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どうしてもやりたいこと


ふと考えた


"なぜ"食を生業とするのか

"なぜ"ドーナツなのか
"なぜ"ドーナツを好きになったのか
"なぜ"ドーナツを作りたいと思ったのか


思えば思うほど、考えれば考えるほど
なぜ
という言葉が返ってくる


疑問ばかり思いつく日々

幼少期空手を習いはじめた時
親からは礼儀作法を覚えなさいと言われた
週3回学校が終わってから道場に通った

小学生から始めた空手は中学生の頃には
友達と遊びたいのになぜ空手をやらなければならないのか
という疑問で通わなくなってしまった

時を同じくして
泳げるようになったらかっこいいよと言われ
週3回学校が終わってからプールに通った

泳げるようになった先には
なぜ記録と向き合わなければならないのか?
と疑問を抱きながら高校生卒業まで泳ぎ続けた


親からはよく

勉強をしなさい

と言われていた

なぜ勉強をしなければならないのかと問うと
いい大学に入って、いい会社に入るためには
勉強が必要だと

いい大学ってなにをもっていい大学なのか
いい会社とは給与が高ければいい会社なのか

当時は納得のいかない話だった



そんな自分でも疑問を持たずやりたいことがあった

調理すること

幼少期初めて包丁を握った時は
興奮と緊張と不安が入り混じっていた

火を強くしてみたら
もっと塩を足してみれば…
隠し味になにかを加えたら….

自分との対話
新しい味、新しい発見

切り方一つで味も変わる

こんなにワクワクすることはない

小麦粉ひとつとってもいい小麦もあれば悪い小麦もある

素材に対して手を加えることで新しい味を生み出せる
そこに火加減や手加減で味加減が変わる

この加減がぶれなければいつでも美味しいは作れるはず

なぜ美味しくないのかよりも
どうしたら美味しくなるのだろうか

と考えている自分がいた

高校の卒業後の進路は調理師学校に行った
お菓子も学べる学校で少人数で先生からしっかりと教えてもらいたくて学校も選んだ

さらに深く、のめり込むように

卒業後はレストランにいた

ぴかぴかの厨房
一流の食材


言われたことを
分量通りに
時間通りに
作ってて楽しくなかった

だからお客さんと話すことを選んだ
たくさん話をした
喜んでもらうためにはどうしたらいいかと考えた
ワインの勉強もたくさんした
サービスの所作も見て回った
調理をしてくれた人の思いを伝えた





でも無理をして身体を壊した

癒しを求めて大衆向けの食事を提供するようになった
不特定多数の人が調理をして、サービスをしてお客様に直接関わらないことが増えた


現場を任せることも増えた
新しいメニューの試作を作る日々
誰でも簡単に作れる料理を考えるようになった
利益を追い求めるようになった
調理から離れた







身体を無理して今度は心を壊した




そしたら
なぜ自分が作っていないのかと疑問が生まれた


好きなものはなんだろう
作りたいものはなんだろう

ふと思ったときに
おやつでドーナツを食べた

母と作ったドーナツを思い出した

お世辞にも綺麗とは言えないあのゴツゴツしたドーナツ
トッピングをしたり味付け変えたり
話をしながら作ったドーナツ

美味しかった


やりたいことはなんだろうと思った時に

お客さんと"美味しい"について対話をしながらドーナツを作りたい





気づいたらドーナツ屋をはじめてた





当然最初はまったく売れなかった

なぜ食べてもらえないか考えた
お客さんと真摯に向き合った
たくさん話をした
思いを伝えた
自分を知ってもらった
食べていただけることに感謝した
感想をいただけることに幸せを感じた
ドーナツのことをたくさん考えた
また向き合った
四六時中考えた
お客さんが笑顔になってくれた
そしたら自分も笑顔だった




5月からドーナツ屋をはじめて
ドーナツを通じてなにがしたいんだろうとふと考えた

お金持ちになりたい
地位、名声が欲しい
有名になりたい





そんなものはいらない





お客さんと話して一緒に
"なぜ美味しい"のかを追求したドーナツを作りたい


過去の自分が1番記憶に残っていることだからこそ
それがどうしてもやりたいことだと思った


素材がよくて、味がいいだけが美味しいじゃない

見て、聞いて、食べて、感じて
はじめて美味しいになる

フィードバックがあって
そこに向き合って
さらに改良して

変えない部分ももちろんある
変えたら美味しくなる部分を探す
チャレンジしてみる
食べてもらう
感想を聞く、とにかく聞く
ダメなら戻ってみる

それが自分のどうしてもやりたいこと



いまのdoughmakerのドーナツは
5月から来ていただいたみなさんの声が集約されたドーナツ

みなさんの"なぜ"に応えられた分だけ想いがたくさん入ってるドーナツ





進化を恐れない
初心不改



doughmakerらしく





読んでくださりありがとうございます





doughmaker 店主














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