 そんな陽気な人を見たことなかった。 そう、妻と出会うまでは。 いや、実際に裸足で猫を追いかけるのを見たわけではない。ようするにそれぐらい猪突猛進で、オッチョコチョイだと言いたいのだ。 ある朝、妻がバタバタ出掛ける準備をしている。 「行ってきま〜す」と笑顔で玄関を出ていく。 数分後。 血相を変えて戻ってくる。 靴を脱ぎ散らかし、リビングにダッシュ。 スマホを片手に、また玄関を飛び出して行く。 数分後。 血相を変えて戻ってくる

          不器用ですから

          盲目の老婆

          「先生、入れ墨だけは……入れたらあきまへんで……」 そんな忠告をしてくれた人がいる。誰もいない、深夜2時の赤信号でも律儀に止まる、不器用なほど真面目な私に、墨を入れる予定はない。   私の職業は鍼灸マッサージ師だ。 カバンひとつ肩に担ぎ、ご自宅に伺って施術をする。 もう四半世紀もこの仕事をしているので、いろんな患者さんの、十人十色な人生を垣間見てきた。 元社長さんから、学校の先生、漫才師のお母さんから、暴力団の元組長さんなど。 その組長さん、昔はそこそこ名の知れた武

          盲目の老婆

          鳥の目、虫の目、私の目

          1926年、アメリカにあるイエローストーン国立公園から野生のオオカミが姿を消した。 捕食動物であるオオカミが生態系を乱す恐れがあるとの理由で、人間の手により駆除されたのである。 するとどうなったか? 天敵であるオオカミがいなくなったことで、シカが大量繁殖。植物を食い荒らし、生態系が壊滅状態に陥った。 生態系を守ろうと人の手が介入したことにより、結果として大きく生態系を乱すことになった。 よかれと思った行動が、世界の秩序を狂わせることがある。いま、私達は同じ過ちを繰り返

          鳥の目、虫の目、私の目

          ダウン症こうた爆誕!エピソードゼロ

          「耳が少し低い位置にあります。それと心臓で血液の逆流が少しありますね。あと小指の関節がひとつ少ないです。それから鼻の骨がないですね。ほら、ここの根っこのところです。わかります?まあ、これらのことを踏まえた上で、お腹の赤ちゃんはほぼ間違いなくダウン症だと思われます。」 情報量の多すぎる女医の説明に、妻の目からはとめどなく涙が溢れ、私はどこか他人事のように、ただ茫然と丸椅子に座っていた。 本当はもっと詳しい説明があったはずだが、記憶をたどってもこれ以上は思い出せない。 人は

          ダウン症こうた爆誕!エピソードゼロ

          娘の決断 #未来のためにできること

          娘は学校に通っていない。 とくにいじめがあったわけでもなく、友達も多いほうだった。授業参観のとき、積極的に手を挙げている娘の姿は、誰の目にも順風満帆だった。 「はるちゃんは好きなことがしたいの!」 顔面を高潮させ、目にうっすら涙を浮かべながら、そう私に訴えたのは、小学校に通ってわずかひと月ほどのことだった。 自分はお絵描きをしたいのに、やれ国語だ算数だと、無機質に時間が刻まれていく。それは彼女にとって、とても耐え難いことだった。 世界には、学校に通えない子供たちが2

          娘の決断 #未来のためにできること

          肉をまる飲みする息子が世界の差別をなくす日がくるのか? #未来のためにできること

          「ごほっ!ごほっ!ぐわっ!ぐへぇ―」 顔を真っ赤にして、盛大に肉をのどに詰まらせる。 息子はどうも、肉はのどごしでいくもんだと思っているふしがある。 「ちゃんと噛みなさいって言ってるやろ!!」 鬼の形相で注意する妻。 「あ〜い」と生返事をする息子。 彼は21トリソミー、いわゆるダウン症だ。 「耳が少し低い位置にあります。心臓で血液の逆流もありますね。あと小指の関節がひとつ少ないのと、鼻の骨がないです。ほら、ここの根っこの所です。わかります?まあこれらのことを踏まえる

          肉をまる飲みする息子が世界の差別をなくす日がくるのか? #未来のためにできること