見出し画像

【「己がため」とは】 大河ドラマ 「光る君へ」 第14回

私は私のために生きたいのです

前半は兼家の退場、後半はききょうの所信表明、とぱっきり2分割な回でした。

「お前は真っさらな道を行け」と、嫡男、道隆の今後のために、あらゆる泥を被った兼家。ここまで汚れ仕事をさせていた道兼も、スパッと切り捨てます。自分が存命な間に次男が「人殺し」であることをバラしておかないと、後顧に憂が残りますから、体調が良い日に最後の務めを果たそうと思ったのでしょう。

嘆きつつ ひとりぬる夜の 明くる間は
いかに久しきものとかは知る

「蜻蛉日記」に対する解釈は倫子サロンでまひろが語っていますが、同じ詩が出てきたのが印象的。この詩は、ただ嘆くだけの心情を表現したものではなく、あの頃は「輝かしい日々だった」と自慢に思う心もあったのだ、と改めて腑に落ちました。

人間って、つくづくヘンテコな生き物だわ。

次なるものも、長くあるまい

兼家の死に様の構図がなんとも言えない美しさで、見入ってしまいました。なかなかないよね、あの構図。

さて、そこから次々と描かれる女性らの攻防が凄まじい。

「お若いから、これからもお子は出来ましょう。私も気張らねば」と明子女王に対する静かな張り合いを(どこまでも雅やかに)宣言する倫子様。

「好いた殿御ができました。父の喪にも服さぬ人の側にいたくないので」と三行半を突きつけられる道兼。

堂々とキッパリとした女性らを見せた後、まるで対比させるように、道兼になびいていた内裏の殿御のプチ攻防戦が展開されます。殿御の駆け引きの、なんと可愛らしく見えることよ。

ところで、藤原斉信(ただのぶ)さんが首元に扇子を挟んでたの、洒脱で軽い男性が一目で感じられて、好きでした。行成さんの、どこまでも達観してる感じも好き。

よりよき婿を取ることしか考えられず、志を持たず、己を磨かず、退屈な暮らしをそうと気付く力もない

そして今回のハイライト!ききょうのお心表明!!!!!

その所信を実現する為、「夫を捨てて、息子も夫に押し付けてしまうつもり」までキッパリと宣言するききょう。この有言実行力、見習わねば。

「検非違使の改革」を少しずつ進めようとしている道長の姿に、直秀の一件からの連続性をきちんと感じさせて、今回は終わりです。あの日の志は、今も2人を導いている。

明日も良い日に。



この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

日本史がすき

言葉は言霊!あなたのサポートのおかげで、明日もコトバを紡いでいけます!明日も良い日に。どうぞよしなに。