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私の中の一番古い記憶~お金をなくす

 泥棒猫です。

 「だいふく@HSP IBS」さんの2020/4/26の記事、「#ゆる募のお題」を読んで、なるほど。一番古い思い出ではなく、一番古い記憶かぁ。と思いを馳せた。


 私の一番古い記憶。

 それはお祭り。


 船は桟橋の一番端っこの方に着いた。

 渡した板の横。夜の海は真っ黒だ。そこに出店の灯りが映って、とてもきれい。

 頭上を見上げるとものすごい数の人、人、人。早くあの中に行かなくちゃ。気が焦るけど板は固定されていないので海に落ちたら大変。途中からおじいちゃんが抱っこしてくれた。

 貰ったお小遣いは、キキとララのビニール製の財布に入れてある。ベルトに通せるようになっていて絶対に落とさないから大丈夫。

 

 どんぐり飴(という名の直径3センチはあろうかという球体の飴)は絶対ソーダ味を買おう。それとレターセットを買うのだ。姉が持っていてとても羨ましかった。ピンクのケースに便せん、封筒、筆記用具と偽物の切手が入っているやつ。あれが絶対欲しい。まだ字もちゃんと書けないくせに。

 それにしても物凄い人だ。家族とはぐれないようにしなくちゃ。迷子になりそう。でもずらっと並ぶ出店が気になる。


 そこから、記憶がすっぽり抜ける。

 続きは、お金をなくして母に呆れられる帰路の船の中の場面。

「なんでお財布はあるのに中身をなくすかなぁ?」と母。

「なんでだろうね?見たらなかったんだもん」と私。

 でもどんぐり飴とレターセットはしっかり手にある。きっと私に激甘のおじいちゃんが買ってくれたはず。早くレターセットを使いたくて、母の呆れた声も右から左状態。とにかく楽しくて嬉しくて。


 このぼんやりした記憶を姉に話したら、

「それは宮島の管弦祭だよ。」

 と教えてくれた。

「従妹家族が船を出して、2家族で一緒にいったんだよ。」と。

 ※船を出した、といっても島育ちの従妹家族にとって自家用車みたいなもの。だから、クルーザーとかではありません。もっとラフな船。


 当時、キティちゃん一筋だったのでキキとララのお財布を持っていたことも不思議だし(でも間違いなく持っていた)、ベルトに通していたのにお金だけなくなるのも不思議。まぁ子供だから落としたのかな。

 だけど今になって思う。あれはスリにあったんじゃないかと。

 それぐらいすごい人だったし、ぼーっとした子供が出店に見とれているところなんてチョロいでしょう。

「背が低いじゃん、どうやって掏るの?」

 と姉から指摘されたが、子供のスリだっているよ。絶対。

 だって昭和40年代だもん。

 いろんな怪しいことが起きてたよ、当時。



 今、どこにも行けないし、ましてやお祭りなんて3蜜どころじゃないもの。とても無理。

 そしてもうお祭りにワクワクすることもなくなった。

 だけど子供の頃、お祭りは本当に楽しかったな。



 

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