「自己本位であれ!」承認欲求の奴隷と化した私たちへ、夏目漱石からのメッセージ
今回の参考作品
こちらです
今回の内容
夏目漱石の学習院大学での講演、その前半部を読んだまとめになります。本から学んだことを自分の学びとするため、アウトプット&シェアさせて下さい!
なお前半では、夏目漱石がイギリス留学時代に得た、重要な「自己本位」という気づきについて話をしています。
作品の時代背景
今から約100年前、西洋の文化とか考え方がまだバンバン日本に入ってきているような時期、それが新しい考え方だとすごく礼賛されているような時代です。
みんな、西洋人の言ってることだから正しいんじゃん、と西洋の文化や思想を盲信しがちなところがありました。
でもそんな中でも、漱石っていうのは漢学(中国伝来の書籍や思想を学ぶみたいな学問)というちょっと当時の人からすると古臭い学問が好きで、学んでいました。学問的なベースは古典的なところにあった訳です。
漱石が自己本位に目覚めるまで
漱石は、33歳の時に「本場の文学を学んで来い!」と文部省の命をうけ、イギリスに留学し英文学を学びに行く事になったんですけれど、その時期は漱石にとって非常に苦しい時期で。
文学を学ぶためにわざわざイギリスに行ったにも関わらず、文学って何なのか?全くつかめず、苦汁をなめていました。
向こうの学校で講義を受けていても文法が違うとか細かいところを直されたり。あとテストでも○○という著作が発表されたのは何年ですかみたいなそういう内容が問われたり。
そんな事を学んで本当に文学が分かるのだろうか?
学校のやり方に対する違和感も強く感じていました。
講義だけじゃなくて、例えば図書館に行って本を読んでみたりと自分なりに努力は積んだんですけれども、いくら本を読んでもやっぱり得られるものはなし。
もう何のために本を読んでいるのか自分でも意味がわかんなくなってきた時期があるそうで。部屋の中でずっと泣いている日もあったようです。
でもある日、はたと気づきます。
「自己本位」に。自分を基準に。文学って1から作っていくしかないんじゃないか?って。
その4文字の発見によって、漱石には大きな変化が訪れます。
自己本位と他人本位
他人本位とは
自己本位とは逆の概念です。
逆の考え方を先に話した方が分かりやすいと思うので、こっちから話していきます。
他人本位というのは、価値基準が外にある状態や、猿真似のことです。
例えばSNSでバズった!人からの評価が高い!⇒だから、自分の作品は素晴らしい・・・という考え方であったり、
世間で良いとされている考え方を盗んで、さも自分の考え方であるようにしゃべる・・・といった行為もそうです。
他人本位の考えは、評価基準が他人や世間にある。
だから、自分や自分の作品の評価は、みんなに好いてもらえるか?世間の流行りにのっているのか?といった、外部基準に左右されてしまうようなところがあります。
自己本位とは
自己本位というのはその逆ですね。
あくまで基準となるのは自分。自分が好きだと思うこととか、大事に思ってることとか、美的感覚とか。自分に根差したもの(漱石の場合は漢学かな?)とか。
そういったものを基準になにかものを作っていく、人生を進めていくような立場です。
孤独をともなうが、幸福につづくみち
自己本位っていうのは外に合わせずわが道を行く!ということでもあるので、その道の行き方には前例がない。一人で行くしかない。
それはもう草ボーボーのやぶの中、原生林の中をかき分けて進んでいくような孤独を伴うんだけれども。
その道を行かない限り、自分の幸福の源泉みたいなものにはたどり着けないよ!と漱石は言います。
自己本位になったあとの漱石の変化
漱石いわく、「自己本位」という気づきを得た後は大いなパワーを得て、
「英文学が流行りだ」なんて言われたとしてもそれはそれ、気にしないようになり、自己本位はいつも自分の「道しるべ」になってくれたそうです。
イギリス留学から帰ってきてすぐ作家デビュー!とはいかず、生活のために文筆以外の仕事もやらなきゃいけなかったんだけれども、
根本的な内面の変化は変わることがなく、むしろ年月が経つに従ってどんどん強くなっていったそうです。
この変化が、偉大な作品づくりの原点になったことは間違いありませんね!
最後に思うこと
何か作品を世に出したとして。自分の立場を表明したとして。
いいねされたいとかフォロワーたくさん欲しいとか言った風に承認されたいとか、どう思われるかな?変に思われないかな?とか。
人の目線に左右されちゃう事ってよくありますよね。
そういう傾向って、SNSの登場によってより加速されてる・・・なんて話も、よく聞きます。
そんな時代を生きてる僕らにとって「自己本位」という夏目漱石の考え方はものすごく重要な考え方・視点であると思います!
それに、講演は約100年前に行われているにも関わらず、淘汰されず未だ残っている言葉たちですよ!これは聞かない手はないでしょう!
僕も漱石先生の言葉を胸に人生を歩んでいきたいと思います!
この記事が少しでも読んだ方のお役に立てれば幸いです。
ありがとうございました!
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